夏休みに新幹線で帰省を考えている人も多いと思うが、今回は東海道・山陽新幹線で割引を受けられるクレジットカードを紹介しよう。日頃から出張などで乗車するという人も、ぜひチェックしてほしい。

「エクスプレス予約」

ここで紹介したいのは、特定のクレジットカード保有者のみ登録できる「エクスプレス予約」というサービス。対象のカードは大きく分けて3種類ある。ひとつは「JR東海エクスプレス・カード」(年会費1080円)、そしてJR西日本の「J-WESTカード」、最後にJR東日本系列であるビューカードが発行するカードである。

「JR東海エクスプレス・カード」

「J-WESTカード」には、年会費1080円の「エクスプレス」と、実質年会費無料の「ベーシック」があるが、「エクスプレス予約」が利用できるのは前者のほう。OSAKA STATION CITYやビックカメラと提携したタイプのカードも発行されている。

ビューカードが発行するカードも様々な種類があり、それぞれ年会費は異なるが、「エクスプレス予約」を利用できる代表的なカードは「ビュー・スイカ」カード、「ビックカメラSuicaカード」、「ルミネカード」、「JALカードSuica」など。ただし、ビューカードのロゴがついていても、券面に(ii)のマークが入っているカードは発行元が異なるため対象外。対象カードかつ「モバイルSuica」を保有したうえで「ビュー・エクスプレス」の会員となり、「エクスプレス予約」の年会費1080円を支払えば利用できるようになる。

「EX-ICサービス」

では、本題の「エクスプレス予約」のサービス内容を見ていこう。まずもっとも利用しやすいのが「EX-ICサービス」。これは入会後に郵送される「EX-ICカード」(モバイルSuica会員は登録した電話機でも可)を改札にタッチして乗車するサービスで、インターネットから乗車6分前まで予約可能。値段も通常のきっぷより格安となっている。

「EX-ICカード」

たとえば、東京~新大阪間の片道料金は、通常期の「のぞみ」普通車指定席で1万4450円(「ひかり」「こだま」は1万4140円、繁忙期は+200円、閑散期は-200円、自由席はすべて1万3620円)。これが通常の「EX-ICサービス」を利用した場合は、一律1万3370円になる。グリーン車の場合は通常1万9230円(「ひかり」「こだま」は1万8920円)が、「EX-ICサービス」なら一律1万8140円だ。

「EX-ICサービス」では、乗車3日前の23時30分までの予約で、さらに安い値段で乗車できる「IC早特」も座席数限定で用意されている。「IC早特」には3つのタイプがあり、それぞれ対象となる区間・列車・席種が決められている。「IC早特(タイプA)」は、山陽新幹線を含む対象区間を走る「のぞみ」「ひかり」「こだま」の普通車指定席とグリーン車。「IC早特(タイプB)」は、東京から新神戸までの対象区間を朝6時台に出発する「のぞみ」と終日の「ひかり」で、こちらも普通車指定席とグリーン車が対象。「こだま☆楽旅IC早特」は東海道新幹線のほぼ全区間(隣接駅間など一部を除く)を走る「こだま」グリーン車が対象だ。

東京~新大阪間は、「IC早特(タイプA)」は対象外だが、「IC早特(タイプB)」は普通車指定席なら1万2340円、グリーン車なら1万4400円。「こだま☆楽旅IC早特」は1万1200円で利用できる。ちなみにJR東海ツアーズが販売する「ぷらっとこだま」のグリーン車は、通常期で1万1800円、繁忙期は1万3300円なので、それよりもさらに安い値段となる(「ぷらっとこだま」普通車指定席の場合は通常期1万300円、繁忙期1万1800円)。

「EX-ICサービス」は会員本人のみしか利用できないが、家族など2名以上で利用する場合には、「エクスプレス予約」専用きっぷの「EXきっぷ」が利用可能。おとな1名あたりの値段は「EX-ICサービス」と同額で、こども用も用意されている。このほかに「エクスプレス予約」専用の特急券「e特急券」もあり、別途購入した乗車券と一緒に利用することもできる。新幹線と在来線を乗り継ぐ場合や利用区間によっては、「EX-ICサービス」より低額になる場合と高額になる場合があるため、購入前に「エクスプレス予約」のホームページ内にある「EX-IC運賃ナビ」で比較しよう。

なお、各サービスとも設定された期限前(通常の「EX-ICサービス」なら乗車6分前)で、ICカードでの改札入場前、またはきっぷ受け取り前なら、手数料なしで何度でも予約の変更が可能。このほかにも、「エクスプレス予約」を利用すると「グリーンプログラム」のポイントが貯まり、貯まったポイントを使えば、普通車の値段でグリーン車に乗車できる特典もある。

「プラスEX」

また、「エクスプレス予約」は冒頭で紹介したカードが必要になるが、これとは別に東海道新幹線限定のサービスとして「プラスEX」もあり、こちらは様々なカードで利用可能。対象となるのはジェーシービー、三井住友カード、三菱UFJニコス、トヨタファイナンス、アメリカン・エキスプレス、イオン銀行(イオンカード)、セディナ、シティカード(ダイナースクラブカード含む)などが発行するカード(一部対象外あり)で、年会費は540円となっている。

「プラスEX」

「プラスEX」の値段は、東京~新大阪間の普通車指定席で片道1万3940円。乗車日の当日まで予約ができる通常商品は「エクスプレス予約」より割引率が劣るが、3日前までに予約する「IC早特(プラス)」は「IC早特(タイプB)」と同額の1万2340円。「こだま☆楽旅IC早特」も同額の1万1200円で、家族など2名以上で利用する場合には「EXきっぷ」と同様のサービスとなる「プラスきっぷ」も利用できる。ただし、「e特急券」や「グリーンプログラム」のサービスは利用できない。既に「プラスEX」対象カードを保有していて、新たにカードを増やしたくないという人は、こちらのサービスも検討するといいだろう。

「エクスプレス予約」の対象カードを新規に作るには、最低でも申し込みから3週間程度が必要で、「ビュー・エクスプレス」会員や「プラスEX」の申し込みも、利用開始までに3週間程度がかかる。お盆に間に合わせたいという人は、早めに申し込みを済ませておこう。

このほかにも、「モバイルSuica」は東北・山形・秋田・上越・北陸新幹線に、「J-WESTカード」(ベーシック含む)は山陽・九州・北陸新幹線に割引で乗車できるサービスがある。また、JR九州の「JQ CARD」は、九州・山陽新幹線(九州発)で会員限定の割引きっぷを購入可。利用する機会がある人は、これらのサービスもチェックしてほしい。

公式サイトは以下の通り。

JR東海エクスプレス・カード

エクスプレス予約

プラスEX

(※クレジットカードの用語などは以下を参照)

シーンで選ぶクレジットカード活用術 (1) 最低限知っておいてほしい基礎知識

※本記事で紹介したサービス内容は、消費税率8%を前提とした更新日時点の情報です。また、各サービスには一部対象外となるケースがあります。ご利用の際は公式サイトなどで最新の情報をご確認ください。
<著者プロフィール>

タナカヒロシ(ライター・編集者)

普段は音楽やエンタメ関係の仕事が多いが、過去に勤めていた会社の都合でクレジットカード本を作ったことをきっかけに、クレジットカード、電子マネー、ポイントなどに詳しくなる。以降、定期的にクレジットカードのムック本を編集・執筆。2015年3月発売の『最強クレジットカードガイド2015~本当にトクするカードの選び方・使い方~=写真=』(角川マガジンズ)では、編集統括および記事の大部分を執筆している。