私はかれこれ20年近く、家計のやりくりの取材を通して多くの人とお会いしてきました。そしてあるとき気がつきました。お金を貯めている人が、共通してやっている習慣があることを。お金が貯まる人は間違いなく節約家です。節約家というのはケチとは違います。ムダなことにはお金は使いませんが、ここぞということにはしっかり使います。本当に楽しいことや価値のあることにお金を使うために、日々のムダをなくす……そんな賢い節約家さんたちの習慣をご紹介します。

お金が貯まらない人には共通点がある

まずは、次のチェックリストで自分に当てはまるものをチェックしてみてください。

□今、財布の中にいくら入っているか即答できない

□家にビニール傘がたまっている

□お店に入って何も買わずに出るのは気が引ける

□今月分のクレジットカードの支払額が多くて驚いたことがある

□ストレス発散は買い物ですることが多い

□自分は無駄遣いをしていないと思う

□セールや特売品に弱い

□ちょくちょくダイエットをするがすぐに挫折する

□部屋の片づけが苦手だ

□「まっ、いいかー」「なんとかなる」が口癖

このうち3つチェックがついたら、あなたは「お金が貯まらない習慣」が身についているかもしれません。

私は、これまでに家計のやりくりについて多くの人たちを取材してきましたが、上手にお金を貯めている人もいれば、なかにはいつまで経っても預金残高が増えない人たちもいました。そういう人たちにその暮らしぶりを伺うと、そこには驚くほど共通点があり、「お金が貯まる習慣」があるように「お金が貯まらない習慣」というものがあることに気づかされました。

今回は、なかなかお金が貯まらない人たちの"残念な"貯まらない習慣をご紹介します。

「無駄遣いなんてしていません」が口癖

お金が貯まらない人がよく口にするのが「これといった無駄遣いは、な~んにもしていないんですけど……」というセリフ。実は、これが貯まらない原因なのです。通帳の残高を見て「なんで、こんなに減っているの?」、お財布を開いて「あれ? 一昨日、お金をおろしたばかりなのに、どうしてこれだけしか残ってないの?」など、いつの間にかお金がなくなっていると感じたことがある人は要注意です。というのは、自分が何にいくら使っているかが把握できていない証拠だからです。

無駄遣いをした自覚があれば、そのあと「節約しよう」と財布の紐を引き締めますが、自覚がなければ財布の紐は緩みっぱなしです。それで、気がつけばお金がない、そんなに使った覚えはない、出費の大半が使途不明金……というハメになるのです。

「安いから」という理由で買い物をする

「気がつけばお金がない」原因のひとつが安物買い。金額のはる物を買えば、いくらお金の管理がズボラさんでも記憶に残りますが、少額の買い物だとお金を使った意識が薄いものです。しかし、少額といえども出費には違いありません。「チリも積もれば山となる」で少額の買い物をちょこちょこしていると、いつの間にかお金がなくなるという事態に。

「どうしても欲しいというわけじゃないけど、安いから買ってもいいかな」と、「安いこと」が買い物の判断基準になっていると無駄遣いになりがちです。本当に欲しい物ではなかったので、飽きるのも早い。飽きたら「どうせ安かったし」と処分するのもためらいません。「安物買いの銭失い」の言葉通りです。

貯め上手さんは、たとえ100円の物を買うときでも「本当に欲しいか?」「今買う必要があるか?」を自問します。「買う」、「買わない」の判断基準を値段には置きません。本当に欲しい物や必要な物は、高額でも買いますし、そうでない物は100円でも買いません。 買い物でストレス発散する女性は少なくありませんが、安物をちょこちょこ買うのは意外と満足度が低いものです。買ったときは一瞬、満足しても、満足感が持続しなかったり。セールが大好きな人は、買い物の基準を見直してもいいかもしれません。

人生の"貯めどき"を逃している

人生には"貯めどき"があります。独身で自宅住まいの時期、結婚して共働きの時期、子どもにお金がかからない小学生までの時期などです。この時期は収入に対して出費が少ないので、適当にやりくりしていても、お金に困りません。それで「このまま、なんとなくやっていけば大丈夫」という甘い考えに陥りがちです。貯まらない人から「あのとき貯めておけばよかった」という言葉を何度も聞きました。

人生の貯めどきにしっかり貯めたかどうかで、その後の貯蓄額に大きな差が出ます。貯めることができた金額も大事ですが、もっと重要なことは貯める習慣を身につけられたことです。貯める習慣さえ身につけてしまえば、その後、収入が減っても、出費が増えても、貯蓄ペースが多少落ちることがあっても貯め続けることができます。

それが"習慣"の素晴らしさなのです。いったん身につけば、あとは意識しなくても、自然に行動が伴うのが習慣です。お金が貯まる習慣を身につければ、気がついたら預金残高が増えるので、ストレスなしでお金を貯めることができます。ぜひ、今日から「お金が貯まる習慣」を身につけてください。

(※画像は本文とは関係ありません)

<著者プロフィール>

村越 克子

フリーランスライター。学習院大学文学部心理学科卒業。編集会社を経て、フリーに。主婦を読者対象とした生活情報誌を中心に執筆。家計のやりくりに奮闘する全国の主婦を取材し、節約に関する記事を数多く手がける。執筆協力に『綱渡り生活から抜けられない人のための絶対! 貯める方法』永岡書店など。