日産自動車はプレミアムスポーティーブランド「AUTECH」(オーテック)を立ち上げ、日本市場向けに商品を展開していくと発表した。第1弾となる「セレナ AUTECH」を近く発売し、その後は対応車種を拡大していく構えだ。日産のサブブランドといえば「NISMO」(ニスモ)が思い浮かぶが、新たにブランドを立ち上げる同社の意図とは。

オーテック第1弾の「セレナ AUTECH」は近く発売の予定

まずは「セレナ」、今後はSUVやコンパクトカーにも設定

ニスモは日産のモータースポーツ活動をDNAとするブランドで、これまでに「GT-R」「フェアレディ」「ジューク」「ノート」「マーチ」の5車種に展開してきたが、2017年11月21日に「セレナ NISMO」を発売し、計6車種のラインアップとなった。

一方、オーテックは「セレナ」から始めて、車種を拡大していく。オーテックブランドの立ち上げ発表会に登壇したオーテックジャパンの片桐隆夫社長によると、ミニバン、SUV、コンパクトカーなど、需要のある車種にオーテックを設定していく計画だという。

オーテックジャパンは少量多品種生産を手掛ける日産直系のカロッツェリア(工房)だ。画像は同社の片桐社長

多様化するクルマの好みに二枚看板で対応

ニスモとオーテックは、どちらも既存のクルマに「スポーティー」という付加価値をつけるブランド。違いが分かりづらい部分もあるが、ニスモは「ピュアスポーツ志向」、オーテックは「プレミアムスポーティー志向」なのだという。

双方のブランドを特徴づける付加価値は、スポーティーな「デザイン」「ハンドリング」「加速感」の3つで共通しているが、その中でも、ニスモとオーテックではデザインに明確な違いを持たせているという。

例えば、オーテック(左)とニスモではフロントグリルのデザインに違いがある「セレナ」。タイヤもニスモがブリヂストン「ポテンザ」であるのに対し、オーテックはミシュランを履いている

片桐社長によると、スポーティーなクルマを求める顧客の中でも、デザインに対するニーズは一通りではない。ニスモは分かりやすいスポーティーさで訴求する一方、オーテックは欧州メーカーに見られるような「クラフトマンシップ」を感じさせるデザインを採用し、スポーティーかつプレミアム感のある外観で訴えていく方針を示す。デザインへのニーズが多様なので、この二枚看板で対応していこうというのが日産の考えだ。