アライアンス加盟より1対1での相互利益

リース氏: 羽田は夜間の離発着に制限があるといったチャレンジがあります。現在羽田では、夜間帯にたくさんの便が離発着しています。エミレーツ便が羽田に到着するのは22:45なので、そこから日本の地方へ飛ぶというのは難しいため、我々は、羽田路線はアウトバウンドを主なターゲットとして見ています。乗り継ぎをするとしたら、関空から羽田(→ドバイ)を利用されるお客さまが多いのではないでしょうか。

武藤氏: 中東~日本国内の乗り継ぎは双方の時間帯の関係で、なかなか簡単にはいかないものがありますね。日本も含めたアジア各国のエアラインとのパートナーシップやアライアンスに関して、何か新たな計画はありますか。

カンタス航空は2018年3月25日より、シドニー=ドバイ=ロンドン線の経由地をシンガポールに変更する

リース氏: パートナーシップはいつも進化を遂げており、カンタス航空とは2013年からパートナーシップを結んでいます。ただ、カンタスではこのほど、スケジュールの変更(シドニー=ドバイ=ロンドン線の経由地を2018年3月25日よりシンガポールに変更)が発表されました。ですが、これはカンタスの方針で、我々がどうにかできることではありません。

そのほかでは、マレーシア航空のクアラルンプール発でもいろいろなパートナーシップを提携していますし、また、ジェットスターやバンコク・エアウェイズなど各地域での提携もしています。極東地域においては、例えば中国などへのルートを設けるなどという取り組みも強化していきたいと考えています。

今後の期待として現在考えているのが、フライドバイとのパートナーシップ提携に関することです。フライドバイを利用してドバイ以遠のいろいろな地に行くこと、特に日本のビジネスのお客さまの取り込みを図るということです。中央アジアやロシア、アフリカという地にフライドバイに飛んでもらえる機会が増えることになります。

もちろん、フライドバイはエミレーツとは別の会社ということで、より小さな路線に対応できる、また、B737という小型の機材をもっているので、サラエボなどのように休暇目的に利用するお客さまの渡航先に選んでもらえるところで、価値を見込んでもらえると思っています。そうした関係を少しずつ強化しながら、日本からはエミレーツに乗って、その先はフライドバイでという形態を増やしていければいいと考えています。

フライドバイとのコードシェア便の運航は10月29日から開始する

武藤氏: カンタスのEUへの経路やスケジュールの変更によって、エミレーツとカンタスの関係はどう変わり、また、この変更が日本市場にどのような影響を与えると考えていますか。

リース氏: 我々はこの変更によって日本市場に影響が及ぶとは考えていません。というのも、我々が注力しているのはあくまでも日本からドバイ、そこから先に行くお客さまだからです。カンタスのネットワークはとても重要で広大なものであるということは理解していますが、日本に行くお客さまが一度、ドバイを通らないといけないということになると、それは違う流れになるからです。また、ジェットスターとの関係も引き続き強固なものであると思っています。

よりよいプロダクト提供で実現した成田ラウンジ

武藤氏: これからの日本市場への取り組み方について教えていただきたい。例えば日本の旅行会社やOTA(オンラインエージェント)などとの関係をどのようにしていこうと考えていますか。

リース氏: グローバル市場における私たちの考え方として、お客さまが求めるチャネル全てを通じてチケットを購入できるようにするということであり、特に日本においてどうするということを我々日本支社だけが考えるわけではありません。ただ、私が日本に来る前はシンガポール支社長を4年間していましたが、シンガポール市場も日本市場とは随分違っています。

最近ではオンラインで直接購入する、あるいはオンラインの旅行代理店から購入するというお客さまが増えています。市場もどんどん変わっており、日本市場もだんだんその方向にシフトしていると感じています。例えば、国際的なオンラインの旅行代理店もいますし、それに加えて従来型(=店舗型)の旅行代理店がオンラインで対応できるようにしているところが増えています。その間でうまくバランスをとる、そしてなおかつ、優れて商品をお客さまが求める全てのチャネルで出していくということが重要だと考えています。

武藤氏: ニックさんが日本に来て3年になると理解していますが、この3年間において日本でのエミレーツのビジネスに関して顕著な変化として記憶に残ることはありましたでしょうか。

リース氏: 大型機のA380を再導入したということと、成田に自社ラウンジを開設したことです。お客さまにとってよりよいプロダクトを提供し、それを継続的に改善していくということは常に行っていきます。また、昨年に比べて今年の方が販売座席数が増えています。機材大型化で座席数を伸ばしているということは、ビジネスも伸びているということです。

ただし、やらないといけないことはまだ残っていると感じています。例えば、ブランドの知名度をさらに上げていくことができれば考えています。国際的に見ると我々の知名度は高いものの、日本ではまだ知らないお客さまもいます。パートナーの代理店を通じて、あるいはセールス活動や広告を通じて、継続的に知名度向上を図っていかなければならないと思います。

武藤氏: 日本からさらに以遠権を使った路線を飛ばす計画はありますか。米国や中国の地点も含めてです。