コーエーテクモのグループ会社であるコーエーテクモウェーブが手掛けるVR筐体「VR センス」が完成した。ゲームセンターやショッピングセンターなどに向けて販売するもので、受注開始は2017年8月、納入は2017年末が目標だ。価格は320万円(税抜き)。この筐体が売れるかどうかも気になるが、コーエーテクモが見据えるもう1つの商機も見逃せない。

コーエーテクモウェーブのVR筐体「VR センス」が完成した

戦場では硝煙の匂いが!

VR センスはプレイステーションVRの技術を用いた筐体で、特徴は豊富なギミックだ。ゲームの内容に合わせて、振動や傾きを再現する「多機能3Dシート」や「香り機能」などの6種の仕掛けを仕込んである。

実機は東京ビッグサイトで6月30日まで開催中の「コンテンツ 東京 2017」で確認できた。ちなみに、この展示会はビジネス向けの商談展で、一般の方と18歳未満の方は入場できないとのこと

操作方法については、開発当初はモーションコントローラーの「プレイステーションムーブ」を採用する方針だったが、コントローラーが筐体にぶつかったりして危険なので、最終的には一般的なプレイステーション4のコントローラーを使うことに決まったそうだ。

コーエーテクモが特にこだわっているのが香り機能だ。VR センスのプロジェクトマネージャーを務めるコーエーテクモウェーブの藤井久徳氏によると、ゲーム内で戦場に立つ時には「硝煙の香り」がしたり、競馬を体験する時には「草原の香り」がしたりと、シーンに合わせて10種類以上の香りが体験できるという。この機能は筐体に搭載する香りのカートリッジで実現している。

これまでに発表されていたソフトは、「超 真・三國無双」(画像左)、「ホラー SENSE ~だるまさんがころんだ~」、「ジーワン ジョッキー SENSE」(画像右)の3本

ソフトは現時点で5本が公開となっているが、現在もメジャーな作品を含め複数のタイトルを開発中だ。サードパーティーのIPを使った大型タイトルにも期待していいとのことだった。販売する筐体には3本のソフトを入れるが、筐体自体の容量としては5本までソフトを入れることが可能。ソフトは入れ替えることもできる。

今回発表になったソフトは、「超 戦国コースター」(画像左)と「DEAD OR ALIVE XTREME SENSE」の2本

継続的に収益を得るビジネスモデル

筐体は320万円で販売し、プレイ代金に応じた従量課金制度も取り入れるという。コーエーテクモホールディングス代表取締役会長の襟川恵子氏は販売目標を「3年で1000台」としたが、コーエーテクモウェーブは現実的な路線として300~500台という数字を挙げていた。筐体の価格として320万円が高いか安いか分からなかったのだが、コーエーテクモウェーブに聞いてみると、例えばレースゲームの筐体は1台あたり200万円程度とのことだった。

筐体を売って、従量課金で継続的に収入を得つつ、追加ソフトも販売していくというのが、VR センスを展開するコーエーテクモのビジネスモデルだ。だが、同社のVRビジネスにはもう1つの商機が見込める。