スナック菓子などによる過剰な塩分摂取は高血圧を招きやすい

厚生労働省発表の「人口動態統計の概況」によると、2014年は男女合わせて3万2,550人が脳出血(脳内出血)が原因で亡くなっていた。一昔前に比べれば脳出血の患者は減ってきているが、それでもこれだけ多くの人がいまだに命を落としている。

そんな恐ろしい病気である脳出血は、いったいどのような症状を呈し、どのような原因で発病するのだろうか。高島平中央総合病院脳神経外科部長の福島崇夫医師にうかがった。

さまざまな脳出血の症状

脳梗塞、くも膜下出血と同様に、脳卒中の一つである脳出血。その症状は多岐にわたり、出血した場所である程度決まってくる。主だったものを以下にまとめた。

■運動麻痺(片麻痺)
運動神経の通り道(錐体路)に障害が生じることによって、運動麻痺(まひ)が起こる。具体的には、右脳で脳出血が起きたら左の手足が、左脳で起きたら右の手足に麻痺(片麻痺)の症状が現れ、自分の意志で思うように手足を動かすことが難しくなる。

■高次脳機能障害
大脳に損傷が生じると、言語や思考、学習などの機能に障害が出ることがある。言語機能に障害が生じると、「ろれつが回らず思い通りに言葉を話せない」「相手の話していることが理解できない」といった症状が見られることも。

■頭痛
出血のため脳の中の圧力が高くなり、頭痛を伴う。

■感覚障害
脳出血の好発部位である「視床」と呼ばれる部分が出血を起こした場合、感覚障害を伴うケースが多いとされている。感覚障害を起こすと、冷温の感覚がわからなかったり、痛覚や触覚がにぶくなったりするほか、しびれ感などを伴う異常感覚と呼ばれる症状が現れることもある。

「症状だけで脳出血と診断することは困難ですが、大きなくくりでいえば、『突然の頭痛』『片麻痺』『しびれ』があった場合は脳出血を含めた脳卒中を考えないといけません」と福島医師は話す。

病気の前兆がない恐ろしさ

これらの症状がある日突然、何の前触れもなくやってくる点も脳出血が怖い理由の一つと言える。

例えば、脳梗塞の場合は本格的な発作を起こす前に「一過性脳虚血発作」(TIA)と呼ばれる「前触れ発作」を患者の約3割が経験していると言われている。片方の手足の麻痺やろれつが回らないといった、脳出血でも見られる症状が数分から30分ほど出現するため、患者はなんとなしに「病気の前兆」を感じることができる。

ただ、「脳出血で1回出血してダメージを負った箇所はすぐには癒えないため、前兆はないんですよね」と福島医師は話す。すなわち、自ら「何か体が変だな」と感じ、病院へ検査に行って病気を未然に防げる可能性は、どうしても低くなってしまうわけだ。