マゼンタの色合いにうなる

さて、PENTAX機の愛用者は前ページの作例から、あることに気付いたのではないだろうか。それは電車の色、特にマゼンタの表現だ。従来のPENTAX機は、このような彩度の高い色がやや不得手で、マゼンタや黄色などは飽和してしまうことが多かった。だが、K-1で撮影したものは、実際の車体色にきわめて近い。これは、花やテキスタイルを撮影するユーザーにとって福音といえるだろう。

AWB (オートホワイトバランス) は、初期状態だと依然としてPENTAXらしく若干アンバーに振れるように感じる。とはいえ、このカメラを使う人ならここぞという場面ではRAWで撮影するだろうし、実際にはあまり影響はないだろう。それに従来の同社一眼レフ同様、WBが細かく調整できるので、JPEG撮影を志向する人も自分好みの設定で撮影できる。なお今回の作例は、特に付記がない限り、カスタムイメージを「鮮やか」にして撮影している。

K-1とHD PENTAX-D FA★ 70-200mmF2.8ED DC AWの組み合わせは、多少の降雨時でも安心して使える防塵防滴仕様。PENTAX機のAWBは伝統的にアンバーなので、梅雨の気温を感じられるよう、現像時にWBを青方向へ振ってみた。絞り優先AE (F8 1/200秒) ISO800 WB:オート レンズ:HD PENTAX-D FA★ 70-200mmF2.8ED DC AW

高い解像力を持つHD PENTAX-D FA★ 70-200mmF2.8ED DC AWは、テレマクロ風の使い方もできる。ぜひ、原寸画像で水滴をご覧いただきたい。こちらも現像時にWBを変更している。絞り優先AE (F8 1/200秒) ISO800 WB:オート レンズ:HD PENTAX-D FA★ 70-200mmF2.8ED DC AW

行き先表示のLEDが切れないように、シャッター速度を1/125にキープしつつ、絞りも固定したい。が、上空の雲の流れによって光量が変化してしまう。そんなときは、ISOを自動化して露出補正も効く「TAvモード」が活躍する。TAvモード (F6.3 1/125秒) ISO125 WB:オート レンズ:HD PENTAX-D FA★ 70-200mmF2.8ED DC AW

踏切端の雑草と走り去る車両の顔が合う位置を薄めのピントで狙う。シャッタースピード優先AE (F4 1/1000秒) ISO800 WB:オート レンズ:HD PENTAX-D FA★ 70-200mmF2.8ED DC AW

ピント位置(優先席シールあたり)から背景ボケに至る、美しく自然な立体感が素晴らしい。K-1とこのレンズの組み合わせは、時間を忘れるほど撮影に没頭させる魔力を持っている。シャッタースピード優先AE (F4 1/1000秒) ISO800 WB:オート レンズ:HD PENTAX-D FA★ 70-200mmF2.8ED DC AW

スロープを利用して背景を抜き、架線とレールのカーブで幾何学的な面白さを狙ってみた。原寸画像を拡大していくと、車両が緻密に描写されているのがわかる。シャッタースピード優先AE (F4 1/1000秒) ISO100 WB:オート レンズ:HD PENTAX-D FA★ 70-200mmF2.8ED DC AW

このレンズの絞り羽根は9枚で、F2.8-5.6までが円形絞りとなる、とカタログにはある。が、F4でもまったく角が出ないというわけではないようだ。絞り優先AE (F4 1/1000秒) ISO100 WB:オート レンズ:HD PENTAX-D FA★ 70-200mmF2.8ED DC AW