NVIDIAは19日、同社のデスクトップ向けGPUの新モデルとして、メインストーム向けの「GeForce GTX 1060」を発売した。価格はベンダ版が249ドル、Founders Editionが299ドル。なお、Founders EditionはNVIDIA.comのみでの販売とされ、国内の店頭に並ぶのはベンダ版とみられる。それでは早速そのパフォーマンスをチェックしたい。

GeForce GTX 1060は、PascalアーキテクチャをベースとしたミドルレンジのGPU。16nmFinFETにによる製造だが、GPUコアはGeForce GTX 1080/1070の"GP104コア"とは異なり、"GP106コア"を採用する。

CUDAコア数は1,280基。Pascal世代のコンシューマ向けGPUでは、128基のCUDAコアで1基の「Streaming Multiprocessor」を構成、さらにそのSMを5基束ねて1基のGPC(Graphics Processing Cluster)としている。つまり、"GP106コア"では10基のSM、2基のGPCという構成で、GP104コア(GeForce GTX 1080)のちょうど半分となる。

GP106コアのブロックダイアグラム

GP104コアのブロックダイアグラム

動作クロックは、ほかのPascal世代のGPUと同様に従来世代から大きく引き上げられている。GeForce GTX 1060のリファレンスクロックは、ベースが1,506MHz、ブーストが1,708MHzとなっている。なお、NVIDIAによると2GHzまで容易にオーバークロックできるとし、カードベンダからハイクロックの製品も投入されそうだ。TDPは120Wで補助電源コネクタは6ピン×1。

GPU-Z 1.9での表示。ダイサイズが200平方mm。ここではブーストクロックが1,709MHzとなっている

メモリインタフェースは192bitで、メモリスピードは8Gbpsの6GB GDDR5。競合となるRadeon RX 480では最大8GBのメモリを搭載しているが、いよいよミドルレンジGPUでも4GBを越えるメモリが標準で採用されるようになった。

■ 表1 GeForce GTX 1060と既存モデルのスペック比較
製品名 GTX 1080 GTX 1070 GTX 1060
CPUコア GP104 GP104 GP106
プロセスルール 16nm 16nm 16nm
CUDAコア数 2,560基 1,920基 1,280基
ベースクロック 1,607MHz 1,506MHz 1,506MHz
ブーストクロック 1,733MHz 1,683MHz 1,708MHz
メモリ GDDR5X GDDR5 GDDR5
メモリ容量 8GB 8GB 6GB
メモリバス幅 256bit 256bit 192bit
メモリスピード 10Gbps 8Gbps 8Gbps
メモリ帯域幅 320GB/秒 256GB/秒 192GB/秒
TDP 180W 150W 120W
補助電源 8ピン 8ピン 6ピン×1

これらにより、GeForce GTX 1060は旧世代製品から大きく性能向上を実現。NVIDIAでは、前世代のハイエンド「GeForce GTX 980」に匹敵するパフォーマンスを提供するとしている。なお、GeForce GTX 1060ではSLIに対応しない点も特徴だ。NVIDIAはGeForce GTX 1080/1070でも基本的にSLIは2wayまでとしており、Pascal世代からSLIの扱いが変化している。Radeon RX 480がCrossFireをアピールしているのと対照的だ。

GeForce GTX 980の性能をメインストリームのゲーマーまで広げるという