集客につながる施策、ロールケーキのチョイスにも秘密が

ローソンの小坂氏

「(日本郵便からの提案だったが、)はがきを送った方が、文章で気持ちを伝えるだけではなく、ちょっとしたプレゼントを贈ることができるという今までにない取り組みであった事から、新たな郵便需要の拡大にもつながると判断し、実施しました」。ローソン開発本部 郵政ビジネス部の小坂哲也主事は、プレゼント付き年賀はがきに取り組んだ背景をこう説明する。ローソンは2008年、日本郵政との間で総合的提携についての合意文書を締結。両者が関係を深めるなかで年賀状の新たな取り組みが持ち上がったようだ。プレゼント付き年賀状ビジネスを実施しているコンビニエンスストアはローソンだけだ。

2015年に始まったプレゼント付き年賀はがきの販売だが、郵便局での販売実績は1万セット(2万枚)でほぼ完売という結果だった。この年賀はがきを受け取った人の中には、お正月にローソンに行った人が少なからずいるものとみられる。ローソンとしても、プレゼント付き年賀はがきは「加盟店への来店を促す事にもなり、集客施策としても有効」(小坂氏)と判断した。ロールケーキは正月というハレの時期にマッチする商品との考えから選定したという。

プレゼント付き年賀はがきは2枚組セットで税込み490円。この取り組みについてローソンは、今後も継続する方向で日本郵便と検討を進めているという

年賀状を買う場所として定着しているコンビニだが、売るほうにとってみれば年賀状ビジネスには独特の難しさがあるらしい。基本的にはどこで買っても同じ値段の年賀状は、販売する際の差別化が困難なのだ。年賀状関連ビジネスでは、事前予約を受け付けたり、販促用の什器を置いてプロモーションを行ったりと、似たような展開になりがちのコンビニ業界。ローソンのプレゼント付き年賀はがきは、他のコンビニと一線を隠す画期的な取り組みといえそうだ。