まだ上半期も終わっていない2016年だが、年賀状商戦はすでに始まっている。携帯電話のメールやメッセージアプリなどに押され、規模は縮小傾向にある年賀状市場だが、日本郵便をはじめとする関連企業は売上拡大に知恵を絞っているようだ。2016年6月13日に東京で開催された「年賀状サミット」には、年賀状ビジネスに携わる業界関係者らが集結。なかでも異彩を放っていたのは、独自の年賀状を販売し、お正月の集客を伸ばそうとするローソンの取り組みだ。

年賀状サミットの様子(写真左)。最前列左から2人目が日本郵便代表取締役社長の髙橋亨氏だ。会場には日本郵便のキャラクターである「ぽすくま」(写真右)も駆けつけた

年賀状市場は縮小傾向

年始周りは奈良時代から続く日本独自の習慣。明治時代に郵便制度が整い、郵便はがきが発行されると、はがきで年賀状を送るという習慣が急速に広まった。「お年玉くじ付き年賀はがき」が発行された1949年からの推移を見ると、発行枚数は最初の年の1.8億枚から右肩上がりに伸びていき、ピークとなった2004年には約44億6,000万枚に達した。その後は一時的に盛り返したこともあるが基本的には縮小傾向をたどり、発行枚数は2015年に32億枚強まで減少した。

市場縮小の背景として、日本郵便の髙橋社長は「他の通信手段の発達」に加え、年賀状を出すことが形式化してしまっている側面があるとの現状分析を披露した。確かに形式的に出す年賀状は準備するのがとりわけ面倒に感じるもの。こういった声を受けて、日本郵便が年賀状の「丸投げ」サービスを始めたのも記憶に新しいところだ。

ローソンと日本郵便が仕掛けるプレゼント付き年賀状

日本郵便が年賀状市場の盛り返しに向けて様々な手を打っているなかで、異彩を放っているのがローソンと協力して実施している「プレゼント付き年賀はがき」の取り組みだ。この年賀はがきにはQRコードが付いており、ローソンに持ち込むと「プレミアムロールケーキ」に交換できる。

なぜこのような企画が持ち上がったのか。そしてなぜ、ロールケーキだったのか。両者の狙いが気になるところだ。