コード名「Spartan」で開発が進められ、Windows 10の既定Webブラウザーとしてデビューした「Microsoft Edge (以下、Edge)」だが、利用しているという声はあまり聞こえてこない。実際に使ってみるとHTMLエンジンのチューニング度は高いものの、必要最小限の機能しか備えていないため、普段使いのWebブラウザーとしては物足りない。
Microsoft EdgeプログラムマネージメントディレクターのJason Weber氏は2月3日の公式ブログで、2016年中に取り組む開発の優先順位として、エクステンションプラットフォームを1番に掲げていた。問題は提供開始時期や開発コミュニティがいつ盛り上がるかだが、その一端がようやく見えてきた。
3月15日にMicrosoftは、Windows 10 Insider Preview向けに、Edge用拡張機能のダウンロードページを公開した。当初は「Microsoft Translator」「Mouse Gestures」「Reddit Enhancement Suite」と3つの拡張機能が並んでいたが、筆者はその日、所用で外出しなければならなかったため、ダウンロードのみに留めていた。
そして翌日、インストールを試みたものの、Edgeに何の変化も生じない。<詳細>メニューに<Extensions>は現れず、拡張機能のボタンが並ぶこともない。この時点では、プレビュー版のため、動作しないのだろうと軽く考えていた。なお、試した環境はWindows 10 Insider Preview ビルド14279、Edgeは31.14279.1000.0である。
何らかの追加情報があるかと再びダウンロードページを訪れてみると、そこには「ページが見つかりません」の文字が並ぶだけ。一晩でページが消えてしまったのである。何らかの不具合が見つかったのかはわからないが、このように情報が一瞬だけ表に出ることは珍しくはない。
Edge拡張機能ページのチラ見せは2015年12月にも起きている。そのときは、「Reddit Enhancement Suite」「Pin It Button」を誤って公開した後、ページを閉じている。度重なるミスがMicrosoftの焦りを裏付けているように感じるのは筆者だけだろうか。
MicrosoftはMozilla FirefoxやGoogle Chrome用の拡張機能からEdge用への移植を容易にすると当初から説明している。Mozilla Firefoxも近々のバージョンでWebExtensions APIを導入する見込みで、Webブラウザー間の垣根が取り払われつつある。
Microsoftは米国時間3月17日にWindows 10 Insider Preview ビルド14291をリリースし、変更点の1つとしてEdgeの拡張機能をアピールしている。今回の一件はInsider Previewのリリースタイミングと拡張機能ページの公開タイミングがずれたことから発生した事案と察するが、これでようやく拡張機能が使用可能になり、開発者向けカンファレンス「Build 2016」に向けて開発環境整備も進むだろう。2016年夏以降はEdgeも他のWebブラウザーと肩を並べることになりそうだ。
阿久津良和(Cactus)