ルフトハンザ ドイツ航空は10月20日、都内で日本支社長の交代とともに、今後の経営戦略について発表。2016年1月1日にルフトハンザグループ内のフルサービス航空会社3社を経営統合するほか、同グループのLCC(ローコスト航空)であるジャーマンウイングスを同じく同グループLCCのユーロウイングスに統合する。

ルフトハンザのカール・ウルリッヒ・ガーナートCEOが今後の戦略を発表

年間最終利益で5億ユーロ増

今後の経営戦略についてルフトハンザのカール・ウルリッヒ・ガーナートCEOは、座席や機内食、機内ネットワークなどの高品質サービスをどの路線でも提供するという「プレミアムネットワーク」とともに、ユーロウイングスなどのようにコストを抑えることで成功する「ポイント・ツー・ポイント(地点間路線)」を経営の柱とし、特にユーロウイングスはこの2,3年の中で最も注力すべき事業として独立性をさらに強化していくという。

ユーロウイングスは欧州間路線のみならず、11月2日からはタイ(バンコクとプーケット)やドバイ、ドミニカ(プンタカナとプエルトプラタ)、キューバ(バラデロ)に乗り入れるなどの長距離路線も運航する。機材はA330-200で、プレミアムエコノミーとエコノミーの2クラスを設定し、機内Wi-Fiも導入する。また、11月にはユーロウイングス・ウィーン(オーストリア)の設立も予定している。

現在、欧州のポイント・ツー・ポイントではすでにイージージェット(英国)やライアンエア(アイルランド)が先行しているが、ガーナートCEOは「2社に肩を並べるのは難しいものの、90以上の路線展開で欧州3位を目指す。ルフトハンザとは独立した事業として競争力を高め、年間の最終利益で5億ユーロ増を目指す」とコメントしている。その中で、ジャーマンウイングスを徐々にユーロウイングスへ統一させていく。

ユーロウイングスで欧州第3位を狙う

3社の経営統合で裏方の人材を15%削減

ルフトハンザ ドイツ航空としては、同グループ傘下にあるスイス インターナショナル エアラインズとオーストリア航空を2016年1月1日をもって経営を統合する。各ブランド名はそのまま継承されるが、路線計画やチケットの価格設定、さらには機材や燃料の購入、各空港への交渉などでメリットを共有できる新組織に移行する。

これらのプロセスの共有によってよりスムーズな意思決定のほか、裏方となる部門の人員を15%削減することも見通している。この3社の経営統合は、2012年からジョイントベンチャーを展開しているANAにもメリットをもたらすとガーナートCEOはコメントしている。

左から、カール・ウルリッヒ・ガーナート氏、現日本支社長のオットー F.ベンツ氏、次期日本支社長のドナルド・ブンケンブルク氏、取締役兼CCOのイェンス・ビショフ氏