2013年はウェアラブルデバイス元年ともいえる年だった。以前にもレポートした通り「ウェアラブル」というと定義は広いが、体に身につけてスマートフォンやネットワーク・アクセスポイントと接続する形で「センサーを拡張」したり「内蔵コンピュータによる補助デバイス」としての役割が期待できるものだ。
IT各社が次に目指すもの
ウェアラブル・コンピューティング・デバイスの市場は2018年にも5億台規模にまで成長するという予測もあるが、現在のところブームを主に牽引しているのはFitbitやNike+FuelBandのような健康器具系のデバイスだ。AppleにこのFuelBand開発者が移籍したことが話題になったりと、今後同市場への新規参入メーカーが増えるという予測がある。だが本項目では「HUD (Head-Up Display)」というゴーグル型の装着デバイスや「スマートウォッチ」などとも呼ばれるリストバンド型デバイスに少し注目してみよう。
コンシューマ向けHUDとして、おそらくいま一番有名なのが「Google Glass」だろう。発表自体は2012年4月と早いが、実際に実動デバイスに関する報告が出たのが2013年1月に米ニューヨーク市内の地下鉄でGoogle Glassを装着したSergey Brin氏の姿がTwitter投稿されたときで、開発者向けの「Google Glass Explorer Edition」の有料販売(ベータテスト)がようやくスタートしたのが今年5月のことだ。だがこのExplorer Editionの価格は1500ドルであり、一般ユーザーはおろか、開発者でさえおいそれとは手を出せない水準だ。2014年前半に登場するといわれる一般販売向けバージョンの価格は500ドル以下くらいになるとみられるが、デバイスとして一般化するのはまだもう少し先の話だろう。
このGoogle Glassだが、ベータテスト開始からそのまま放置して開発者をの動向をうかがっている…… というわけではなく、少しずつだがバージョンアップによる改良が重ねられている。まず、今年10月にはExplorer Editionを購入したユーザーに対する新デバイスへの交換プログラムが実施されている。イヤフォン装着が可能な新デザインへと変更が行われており、指定の場所へデバイスを送付すると新デバイスを送り返してくれるというものだ(Google I/Oで入手して海外に持ち出した米国外在住ユーザーでも一度米国へ送り返す必要があるようだ)。