MSIは14日、東京・秋葉原のツクモパソコン本店4Fにて、同社の最新製品を紹介する「MSI冬の新製品特別セッション in Akiba!」を開催した。既報の通り、イベントには日本AMDが"緊急参加"という形でRadeon R9/R7シリーズの解説などを行った。

「MSI冬の新製品特別セッション in Akiba」は、14日の13時からと16時からの2回行われ、1回目のセッションでは発表したばかりのゲーム向けMini-ITXマザーボード「Z87I GAMING AC」が、2回目のセッションでは、NIVIDIA GeForce GTX 760搭載の短尺カード「N760 2GD5/OC ITX」が紹介された。今回は2回目のセッションを中心にレポートしたい。

国内初披露の独自クーラー採用Radeon R9 290X搭載カード

早速「N760 2GD5/OC ITX」の製品紹介の模様をお伝えしたいのだが、セッションを担当したエムエスアイコンピュータージャパンの三好正行氏が最初に取り出したのは、大型のグラフィクスカード。これは同社の独自クーラー「Twin Frozr 4S」を備えたRadeon R9 290X搭載グラフィックスカード「R9 290X Twin Frozr 4S OC」で、今回のイベントのために製品担当者が台湾から運んできた物だという。

エムエスアイコンピュータージャパンの三好正行氏

R9 290X Twin Frozr 4S OC

さて、この「R9 290X Twin Frozr 4S OC」に搭載する独自クーラー「Twin Frozr 4S」だが、基板全体を覆う大型のヒートシンクやバックプレートなど、ほかのカードの同名クーラーと大きく異なっており、どちらかというと製品名に"Lightning"が付くモデルと近い構造となっているとする。

左からRadeon R9 280X搭載の「MSI R9 280X Twin Frozr 4S OC」、Radeon R9 290X搭載の「R9 290X Twin Frozr 4S OC」、GeForce GTX 780搭載の「N780GTX Lightning」

Radeon R9 290X/290搭載グラフィックスカードは、現状リファレンス仕様の製品しか市場に出回ってない。しかし、AMDが「95度でも正常に動作するようにR290シリーズを設計している」とアナウンスするように、Radeon R9 290X/290は動作時にかなり発熱するという特長がある。

またリファレンス仕様のファンは騒音も大きく、メーカーの独自クーラーを搭載した製品を待ち望んでいるユーザーも多いことだろう。三好氏によると「できれば年内に発売したい」とのことで、もうしばらくの辛抱といったところだ。ちなみに価格は80,000円程度の見込み。

完全新設計の"RADAXファン"で短尺化を実現

続いてはいよいよ「N760 2GD5/OC ITX」の紹介。「N760 2GD5/OC ITX」はカード長が170mmの小型フォームファクタに適した製品だ。

「N760 2GD5/OC ITX」

三好氏によるとGeForce GTX 760の場合、リファレンス仕様の基板サイズが短いことから「もともと小型化は可能」だったが、冷却システムにある程度の大きさが必要なため、なかなか実現できずにいたという。

リファレンス仕様のカードから7cmの小型化を実現

それを解決したのが完全新設計の"RADAXファン"で、従来のグラフィックスカードに使われるアキシャル(軸流)ファンとラジアル(放射)ファンを組み合わせたものとなる。アキシャルファンの特長である薄型化や静音設計のしやすさに加えて、ラジアルファンの特長である大きなエアフローや後方排気のしやすさを備える。

新設計の"RADAXファン"搭載

2つのファンを組み合わせている

"RAD"ialと"AX"ialを合わせて"RADAX"

内側にアキシャルファンで外側にラジアルファンを配置

他社からもアキシャルファンとラジアルファンを組み合わせたファンが登場しているが、構造が異なり、"RADAXファン"の方が消費電力や冷却性能、低ノイズに優れているとして、"RADAXファン"の優位性をアピールした。

他社製ファンとの比較

ラジアルファン部の気流解析

アキシャルファン部の気流解析

ヒートシンクの構造

バックプレートによる冷却効果

また、セッションの最後には「おまけ」として今後の製品展開についても紹介。「Twin Frozr 4S」採用のNVIDIA GeForce GTX 780 Ti搭載カードについても間もなくの発売を予定するほか、"Lightning"に関しては「Lightningは選別したチップを使うため、チップの供給量が増えないと難しい」と前置きしつつも「(ユーザーから)ご期待いただいていると思うので、製品開発に取り組みたい」とした。

未来を語れるのはAMDだけ!

「緊急参加」した日本AMDのセッションでは、Radeon R9/R7シリーズを中心に紹介が行われた。Radeon R9/R7シリーズについては、すでに「GPU14」やその後のベンチマークテストなどでも解説を行っているのでそちらも参照してほしい。

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AMDでは同社の「GCN」アーキテクチャが、SONYのPlay Station 4とMicrosoftのXbox Oneという2つの次世代ゲーム機に採用されたことで、「これからのゲームがGCNに最適化」され、さらに「Radeon Rシリーズでも良い性能が出るのでは?」という見解を述べた。

AMDは次世代ゲームコンソールにGCNが採用されたことで、今後のゲーム業界で大きなアドバンテージが得られたという考え

現在、EA DICEのFrostbiteに加え、Square Enixのグループ会社であるCloud Imperium GamesやEidos-Montreal、Oxide Gamesが、AMDのグラフィックスAPI「Mantle」へ対応することを表明するほか、Crytekも「Mantle」対応を検討しているという。

大手ゲームエンジンも対応を表明、あるいは検討しているという

「Mantle」によるパフォーマンス向上は1桁%ではない!

「Mantle」対応第1弾のゲームタイトルである「Battlefield 4」だが、通常版(DirectX版)はすでに発売中で、12月末ごろに「Mantle」対応版がリリース予定だという。Radeon Rシリーズユーザーは無償でアップデートされ、「Mantle」対応版をプレイできるという。

2013年末にリリースという「Mantle」対応版では大幅なパフォーマンス向上が見込まれる

AMDでは、「"Mantle"による性能向上は1桁%でない」と強調。大幅なパフォーマンス向上が見られることを匂わせた。

最新ドライバによってポジショニングが変化したAMD Aシリーズ

最後にAPUのアップデートを紹介。2013年9月にリリースしたドライバによって、AシリーズAPUの性能が向上、またWindows 8への最適化が進み、Windows 8/8.1利用時によりパフォーマンスを発揮するという。

2013年9月のドライバアップデートでAシリーズAPUの性能が向上したという

これにより、「A10」シリーズはIntel Core i5プロセッサ、「A8」シリーズはIntel Core i3と比較して、それぞれハイパフォーマンスかつ低価格というポジショニングになるとした。