日本マイクロソフトは11月21日と22日の2日間、都内のホテルのおいて同社の製品やサービス、最新テクノロジを紹介するプライベートイベント「The Microsoft Conference 2013」を開催した。

日本マイクロソフトのイベント「The Microsoft Conference 2013」において、企業のIT担当者向けにWindows 8.1の機能を説明するセッションが行なわれた

The Microsoft Conference 2013レポート

■キーノート&デモ「我々の生活を変えるクラウドOS時代」
■Windows 8.1 概要 -さらに進化した Windows
■他では聞けない! Windows 8.1がここまでPCを変えた! あなたの常識と認識をつい破る、最新Windowsデバイス
■マイクロソフトの最新タブレット、Surfaceのすべて
■マイクロソフトの最新タブレット、Surfaceのすべて -活用&管理編

国内におけるWindowsビジネスの総責任者である、日本マイクロソフト Windows本部 業務執行役員 本部長 藤本氏

会場ではさまざまな分野のセッションを設け、企業のIT担当者や開発者向けに新製品や新サービスの概要が紹介された。ここでは数々のセッションの中から、「Windows 8.1概要 - さらに進化したWindows」の内容を紹介する。

Windows 8.1自体は10月18日にリリースされているので、すでに触っている人も多いだろう。前述の通り今回のセッションは「企業のIT担当者や開発者」に向けたものであり、基本的に新しい情報は発表されていない。すでにご存知の情報も多いとは思うが、おさらいとしてご一読いただきたい。

日本マイクロソフト Windows本部 業務執行役員 本部長の藤本氏はセッションの冒頭において、まずWindows 8開発前のプランニングについて説明。スマートフォンやタブレットの需要が高まっていく中で、今後主流になるであろう次世代のモバイルコンピューティングをどのようにデザインしていくか、そしてPCの生産性とタブレットの利便性をどのようにして両立するかという観点から、再創造されたのがWindows 8であると強調した。

世界においてモバイルデバイスがどのように増加するのかを予測したグラフ

ユーザーが抱える「生産性の高いPCと利便性の高いタブレットのどちらを選ぶべきか」という悩みを解決するため、Windows 8の設計が始まったとのこと

Windows 8において実現するべき目標として掲げられた項目

さらにWindows 8.1は、「Windows 8をより使いやすく生まれ変わらせたものだ」とも。Windows 8のリリース後、ユーザーから寄せられたフィードバックをもとに、インタフェースを始めとしたさまざまな改良が施されているという。

ここで、なぜWindows 8からスタートボタンがなくなったのかという点について、藤本氏から説明があった。

Windowsでは、個々のユーザーから収集したテレメトリーデータをもとにして、機能やインタフェースの改善を進めている。このデータを分析したところ、日常業務においてはスタートメニューが使われる機会が少なかったという。よってWindows 8では一度スタートボタンを外したが、ユーザーからのフィードバックに応えて、Windows 8.1で復活させたとのことだ。その際、どのような形で復活するかについても、テレメトリーデータをもとに検討している。

ユーザーから収集した情報の分析例。どのような情報かは明らかにされなかったが、膨大なデータをもとに、インタフェースや機能の改善を行なっているという

ユーザーからのフィードバックや、テレメトリーデータから生み出されたWindows 8.1

今回のセッションで特に重点的に紹介されたのが、Windows 8.1における企業向けの強化点だ。個人向けの内容と重複する部分もあるが、主なポイントは「インタフェースの改善」と「アプリの充実」、「デバイス利用やネットワーク接続の強化」、「BYOD機能の強化」、「企業向けセキュリティ」の5つ。

まずインタフェースの改善ポイントとしては、デスクトップ画面にスタートボタンが追加された点や、スタート画面をよりカスタマイズできるようになった点、スナップ機能の強化によって複数のアプリを同時に表示できるようになった点などが挙げられた。

企業業務の観点から見たWindows 8.1の強化ポイント

デスクトップ画面やスタート画面のインタフェースが改善されたほか、ポリシー設定でスタート画面に特定アプリのみ表示することが可能に

インタフェースだけでなく、システムパフォーマンスも向上している。Windows 8ではWindows VistaやWindows 7と同じLonghornカーネルが採用されているが、起動時間が約1/3になっているところなどが、分かりやすい部分だろう。同時に、消費電力性能やセキュリティ面も強化されている。

Windows 8.1に搭載されているInternet Explorer 11のパフォーマンスも向上し、HTML5ベースのWebアプリも快適に動作するとのこと。リッチなコンテンツを、少ないリソースで作れることがメリットだと説明した。また、デバイス上で動作するアプリを1つに限定する「アサインド アクセス」の紹介とデモも行なわれた。

Internet Explorer 11はレンダリング性能が向上し、より高速でなめらかな動作が可能となった

1種類のアプリしか起動できないようにデバイスを制限する「アサインド アクセス」。デバイスを業務用キオスク端末のように使うために最適な機能

周辺機器との接続性については、PCの映像をワイヤレスでディスプレイへ送信するMiracastをネイティブでサポートするほか、Wi-Fi DirectやNFCを利用したプリンタとのペアリング/印刷が可能になったと説明。ネットワーク接続については、サードパーティ製のVPNクライアントをあらかじめ組み込むなどの改善が施されている。

Windows 8.1で強化された周辺機器の連携とネットワーク接続機能

個人デバイスを社内で使うBYODスタイルの需要が増えてきたことから、スマートフォンやタブレットから企業リソースを利用できる機能を取り入れたことも、特徴として挙げられた。OMA-DM機能が組み込まれたことにより、オープンなMDM(Mobile Device Management)も行なえるとのこと。また、マルウェア対策やアクセス制御といった、企業には欠かせないセキュリティ機能も強化されているという。

強化されたBYOD機能(写真左)とセキュリティ機能(写真右)

セッションの最後には、Windows XPとOffice 2003のサポートが2014年4月9日に終了する旨が改めて説明され、それぞれ最新版(この時点ではWindows 8.1とOffice 2013)への移行が促された。

すでにご存知の通り、2014年4月9日にWindows XPとOffice 2003のサポートが終了する