日本マイクロソフトは、自社製品およびサービスを大々的にアナウンスする年次イベントを開いてきたが、今年も11月21日~22日の2日間、都内のホテルで「The Microsoft Conference 2013」を盛大に開催。同イベントは、企業のIT担当者やITエンジニアなど法人を対象に同社の最新テクノロジや製品、サービスを紹介するというものだ。

Windows 8.1やSurfaceシリーズといったクライアント製品、デバイスはもちろん、Windows Server 2012 R2やWindows Azure(アジュール)といったサーバー製品、Visual Studio 2013などの開発ツールなど、80以上にもおよぶ各ブレイクセッションで詳しく解説された。ここでは、初日の午前中に行われたキーノート(基調講演)を対象にしたレポートをおお届けする(図01)。

The Microsoft Conference 2013レポート

■キーノート&デモ「我々の生活を変えるクラウドOS時代」
■Windows 8.1 概要 -さらに進化した Windows
■他では聞けない! Windows 8.1がここまでPCを変えた! あなたの常識と認識をつい破る、最新Windowsデバイス
■マイクロソフトの最新タブレット、Surfaceのすべて
■マイクロソフトの最新タブレット、Surfaceのすべて -活用&管理編

図01 「The Microsoft Conference 2013」は2013年11月21日~22日の開催

最初に壇上へ立ったのは、日本マイクロソフト 代表執行役社長の樋口泰行氏だが、話もそこそこにMicrosoft InternationalのプレジデントであるJean-Philippe Courtois(ジャン-フィリップ・クルトワ)氏が登場。同役職は、米国およびカナダを除いた世界に広がる100カ所の海外拠点を統括する担当であり、樋口氏の上司にあたるという。Courtois氏は、アベノミクスによる景気回復や東京五輪開催を挙げながら、「日本の将来性において希望を持っている」と述べた(図02)。

図02 Microsoft InternationalのプレジデントであるJean-Philippe Courtois氏

続けてCourtois氏は「Microsoftは急速にデバイス&サービスの会社へと変革しつつある。ビジネスやコンシューマーに対して、適切なソリューションを提供できるユニークな会社であることを自負している」と、デバイストレンドやIT市場の変化に追従できるという自信を示した。さらに「それらに必要なデバイスやサービスを次々に提供する」と述べ、今後もユーザーの期待に応えるデバイスやサービスを提供することを壇上で約束した。

スピーカーが樋口氏に戻ると、Courtois氏と同じように日本の経済状況が復興傾向にあり、設備投資への意欲の高まりも感じているとした。しかし、「環境変化がもたらした勢いであり、自助努力による世界レベルの競争力が上がっているかは疑問だ」と、日本企業全体の底上げが必要という持論を述べた。そのためには「古い文化や方法を捨てて、多様性を持った考え方」が重要と語り、さらに「新たなビジネスモデルを構築しないと、日本(企業)の復権はない」と、厳しい状況を再確認させる苦言も述べていた(図03)。

図03 日本マイクロソフト代表執行役社長の樋口泰行氏

この状況下において、ITの重要性がますます高まっている。ITと経営における持論として同氏は、「IT技術が進化したことで、これまで難しかったソリューションが実現する可能性は日々高まっている。そのため、経営ニーズを満たすためのIT戦略ではなく、技術サイドのシーズ(seeds:新技術などにより、コンシューマーに提供される技術やサービスなどを指す)から経営戦略を立てるべきだ」と。

さらに仮想化やスマートデバイス、ビッグデータといった断片的な技術を個別につなぎ合わせるのではなく、総合的な整合性を念頭に置いた投資として、自社の「クラウドOS(オペレーティングシステム)」ビジョンをアピール。Microsoftは、サーバーOSのWindows Server 2012 R2、データベースサーバーのSQL Server 2014、クラウドプラットフォームのWindows Azureなど、各種サーバー製品群を組み合わせたソリューションとして、クラウドOSをプッシュしている。MicrosoftのCEO(最高経営責任者)であるSteve Ballmer(スティーブ・バルマー)氏の若い頃を彷彿させるように、「クラウドOS」を連呼し、さらなるクラウドOSのアピールを行っていた。

2013年5月にBallmer氏が来日したとき、Windows Azureのデータセンターを日本国内に設置することを明らかにしたが、公開タイミングが2014年前半になることを新たに発表し、樋口氏は「できるだけ早い時期に公開する」と述べた。これまでWindows Azureの利用者は、香港およびシンガポールのリージョンを使ってきたが、関東圏および関西圏に新リージョンが設置されることで、より高いパフォーマンスでWindows Azureのサービスが提供可能になるという(図04)。

図04 Windows Azureのデータセンターは2014年前半の早期に一般提供が開始される

これらの技術を具体的にアピールするため、日本マイクロソフトのエバンジェリストである西脇資哲氏が登壇し、いくつかのデモンストレーションを披露した(図05)。

図05 日本マイクロソフトのエバンジェリストである西脇資哲氏