ソニーは8日、同社製PC「VAIO」2013年秋冬新製品の発表会を都内で開催した。同社の業務執行役員SVP VAIO&Mobile事業部 本部長の赤羽良介氏や、ソニーマーケティング ITマーケティング部統括部長の下野裕氏ら関係者が登壇し、VAIO新製品の方向性や戦略を語った。

ソニー業務執行役員SVP VAIO&Mobile事業部 本部長の赤羽良介氏(中央左)とインテル 取締役副社長の宗像義恵氏(中央右)

発表会では、モデルさんが秋冬新モデルの変形ノートPC「VAIO Fit 13A/14A/15A」の利用シーンをデモンストレーションした

カメラやペンを生かした「新しいカタチ」

ソニー 業務執行役員SVP VAIO&Mobile事業部本部長の赤羽良介氏

発表会ではまず、ソニー 業務執行役員SVP VAIO&Mobile事業部本部長の赤羽良介氏が、VAIOの方向性を紹介。

赤羽氏は、世界のモバイルデバイス市場でタブレットやスマートフォンがシェアを拡大するなか、「スマートフォンやタブレットの快適さに加え、より創造的・生産的なことを実現していく」PCを目指すとした。

具体的には、「撮る」「観る」「加工する」の作業をスムーズに行えるPC。「例えばプレゼンテーション。文字だけじゃなくイメージが欲しい時、写真を撮影して、加工して、資料に入れ込む、この一連の作業をスムーズに行う、これを『VAIO Inspiration Stream』として進めていく」(赤羽氏)

「撮る」「観る」「加工する」という一連の作業を行うことが「VAIO Inspiration Stream」

2013年の秋冬VAIOでは、「撮る」「観る」「加工する」の作業がスムーズに行えることを目指した

この一連の作業を行うには、「例えば撮影だと"Exmor RS"のような綺麗なカメラが必要。写真を綺麗に見るには"トリルミナスディスプレイ"や"X-Reality for mobile"などの技術が必要となる」として、同社の技術を活用し、カメラやペンを生かした体験を提供していくという。

これは従来のクラムシェル型PCの形状ではできないため、「PCだけでなく、タブレットだけでもない、『新しいカタチ』を提案する」として、3モードに変形する「VAIO Fit」新モデルや、キーボード付属のピュアタブレット「VAIO Tap 11」、テーブルトップPC「VAIO Tap 21」といった秋冬新モデルの特徴を説明した。

3モードに変形する「VAIO Fit」新モデルのデモンストレーション。通常のノートPCとして使える「キーボードモード」のほか、液晶面を回転させて相手側に見せる「ビューモード」、タブレット形状にしてペン操作などが手軽にできる「タブレットモード」などの利用シーンを想定する

マーケティング戦略の柱は「タブレットモード」と「フォトソリューション」の拡大

ソニーマーケティング ITマーケティング部統括部長の下野裕氏

ソニーマーケティング ITマーケティング部統括部長の下野裕氏は、国内向けのマーケティング戦略を説明。

下野氏は、国内PC市場が停滞している要因として、ホームノート市場から1割のユーザーがタブレットへ流出しPCを購入しない点、PCの購入サイクルが長期化している点の2点を挙げ、「VAIOだからこそできる提案で、PC市場の創造、再活性化を目指す」と語った。

ホームノート市場から1割のユーザーがタブレットへ流出しPCを購入しない点、PCの購入サイクルが長期化している点の2点が、PC市場停滞の要因と分析

マーケティング戦略の柱は、「タブレットモード対応拡大」と「フォトソリューション(写真加工)対応拡大」の2本。これらにより、PC利用シーンの新しい用途と活用を提案していく。

タブレットモード対応拡大について、2013年夏モデルでは、ホームノート向けPCにクラムシェル型のノートPC(VAIO Fit 14/15)のみを提供していたが、この秋冬モデルでは、ホームノート向けPCとして、タブレット形状にもなるVAIO Fit 14A/15Aを提供する。

また、モバイルには「VAIO Duo 13」やWindows 8搭載ピュアタブレット「VAIO Tap 11」のほか、新たに「VAIO Fit 13A」を、ホームPCには"テーブルトップ"の「VAIO Tap 21」を提供し、下野氏は、秋冬新投入のVAIOで「"タブレットモード"を導入した」と強調した。

2013年夏モデルでは、ホームノート向けPCにクラムシェル型のノートPC(VAIO Fit 14/15)のみを提供

この秋冬モデルでは、ホームノート向けPCとして、タブレット形状にもなるVAIO Fit 14A/15Aを提供

フォトソリューション対応拡大については、PC利用の主な用途が「写真の保存・管理」であることに注目し、秋冬モデルで高画質液晶やデジタイザースタイラスペン対応機種を拡大。高画質液晶として、フルHD解像度対応や、広色域の「トリルミナスディスプレイ for mobile」および超解像「X-Reality for mobile」技術、高輝度液晶の採用されたモデルを紹介した。

タブレット形状で使えるPCを拡大。2013年秋では完全新作モデルの全てでタブレットモードが利用できる

「観る」「管理する「加工する」を軸に、フォトソリューションの拡大も図る

デジタイザースタイラスペンは、2013年夏モデルでは「VAIO Duo 13」のみ同梱していたが、新たに「VAIO Tap 11」にも同梱するほか、「VAIO Fit 13A/14A/15A」で上位モデルに同梱・上位以外のモデルでは別売として提供することを挙げた。

フォトソリューション対応拡大として、2013年夏モデルから高画質液晶やデジタイザースタイラスペン対応機種を拡大した

このほか、質疑応答では、2013年度のVAIO出荷見通しである620万台の達成について話題が及んだ。赤羽氏は、「向かって全力を尽くす。損益の改善については、台数を伸ばすというよりは、1つ1つの商品に付加価値を埋め込んで、ユーザーに認めてもらうことが現在の基本方針」だとコメントした。

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