NVIDIAは25日、Kepler世代GPUの新モデル「GeForce GTX 760」を発表した。上位モデルGeForce GTX 770と同様に"GK104"コアを採用するが、CUDA coreなどのスペックを抑えることにより、コストパフォーマンスを高めたモデル。5月に先行して市場に投入されたハイエンドモデル「GeForce GTX 780」と「GeForce GTX 770」との比較でGeForce GTX 760の実力を探ってみたい。

GeForce GTX 760

上位モデルと同様のGPUコアを採用したメインストリームGPU

GTX 760は、28nmプロセスで製造されたトランジスタ数35.4億個のGK104をベースとしたGPU。GK104は、GTX 600シリーズの上位モデルやGeForce GTX 770でも採用されるGPUコアだ。

しかし、実際のスペックをよく見てみると同じGK104コアといってもかなり違うことがわかるだろう。GTX 760のリファレンス・スペックは、CUDA Core(SP数)は1152基で、ROP数は32基、テクスチャユニット数は96基、GPUクロックは980MHz、ブーストクロックは1,033MHz、メモリは256bit接続の2GB GDDR5でメモリクロックは6008MHz(データレート)。

GeForce GTX 760のスペック

■既存モデルとのスペック比較
モデル GeForce GTX 760 GeForce GTX 770 GeForce GTX 780 GeForce GTX 670 GeForce GTX 660 Ti
ベースコア GK104
製造プロセス 28nm
トランジスタ数 35.4億個
GPC数 3 or 4基 4基 4 or 5基 4基
SMX数 6基 8基 7基
CUDAコア数 1152基 1536基 1344基
ROP数 32基 24基
テクスチャユニット数 96基 128基 112基
GPUベースクロック 980MHz 1046MHz 1006MHz 915MHz
GPUブーストクロック 1033MHz 1058MHz 980MHz
メモリクロック 6008MHz
メモリタイプ 2GB GDDR5(256bit接続) 2GB or 4GB GDDR5(256bit接続) 2GB GDDR5(256bit接続) 2GB GDDR5(192bit接続)
TDP 170W 230W 195W 170W 150W
補助電源 6ピン×2 8ピン×1、6ピン×1 6ピン×2
出力端子 DL DVI×2、DisplayPort×1、HDMI×1

CUDA coreの数で顕著だが、上位モデルであるGeForce GTX 770からかなりスペックを抑えてきた印象だ。NVIDIAではGeForce GTX 760をGeForce GTX 660 Tiの後継と位置付けており、ラインナップを見るとGeForce GTX 760ではメインストリームの上位、アッパーミドルクラスをカバーするようだ。

NVIDIAのプロダクトラインナップ

このほかのスペックとして、TDPは170W、搭載するメモリは2GBBのGDDR5で、メモリインタフェースは256bit。これらはあくまでリファレンススペックで、NVIDIAによると主要カードベンダからメモリ容量を4GBに増設したモデルや、動作クロックを引き上げたオーバークロックモデルも投入される見込みだという。

GPU-Zでの表示

また、GPUの温度に応じてGPUクロックを動的に変化させる「NVIDIA GPU Boost 2.0」技術などに対応するほか、物理演算エンジンPhysXやプレイするゲームに合わせてグラフィックスの設定を最適化するGeForce Experience、ゲームプレイ中の動画を記録できるShadowPlayなどの機能が利用できる。

GTX 760のパフォーマンスは、2009年に発表したGTX 275と比較して3倍、2011年のGTX 560と比較しても2倍ほど向上したという

NVIDIAでは競合のRadeon HD 7950やRadeon HD 7950 Boostと比較しても優位なパフォーマンスを発揮すると説明している

GeForce GTX 660 / GeForce GTX 660 Tiにそっくりなボディ

それでは実際の製品を見てみよう。今回はNVIDIAのリファレンスカードを使ってベンチマークテストを実施した。カード外側のケースなど、GeForce GTX 660 / GeForce GTX 660 Tiとそっくりな外観をしている。

GeForce GTX 660 / GeForce GTX 660 Tiにかなり似ている外観

基板長は比較的短く、実際の製品ではより短いモデルも出る可能性があるが、冷却のことを考えるとGPUファン分のスペースが必要になるため極端に短いモデルというのはあまり現実的ではなさそうだ。

リファレンスカードを表から見た様子

裏側。基板の長さを考えるとケース内の余っているスペースはまるまるファンの分だといえる

電源は6ピン×2で、基板が短いためカードの中央寄りの部分にコネクタが設けられている。インタフェースは、ここ最近のNVIDIA製品ではおなじみとなっているDL DVI×2、DisplayPort×1、HDMI×1という構成だ。

電源ピンは6ピン×2

DL DVI×2、DisplayPort×1、HDMI×1を搭載する

今回のテスト環境

それでは今回のテスト環境を紹介しよう。ちょうどGTX 770のレビューを行った環境がそのまま残っていたため、今回はこの環境とデータを使用する。したがって、GTX 760に加え、GTX 780とGTX 770のリファレンスカード、ASUSのGTX 680搭載カード「GTX680-2GD5」、Radeon HD 7970搭載カード「HD7970-3GD5」の5つをベンチマークで比較する。

全体のテスト環境は以下の通りである。

■今回のテスト環境
GPU GTX 760 GTX 770 GTX 780 GTX 680 Radeon HD 7970
グラフィックスカード リファレンスカード GTX680-2GD5 HD7970-3GD5
GPUドライバ GeForce Driver 320.39 GeForce Driver 320.18 Catalyst 13.6 Beta
CPU Intel Core i7-3770K
M/B ASRock Fatal1ty Z77 Professional(Intel Z77 Express)
RAM Kingston KHX14400D3K2 2GB×2枚
Storage Samsung SSD 840 250GB
Power ANTEC TruePower Quattro 1000W 80 PLUS
OS Windows 8 Pro 64bit(Build 9200)

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