NVIDIAがKepler世代GPUの新モデル「GeForce GTX 770」を発表した。GPUコアこそ旧世代のハイエンドモデルGeForce GTX 680やGeForce GTX 670と同じ"GK104"だが、動作クロックを引き上げたほか、メモリクロックを7010MHzと大幅に向上し、スペックを強化したモデル。

今回、このGeForce GTX 770について、5月23日に発表した最新のハイエンドモデル「GeForce GTX 780」と、旧世代のハイエンドモデルとなった「GeForce GTX 680」との比較を中心に性能を検証してみたい。

GeForce GTX 770

正面から

裏面

"GK104"コアを採用ながら、動作クロックやメモリクロックを強化

GTX 770は、28nmプロセスでトランジスタ数35.4億個のGK104をベースとしている。GK104は、GTX 680やGTX 670、660 TiといったGTX 600シリーズの上位モデルに採用しているGPUコア。

GTX 770のリファレンス・スペックは、CUDA Core(SP数)は1356基で、ROP数は32基、テクスチャユニット数は128基とGTX 680と同じ。違いはというと、動作クロックとメモリクロックが異なる。

GeForce GTX 770のスペック

動作クロックはGTX 680の1006MHz(Boostクロック1058MHz)から、GTX 770では1046MHz(Boostクロック1085MHz)と引き上げたほか、メモリクロックが7010MHzと大幅に高速化した。その分TDPもGTX 680の195Wから230Wへ35W増加している。

搭載するメモリ容量は2GBまたは4GBのGDDR5で、メモリインタフェースは256bit。

GPU-Zでの表示。メモリは2GB

■表1 既存モデルとのスペック比較
モデル GeForce GTX 770 GeForce GTX 780 GeForce GTX Titan GeForce GTX 680 GeForce GTX 670
ベースコア GK104 GK110 GK104
製造プロセス 28nm
トランジスタ数 35.4億個 71億個 35.4億個
GPC数 4基 4 or 5基 5基 4基
SMX数 8基 12基 14基 8基 7基
CUDAコア数 1536基 2304基 2688基 1536基 1344基
ROP数 32基 48基 32基
テクスチャユニット数 128基 192基 224基 128基 112基
GPUベースクロック 1046MHz 863MHz 836MHz 1006MHz 915MHz
GPUブーストクロック 1058MHz 900MHz 876MHz 1058MHz 980MHz
メモリクロック 7010MHz 6008MHz
メモリタイプ 2GB or 4GB GDDR5(256bit接続) 3GB GDDR5(384bit接続) 6GB GDDR5(384bit接続) 2GB GDDR5(256bit接続)
TDP 230W 250W 195W 170W
補助電源ピン 8ピン×1、6ピン×1 6ピン×2
出力端子 DL DVI×2、DisplayPort×1、HDMI×1

従来モデルと同様にFXAAやTXAAといった高品質なアンチエイリアシング技術や最大4画面のフルHD出力を備えるほか、GPUの温度に応じてGPUクロックを動的に変化させる「NVIDIA GPU Boost 2.0」技術などに対応する。

GeForce GTX 570比で65%、GeForce GTX 670比で15%程度パフォーマンスが向上するという

ゲームタイトルにおけるGeForce GTX 780とRadeon HD 7970GHzとのパフォーマンス比較

TITAN、780と同じマッシブなボディ

リファレンスカードの見た目はGTX TITANとGTX 780とまったく変わらずシルバーとブラックを基調としたデザイン。ロゴでようやく違いが分かる程度で、パッと見ではまったく区別が付かない。

ここからだとまったく違いがわからない

ロゴでようやく判別できる

左がGTX 770、右がGTX 780

裏面もそこまで大きな違いはない

ちなみにNVIDIAではGTX TITANやGTX 780、GTX 770で採用するGPUファンの静音性にかなりの自信を持っているようで、繰り返しアピールしている。確かに、ベンチマーク中はハイエンドモデルとしてはファンの音が目立たない印象だった。

リファレンスカードのファン

従来モデルとの音の比較

基板長もほとんど変わらない、基板の裏面を見てもGTX 780とGTX 770では、コア周辺が若干違うかな程度で、見分けが付くようなものではなかった。電源はGTX TITANやGTX 780と同じ8ピン×1と6ピン×1。インタフェースも同様にDL DVI×2、DisplayPort×1、HDMI×1を備えている。

電源ピンは8ピン×1と6ピン×1

DL DVI×2、DisplayPort×1、HDMI×1を搭載する

今回のテスト環境

それでは今回のテスト環境を紹介しよう。GTX 780とGTX 770のリファレンスカードに加えて、ASUSのGTX 680搭載カード「GTX680-2GD5」と、Radeon HD 7970搭載カード「HD7970-3GD5」の4種類のグラフィックスカードをテストに使う。

GTX680-2GD5

HD7970-3GD5

GTX 770はGTX 670の後継というポジションにあるが、スペック的なものと新旧のハイエンドモデルとの比較という点で、GTX 780とGTX 680との比較を軸にパフォーマンスをみたい。このほかの環境は表2にまとめた。

■今回のテスト環境
GPU GTX 770 GTX 780 GTX 680 Radeon HD 7970
グラフィックスカード リファレンスカード GTX680-2GD5 HD7970-3GD5
GPUドライバ GeForce Driver 320.18 Catalyst 13.6 Beta
CPU Intel Core i7-3770K
M/B ASRock Fatal1ty Z77 Professional(Intel Z77 Express)
RAM Kingston KHX2133C9AD3X2K2 4GB×2枚
Storage Samsung SSD 840 250GB
Power ANTEC TruePower Quattro 1000W 80 PLUS
OS Windows 8 Pro 64bit(Build 9200)

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