標準ズームだけではもの足りない、より広がりのある構図で撮りたい……。そんなときに役立つのが、広角ズームレンズです。広角ズームとは、標準ズームよりも焦点距離が短く、より広い範囲を写せるレンズのこと。ケンコー・トキナー「AT-X 12-28 PRO DX」を使って、広角撮影を気軽に楽しんでみましょう。
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ケンコー・トキナー、広角ズームレンズ「AT-X 12-28 PRO DX」を発売(2013年3月15日)
「広角」とは何か。まず、広角の基本から確認していきましょう。下の2枚の写真は、公園のオブジェを同じ場所で写したもの。左は、標準ズームのワイド側にあたる「焦点距離18mm(27mm相当)」で、右は広角ズームのワイド側である「焦点距離12mm(18mm相当)」でそれぞれ撮影しています。焦点距離が短くなると、画角(写る範囲)が広くなることが分かります(※焦点距離のカッコ内の数値は35mm換算値)。
例えば、広々とした風景や巨大な建造物を撮る場合、その全体を画面に入れたくても、標準ズームは収まらない……そのような経験はないでしょうか。そんなとき広角ズームなら、より広い画角によって目の前の風景をすっぽりと収めることができます。広角の1番目の特徴は「広い範囲が写る」ことです。
次に、路面電車を写した下の2枚の写真を見比べて下さい。左は、標準域にあたる「28mm(42mm相当)」を使って少し離れた位置から撮影したもの。肉眼で見た印象に近い状態で写っています。一方、右の写真は広角域の「12mm(18mm相当)」を使って車両に近寄って撮影したもの。見た目の印象よりも、被写体の遠近が強調されて写っています。この「遠近感の強調」が広角の2番目の特徴です。
さらに次の2枚を見て下さい。左は28mm(42mm相当)で、右は12mm(18mm相当)で撮影したもの。どちらも同じバスを真正面から捉えた写真ですが、焦点距離と撮影距離の違いによって、まったく別のバスのような雰囲気で写っています。広角になるほど遠近感が強調され、近くにあるものはより大きく、遠くにあるものはより小さく写るためです。これが、広角の3番目の特徴である「デフォルメ効果」です。
以上の3点が、広角ズームを使いこなす上で特に大切な3つのポイントになります。ほかにも、被写界深度が深いことや、ブレが生じにくいことなど広角にはさまざまな特性がありますが、まずは基本となるこの3点(「広い範囲が写る」「遠近感の強調」「デフォルメ効果」)を確認しながら広角ズームを使ってみることをオススメします。
そんな広角撮影の入門者に最適なレンズが、ケンコー・トキナー「AT-X 12-28 PRO DX」です。APS-Cフォーマットのデジタル一眼レフに対応した広角ズームで、35mm換算の焦点距離は18~42mm相当(ニコン用の場合)に対応。このレンズの大きな魅力は、18mm相当という「超広角」に対応しながらも、テレ側は42mmの「準標準」域をカバーしていること。1本で、超広角撮影と準標準撮影の両方が楽しめるのです。このことは他社の広角ズームに勝るアドバンテージであり、表現の自由度を高めるメリットといえます。
このページの写真はすべて「AT-X 12-28 PRO DX」で撮影したものです。さらに次のページからは「AT-X 12-28 PRO DX」を使ったより実践的な作例を紹介していきます。
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