ライカ・バリオ・エルマーを使用した20倍ズームにタッチパネルとGPS機能、そしてAVCHD Progressive 60P動画。なんとも贅沢だった前機種「LUMIX DMC-TZ30」の魅力要素を受け継ぎ、さらに動画用5軸式手ぶれ補正やWi-Fi(無線LAN)アクセスといったトレンド要素をこれでもかと追加したデジタルカメラ「LUMIX DMC-TZ40」が登場した。ここでは、そのレビューをお届けする。

「LUMIX DMC-TZ40」

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TZ30からTZ40へのもっとも分かりやすい進化であり、かつ利便性を飛躍的に向上させた機能がWi-Fi(IEEE 802.11 b/g/n)接続機能の搭載による連携の数々だ。

まず紹介したいのが、スマホやタブレット端末との連携。Android、iPhoneともに無料の専用アプリ「Panasonic Image App」をインストールすることで、TZ40で撮影した写真や動画を端末側から手軽に閲覧・保存できる。しかも、TZ40がアクセスポイントになってくれるので、無線LANルーターがなくてもスマホに接続できるのが嬉しい。なお、NFC(Near Field Communication)搭載のスマホなら、Wi-Fiの初期設定や接続が本体どうしを接触させるだけで行える。

Wi-Fiボタンから呼び出せるメニュー

デザインは過剰にシンプルだが、機能的には分かりやすい

SNSや写真共有サイトに写真をアップしたいが、光学ズームすらないスマホのカメラで撮った写真では納得できない……という人は(特に、この記事を読まれるような方であれば)少なくないはず。その点、TZ40なら前述の「Panasonic Image App」からTwitter、Facebook、mixi、Flickr、Picasa、YouTubeにアップロードできる。

他社製品ではカメラから直接SNSへアップロードできるものもあるが、カメラの液晶モニターに表示されるソフトウェアキーボードでは文字入力がしにかったりして、あまり現実的とはいえないと筆者個人は感じる。いうまでもなく、文字入力はスマホの方が断然しやすく、機能としての柔軟性も画面の解像度も高い。機能面をスマホ(とアプリ)側へ依存し、カメラ側はスマホへの接続のしやすさを提供するというTZ40の思想には非常に共感できる。

スマホとの連携で特に便利なのは、スマホ側からワイヤレスでカメラをコントロールできる点だ。スマホをリモコンとしてシャッターを切ることができる、などという単純な話ではない。いわば、スマホの画面がTZ40の画面そのものになってくれるのだ。つまり、構図の確認はもちろん、露出補正やフラッシュモード、セルフタイマー、シャッター、ズームなどがスマホからリモート操作できる。記念写真の撮影時なら、全員がバランスよく入っているか、撮影した画像の露出が適正かといったことがカメラの場所まで戻ることなく確認できるし、離れた場所から野鳥や野生動物を撮影することもできるだろう。

スマホと接続する際は、本体側に表示されるSSIDとパスワードを「Panasonic Image App」に入力してやればOK

TZ40と接続した「Panasonic Image App」の画面。露出補正やタッチフォーカスなど多くの機能をワイヤレスで利用できる

家庭内LANに接続されたAV機器(ビエラやディーガ)があれば、それらとも容易に接続できてしまうのもパナソニック製品らしいところ。この手の機能に対しては「こんなの使わないよ」という声も聞こえてきそうだが、実際に大画面テレビとワイヤレス接続してみると、これが非常に面白い。1,800万画素の高解像度画像とAVCHD Progressive 60Pのなめらかな動画。それらが大画面テレビならではの迫力サイズと鮮やかな発色で、家族や友人たちと一緒に楽しめるのだ。

すでにHDMIケーブル接続でテレビでの写真鑑賞を楽しんでいる人も、一度、ワイヤレスで鑑賞できる手軽さとスマートさを味わってしまったら、もう後戻りはできなくなるだろう。こういう便利さを目のあたりにしてしまうと、環境を同一メーカーで揃える価値はあるなぁと思ってしまう。

TZ40から家庭内LANにアクセスすれば、大画面テレビとの接続もラクラク!

TZ40で撮影した写真をビエラにワイヤレス投影してみた。これは快適!

なお、TZ40には、センサー以外の基本スペックはほぼ同等ながら、GPSとWi-Fi機能を持たない姉妹機「DMC-TZ35」がある。こちらを購入検討の俎上に上げる方もいるだろうが、ことスマホユーザーには、TZ40を強くオススメしたい。GPSのニーズは分かれるところもあるが、Wi-Fi機能の使いやすさと楽しさは、それを補って余りある魅力と断言する。

地図は付属ディスクからSDカードにコピーするが、SDカードをあらかじめTZ40本体でフォーマットしておかないと、インストールした地図が表示されないので注意

GPS機能も格段に進化。GLONASS(ロシア政府運営の衛生測位システム)に対応し、測位時間の短縮と精度向上を実現

撮影した地点が地図上に表示される。地図については表現力向上が望まれる

GPSのログ記録に新たに対応。KLM形式での出力もできる

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