TZ40のカメラとしての性能を押さえておこう。センサーは、有効1,810万画素の1/2.3型高感度MOSセンサー。1/2.33型で1,410万画素だったTZ30より高画素化し、センサーサイズもわずかに大きくなった(これにはメーカーの良心を感じる)。このセンサーと映像エンジン「ヴィーナスエンジン」との強力なコンビネーションで、暗所での撮影性能がさらに向上した印象を受ける。というのも、オート撮影では夜景撮影時(広角側)でもISOが800程度とあまり上がらず、かなり意識して良好な画質を保っているように感じたからだ。ノイズも少なく、センサーサイズの小ささを感じさせない性能は、これから夏に向けて祭りや花火、キャンプといったレジャーでも重宝しそうだ。

一方、高感度撮影ではISOを拡張することで6400まで対応。画質はさすがにそれなりだが、これらを使うのは「記録することが重要」な時だろうから、特に問題ないと思う。

高速連写を合成して手持ちの夜景撮影でも手ぶれを防ぐシーンモード「手持ち夜景」(原寸大画像を見る)

高感度ISO4000で撮影。真夜中に撮影しているので、実際には相当に暗い(原寸大画像を見る)

レンズは35mm判換算で焦点距離24-480mm相当の20倍ズーム対応ライカ・バリオエルマー。開放値こそF3.3-6.4と一般的だが、描写は必要にして十分。広角端ではわずかに樽型に歪むものの、目くじらを立てるほどではない。一方、望遠側ではシャープさを保持しながら、コントラストがやや甘い感がある。とはいえ、このサイズで480mm相当の超望遠であることを考えれば十分許容範囲。逆光撮影でのゴーストの出にくさや、階調再現性の高さにもあらためて感心させられた。

広角端(焦点距離24mm相当)で撮影(原寸大画像を見る)

望遠端(焦点距離480mm相当)で撮影(原寸大画像を見る)

iAズーム使用時。光学ズーム望遠端から2倍のデジタルズームを行いつつ、超解像技術により解像感の劣化を抑える(原寸大画像を見る)

光源をダイレクトに撮影しているにも関わらず、フレアもゴーストもまったく出ていない(原寸大画像を見る)

高倍率ズーム機に欠かせない手ぶれ補正機構は、レンズシフト式を採用。静止画は「POWER O.I.S.」、動画では歩き撮りに強いアクティブモードと5軸式ハイブリッド手ぶれ補正が利用できる。5軸式ハイブリッド手ぶれ補正は、新搭載の機構。レンズで補正する光学式と、センサーで補正する電子式を併用するシステムで、回転方向、左右方向、上下方向、縦回転、水平回転を補正するという触れ込みだ。

そこで実際に、動画を撮影しながら公園を歩いてみた。詳しくは下の動画をご覧いただきたいが、地面は草地で凸凹が大きいので歩きにくく、条件的にはかなり厳しい。しかしながら、ぶれはかなり抑えられていると思う。舗装された平地なら、某街歩き番組を気取って臨場感あふれる動画撮影も可能だろう。

【動画】TZ40で撮影したAVCHD動画

なお、これらの撮影の際、液晶のバックライトの明るさを自動調節する「オートパワーモニター」機能が大いに役立った。というのも、明るい日差しの下では、暗い液晶画面はまったく見えないからだ。これからの季節、日差しがより強くなることも考えると、地味ながら必須の機能といえる。

ちなみに、この液晶画面は約92.0万ドットの広視野角液晶で、タッチ操作が可能。被写体を画面上でポイントしてピント追尾する「追っかけフォーカス」や、画面タッチでシャッターを切ったりと応用範囲が広いだけでなく、LUMIXスタンダードとでもいうべき良好なタッチレスポンスも評価したい。レスポンスが良すぎて、誤って触れてしまって動作してしまうほど。

なお、シャッターは、最大約10コマ/秒の連写が可能。この数字だけを見ると30コマ/秒を記録する他社製品にかなわないようにも思える。だが、実はそれらが電子シャッターを使用しているのに対し、TZ40はメカシャッターを使用している。センサーの露光を物理的に制御するので、高速で移動する被写体でも像が歪まないという利点がある。連写速度が10コマ/秒でもかまわないなら、メカシャッターであるTZ40の方が撮影精度が高いのだ。

連写モードの選択メニュー

高速連写機能は表現力向上のための画像合成にも使われる

次ページ: 思い付く限りのニーズを丁寧に拾い上げたマルチファンクションカメラ