「日本人の手には大きすぎる」「重くて長時間使うのは辛い」など、これまでもiPadの評価は必ずしも賞賛一辺倒ではなかった。そして発表された「iPad mini」。7.9インチ液晶とサイズダウンし、重量も従来機の約半分と、持ちやすさは格段に向上している。そのiPad miniを早速入手したので、使用感などをレポートする。
iPad miniで変わった部分、変わらない部分
iPhoneは3.5インチ、iPadは9.7インチで、どちらもアスペクト比は3:4……頑ななまでに守られてきた両デバイスのパネルデザインだが、2012年に入ってその"黄金律"は崩された。iPhone 5は若干縦長のアスペクト比9:16となり、iPadには7.9インチと小ぶりな「iPad mini」が加わった。
実機のハンドリングへ進む前に、iPad miniにおける主要スペックと変更点をおさらいしておきたい。液晶パネルのサイズ変更および本体サイズの小型化にばかり目が向いてしまうと、全体を貫く設計思想を考慮することがおざなりになってしまうからだ。
まず、主要スペックについて。プロセッサにはデュアルコアの「Apple A5」を採用、GPUにはPowerVR SGX 543MP2/2コア、メモリ容量は512MB……と、iPad 2と多くの共通項を有している。画素密度が163ppiと約20%高いことを除けば、スペック的には「iPad miniは小型なiPad 2」という表現が当てはまる。
インターフェイスは大きく変わった。iPad miniでは、iPhone 5とともに登場した新型コネクタ「Lightning」を採用、従来のDockコネクタに訣別している。仕様そのものの変更であり比較は意味をなさないが、iPhone 5発表時にも指摘されたとおり、筐体の薄型化/軽量化を支える1つの要素であることは確かだろう。
デザインも変更されている。正面から見るかぎり、従来のデザインを踏襲しているが、カラーバリエーションはiPhone 5と同じ「ブラック&スレート」と「ホワイト&シルバー」の2種類が用意される。2011年春発売のiPad 2以来、ブラック/ホワイトとも背面は同じシルバーで統一されていたが、iPad miniではそれぞれのカラーに応じたデザインとなる。
表1:iOSデバイスの解像度と画素密度
モデル名 | 解像度 | 液晶サイズ(インチ) | 画素密度(ppi) |
---|---|---|---|
iPhone 4/4S | 640×960 | 3.5 | 326 |
iPhone 5 | 640×1,136 | 4 | 326 |
初代iPad | 1,024×768 | 9.7 | 132 |
第3世代iPad | 2,048×1,536 | 9.7 | 264 |
iPad mini | 1,024×768 | 7.9 | 163 |
表2:歴代iPadシリーズの主要スペック
iPad mini | 第3世代iPad | iPad 2 | 初代iPad | |
液晶サイズ | 7.9 | 9.7 | ||
---|---|---|---|---|
解像度 | 1,024×768 | 2,048×1,536 | 1,024×768 | |
画素密度(ppi) | 163 | 264 | 132 | |
プロセッサ | A5/1GHz | A5X/1GHz | A5/1GHz | A4/1GHz |
コア数 | 2 | 1 | ||
グラフィック | PowerVR SGX 543MP2/2コア | PowerVR SGX 543MP4/4コア | PowerVR SGX 543MP2/2コア | PowerVR SGX 535/1コア |
メモリ | 512MB | 1GB | 512MB | 256MB |
高さ(mm) | 200 | 241.2 | 242.8 | |
幅(mm) | 134.7 | 185.7 | 189.7 | |
厚さ(mm) | 7.2 | 9.4 | 8.8 | 13.4 |
重量(g)※ | 308 | 652 | 601 | 680 |
※重量はWi-Fiモデルのみを対象 |
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