デスクワーカーの体ケアをテーマにした連載も、いよいよ今回で最終回となりました。新型コロナウイルスの感染は世界的に拡大の一途をたどっており、戦いは長期戦となりそうです。感染者数が減った矢先にまた増加し、コロナ禍による倒産も連日メディアで報じられ、世の中全体が暗い雰囲気に陥りつつあります。

こんなときは、みな知らず知らずのうちにストレスがたまるもの。特に普段から運動不足になりがちなデスクワーカーの中には、リモートワークでほとんど体を動かす機会がなくなってしまった人も多いのではないでしょうか。それではデスクワークに付き物の肩こり・腰痛もますます悪化してしまいます。

体のどこかに痛みがあると、人間はますますストレスをためてしまいがち。こうなると免疫力まで低下してしまいます。コロナで不自由な生活の中であっても、なるべくストレスをためず、免疫力を高めて快適に過ごすために――。今回は本連載の総集編として、3つのコツをお伝えします。

  • 不自由な生活の中であっても、なるべくストレスをためないように過ごしましょう

「ネックストレス」が恐るべき負の連鎖を生み出す

私は、施術を行ううえで「首」「手首」「足首」の3つの首を大切にしている、と繰り返しお伝えしてきました。なぜかというと、この3つの首のゆがみやズレが、あちこちの痛みや不調を引き起こしているケースが多いからです。

まず、首。首にかかる「ネックストレス」によって、ストレートネックや頚椎症などが引き起こされるといっても過言ではありません。首の痛みや肩こりの原因となります。

肩こりから解放された記憶が何年間もない――。そんな方はまず、ゆがみの事前検査をしてみましょう。そしてぜひ、自分で簡単に作れるタオル枕を試してみてください。

完成したら、まずは10分間寝てみてください。10分後に再度ゆがみの検査を行ってみましょう。正確に作れていれば、第一頚椎への負担がなくなり、首が理想的な状態に整うはず。膝の倒れにくさや背中の突っ張り感が改善されている感覚がおわかりになると思います。

効果がわかりにくい場合は、以前使っていた枕に取り換えて10分間横になってみてください。さあ、いかがでしょうか? 首を圧迫するような枕を使っていると、首の筋肉に力が入ったままになり、余計に疲れがたまってしまいます。そういった枕は絶対にNGです。

膝の痛みや腰痛は「手首」「足首」に注目を

次に手首と足首について振り返ります。人間の体は常に重力がかかっていますが、足首はその中でも最もストレスがかかりやすい場所です。例えば「膝が痛い」「腰痛がひどい」とおっしゃって来院した患者さんの手首や足首には、かなりの確率でゆがみが見受けられます。

まず、膝について。膝の痛みには、実はパターンがあります。「どういったときに痛みが出るか」をよく観察する必要があります。

1つ目は、立つ・座るといった動作のときに痛むケース。膝関節は屈伸か伸展かの2つの動きしかできない構造になっています。その2つを行っているときに痛むのは、足に原因があることが推測できます。足首にかかるストレスとそれによるゆがみが、膝の痛みを引き起こしてしまうのです。2つ目は、膝をねじったときや、階段を下りる際などに痛むケースです。この場合は、手首のストレスが原因の可能性が高いので、それぞれ注意が必要です。

足首についても、セルフケアをおすすめします。患者さんにいつもおすすめしているのがタオルで作った「ふくらはぎ枕」です。手首のセルフマッサージ方法もご紹介していますので、コロナで外出が難しい場合もご自身でトライしてみましょう。

免疫力を高めるコツは「胃腸」にあり

「胃腸の不調」も体の痛みを引き起こす原因です。お腹が痛いと、前かがみになってお腹を押さえてしまいますよね? その姿勢の悪さも、ネックストレスが生まれる原因です。加えて、姿勢が悪くなると肺が圧迫され、位置や形が変わってしまいます。こうして、ほかのさまざまな内臓の不調まで招いてしまうのです。

中でも、特に影響が出やすいのが胃と腸。食べ物の消化不良や食後のむかつき、逆流性食道炎などの病気まで引き起こすことがあります。そんなときに意識して摂ることを心掛けてほしいのが「発酵食品」「乳酸菌」「食物繊維」の3つです。腸内環境を高め、免疫力をアップさせてくれます。

このように、体にかかるストレスはすべて連動しています。 具合が悪い箇所だけにアプローチしても解決しないのはそのためです。

情勢的に外出のハードルが高い現状ですが、通販などを利用し、タオルや食品を手に入れてみてください。大変な今だからこそ「Stay home」で、自分の体と丁寧に向き合ってみてくださいね。