JR西日本は19日、大雨により鉄道施設に大規模な被災が確認され、被災状況と被災原因の調査を進めている美祢線(厚狭~長門市間)と山陰本線(長門市~小串間)について、現時点で把握した被災状況と、これを踏まえた今後の見通しを発表した。

  • 美祢線の普通列車(2017年撮影)

美祢線の厚狭~長門市間、山陰本線の長門市~小串間は6月30日から続いた大雨の影響で被災し、運転見合わせに。現在は代行バス輸送を実施している。

被災後に実施した調査で、美祢線の湯ノ峠~長門湯本間(約37km)で80カ所の被災を把握。第6厚狭川橋りょうの流失をはじめ、盛土(路盤)・バラスト流失の多くが厚狭川の水位上昇や氾濫によって生じたものと想定している。厚狭川に架かる他6カ所の橋りょうも、橋桁に至る水位上昇を確認した。

今後の見通しとして、美祢線は2010年7月に続いて厚狭川に起因する大規模な被災であることから、今回被災した橋りょうだけでなく、厚狭川全体の河川計画を河川管理者が検討する必要があるとしている。被災前の美祢線利用促進協議会にて、地域交通における美祢線の役割に関する議論をJR西日本から沿線自治体に要請していたことも踏まえ、厚狭川全体の河川改修など沿線地域の防災強度向上の検討に対応するとともに、今後の進め方について関係自治体に相談していきたいとしている。

山陰本線長門市~小串間(約51km)も、調査で69カ所の被災を把握。これらの被災は大雨による土砂災害と想定されている。粟野川橋りょうの橋脚傾斜については、引き続き専門技術者による調査分析を実施するとともに、被災メカニズムの調査や構造物の詳細調査も進める。調査結果がまとまり次第、改めて報告するとのこと。