フジヤエービックは、東京・中野サンプラザで「秋のヘッドフォン祭2022」を9月18日に展示会形式(事前登録制)で開催した。ここではエミライブースで本邦初公開となったFiiOの参考出品や、Noble Audioの新製品をピックアップして紹介する。

  • (左上から時計回りに)FiiOの完全ワイヤレスイヤホン「FW5」、DAC内蔵ヘッドホンアンプ「K7」と新機軸のデスクトップオーディオストリーマー「R7」、Noble Audioの完全ワイヤレスイヤホン「FoKus H-ANC」、インイヤーモニター型有線イヤホン「VIKING RAGNAR」

いずれも価格は未定だが、FiiO製品は2022年冬頃の発売を予定。Noble Audio「VIKING RAGNAR」のみ2022年秋発売予定となっている。

  • 「秋のヘッドフォン祭2022」会場となった東京・中野サンプラザ。荒天にもかかわらず、多くのポータブルオーディオファンが目当てのブースを訪れていた

■FiiO

完全ワイヤレスイヤホン「FW5」

  • FiiO「FW5」

FiiO製完全ワイヤレスイヤホンの新しいフラッグシップモデル。有線イヤホン「FD」シリーズと同様の、複雑でアイコニックなデザインを採用しているのが目を惹く。

⻑年に渡るFiiOの研究成果をもとに完全ワイヤレスイヤホンでの⾼忠実度再⽣を実現すべく開発。Knowlesのバランスド・アーマチュア(BA)ドライバー×2基、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)コートを施したPU振動板搭載の10mm径ダイナミックドライバー1基を組み合わせ、旭化成エレクトロニクス製のDACアンプ統合チップ「AK4332」を搭載。この組み合わせによって、音質的ブレークスルーの達成を果たしたという。

  • FW5を充電ケースに収めたところ

AK4332は、完全ワイヤレスイヤホン向けに設計を最適化したチップで、THD+Nは-101dB、SN比109dBの⾼性能を業界最⾼⽔準の超低消費電⼒2.8mWで実現している。また、クアルコム製SoC「QCC5141」を搭載し、Bluetooth 5.2に準拠。SBC/AAC/aptX adaptive/LHDCに対応する。

周囲の⾳を漏らさず⾃然に聞き取れる、アンビエントモードを装備。装着感と密閉性を高めたFiiOオリジナルの新開発イヤーピース「HS18」を採⽤している。EQや各種設定をカスタマイズ可能な「FiiO Control」アプリに対応する。

  • FiiOオリジナルの新開発イヤーピース「HS18」を装備

ポータブルオーディオプレーヤー「M15S」

  • FiiO「M15S」

ポータブルオーディオプレーヤーの新機種「M15S」を参考出品。人気を集めたという従来機「M15」の発表から1年半を経ての登場となる。

最大1,100mW(32Ω/バランス出力時)という強⼒な駆動⼒を実現しながら、SN⽐122dBの低ノイズを両⽴した、FiiO製の最新世代ヘッドホンアンプ回路を搭載。あらゆるヘッドホンやイヤホンを鳴らし切る駆動力を備えるとアピールしている。

ESS Technology製のフラッグシップDACチップ「ES9038PRO」を搭載し、PCM 384kHz/32bit、DSD256の再⽣に対応。MQAのフルデコード機能も備える。⾼精度⽔晶発振器を駆使した「デジタル・オーディオ・ピューリフィケーション・システム」も採⽤。2.5/3.5/4.4mm 3系統ヘッドホン出⼒端⼦に加え、4.4mmバランスライン出⼒機能を備えている。

クアルコムの8コアSoC「Snapdragon 660」と4GBメモリを搭載し、音楽ストリーミングアプリなどもスムーズに動作するようにした。各種アプリのビットパーフェクト再⽣にも対応。OSにはFiiOカスタム仕様のAndroid 10を搭載している。

Bluetoothトランスミッター/レシーバーとしても使え、クアルコム「QCC5124」搭載で、Bluetooth送信にも対応。対応コーデックはSBC/AAC/aptX/aptX HD/LDAC/LHDC。

5つのリスニングモードで外部機器と柔軟に接続可能。USB DAC機能も備える。6,200mAhの⼤容量バッテリーを搭載し、待受時間1,000時間。

DAC内蔵ポータブルヘッドホンアンプ「Q7」

  • FiiO「Q7」

フラッグシップハイレゾプレーヤー「M17」のエッセンスを踏襲し開発された、ポータブルヘッドホンアンプ「Q」シリーズの新たな最上位機種。

ESS Technology製フラッグシップDACチップ「ES9038PRO」を搭載し、PCM 384kHz/32bit、DSD256の再⽣に対応。MQAのx8デコード機能も搭載する。

THXの特許技術を採⽤し、FiiOとTHXが新たに共同開発した「THX AAA-788+」ヘッドホンアンプ回路を2基搭載。最⼤5段階のゲイン設定により、「カスタムイヤホンからヘビー級ヘッドホンまでを⾃在にハンドリングできる」とする。オーディオ回路部にはパナソニック製ECHUコンデンサや超⾼精度⽔晶発振器を採用するなど、パーツにもこだわっている。

2.5/3.5/4.4mm 3系統ヘッドホン出⼒端⼦に加え、新たに6.3mmヘッドホン出⼒端⼦、同軸デジタル⼊出⼒端⼦、オーディオ専⽤USB 2.0ポートを搭載。XMOS製USBコントローラーチップ「XUF208」搭載で、USB DACとしてPCM 768kHz/32bit、DSD512⼊⼒に対応する。また、3.5mmアンバランス/4.4mmバランスの2系統のラインアウト出⼒が可能だ。

クアルコムのSoC「QCC5124」を搭載し、LDACやaptX HD、aptX Adaptiveといった“ハイレゾ級”のBluetoothオーディオコーデックに対応。1.3型の液晶も備え、操作性を高めている。9,200mAh⼤容量バッテリーを搭載し、⾼速充電にも対応。⾳質強化が可能なDC給電モードを採⽤している。

デスクトップオーディオストリーマー「R7」

  • FiiO「R7」

「強力なUI・DAC部を持つデジタルオーディオプレーヤーに、据え置き用のアンプを搭載させて電源を強化したらネットワークオーディオプレーヤーになるのでは?」という発想から生まれた、新機軸のオーディオ製品「R」シリーズの第1弾となる、据え置き型のネットワークオーディオプレーヤー。

「M11Plus ESS」譲りのプレーヤー性能に加え、FiiOとTHXが新たに共同開発した「THX-AAA 788+」ヘッドホンアンプ回路を2基搭載。4.4mm/4pin XLRバランスヘッドホン出力や、FiiO初のXLRライン出力を搭載するなど、新たな試みに挑戦しているのが特徴だ。

ESS Technology製DACチップ「ES9068AS」を搭載し、PCM 384kHz/32bit、DSD256の再⽣に対応。新しいヘッドホンアンプ回路は、3,000mW(32Ω/バランス出⼒時)もの強⼒な駆動⼒と、SN⽐122dBの低ノイズを両⽴しているという。また、最⼤5段階のゲイン設定により、カスタムイヤホンからヘビー級ヘッドホンまでを⾃在にハンドリングできるとのこと。

クアルコムの8コアSoC「Snapdragon 660」と4GBメモリを搭載し、スムーズな動作を追求。各種音楽再生アプリのビットパーフェクト再⽣にも対応する。OSにはFiiOカスタム仕様のAndroid 10を搭載。最⼤2TBまでのmicroSDカードに対応するスロットを備えるほか、USBストレージからのファイル読み込みにも対応する。

⾼品位な外部電源による⾳質強化が可能な、DC給電モードを採⽤。上述の端子に加えて、ネットワーク接続用のEthernet端子も装備する。

  • R7の背面

DAC内蔵ヘッドホンアンプ「K7」

  • FiiO「K7」

4.4mmバランスヘッドホン出力を備え、DACも搭載した据え置きのヘッドホンアンプ。DACからヘッドホンアンプ回路に至るまで完全バランス構成を採用しながら、低価格も追求。「FiiO製デスクトップUSB DACアンプの戦略モデル」と位置づけている。

ヘッドホンアンプ回路には「THX-AAA 788+」を2基採用し、超低ノイズと大出力を実現。旭化成エレクトロニクス製フラッグシップDACチップ「AK4493EQ」をデュアル構成で搭載し、PCM 384kHz/32bit、DSD256の再⽣に対応する。

⾳量の左右不均等を解決し、微細な⾳量調節を可能とするADCボリュームコントロール機能や、⾼感度イヤホンから低能率ヘッドホンまで最適な⾳量調整を可能にする、2段階のゲイン切り替え機能を装備。

電源部は、超低ノイズLDOレギュレーターによる安定した電源制御を行い、低ノイズ・⾼安定性・⾼耐久性を実現したセパレート設計電源回路を採用している。

インイヤーモニター型イヤホン「FH7S」

  • FiiO「FH7S」

中⾼域用のKnowles製BAドライバー×4基と、低域⽤の13.6mm径ダイナミックドライバー(第2世代ダイヤモンドライクカーボン振動板を搭載)を組み合わせた、ハイブリッドタイプの有線イヤホン。「ハイ・パフォーマンス・ユニバーサルIEM」と位置づけている。

低域ドライバーの真価を発揮させる「S.TURBOテクノロジー」を搭載。セミオープン構造により広⼤なサウンドステージを提供する。ドライバー間の相互⼲渉を効果的に抑制する「ノッチ・フィルター・キャビティ」構造を採⽤。さらに、ユーザーが交換可能な3種類のフィルターによるサウンドコントロールにも対応する。

外装には、新デザインとなる「Sci-Fi armor design」を採⽤。装着時の快適性を追求したステンレス製MMCXコネクターを備えている。3.5/4.4mmプラグが付け替え可能な152本構成の純メッキ⾼純度単結晶銅ケーブルと、FiiOオリジナルの新開発イヤーピース「HS18」が付属する。

  • FiiOブースで試聴した人に先着順・数量限定でプレゼントされていた、MMCX端子のイヤホンケーブルの取り外しに使えるMMCXリムーバー

■Noble Audio

インイヤーモニター型有線イヤホン「VIKING RAGNAR」

  • Noble Audio「VIKING RAGNAR」

本邦初公開となる、Noble Audioのインイヤーモニター型有線イヤホン「VIKING RAGNAR」(ヴァイキング・ラグナール)を参考展示。2022年秋に発売予定で、価格は未定ながら「現行Noble Audio製カスタムイヤホンのなかで最も高額な製品になる予定」としている。

フェイスプレートには、古代インド発祥の特殊な製鋼技術で、金属ながら木目状の文様を持たせたダマスカス鋼を採用。

3種類の異なる駆動⽅式によるTri-Level Hybrid Technologyを採⽤しており、搭載ドライバーは10基で、低域用にダイナミックドライバー×2基、中域用と高域用にBAドライバーを各2基、超高域用に静電型ドライバー×4基を備える。

再生周波数特性は20Hz~40kHz、インピーダンスは17Ω。能率は112dB(@1kHz)。4ウェイクロスオーバーを内蔵。イヤホン側の端子は2Pinの埋め込み型0.78mmソケット。4.4mmバランスケーブルのみ付属する(3.5mmは付属しない)。

  • Noble Audio「FoKus H-ANC」

  • Ferrum Audioのヘッドホンアンプ「OOR」、ヘッドホンアンプ内蔵DAC「ERCO」、DCパワーサプライ「HYPSOS」の試聴コーナーも設けられていた