今回は「隣の芝生は青い」ということわざについて、言葉としての意味はもちろん、なぜ隣の芝生は青く見えるのか、その心理と対処法についてもまとめました。自分を他人とつい比較してしまうという人はぜひ読んでみてください。例文と類語や対義語、英語表現も紹介します。

「隣の芝生は青い」の意味とは、相手を羨ましいと感じること

  • 「隣の芝生は青い」の意味を解説します

    「隣の芝生は青い」の意味を解説します

「隣の芝生は青い(となりのしばふはあおい)」とは、「他人が持っているものがやたらと良く見えてしまうこと」を表すことわざの一つです。

自分の置かれている環境や持っているものの良さに気付かず、他人のものと比較しては落ち込んでしまう心理状態を表しています。しかし他人の方が良く見えていても、実際に良いかはわかりません。また、いつも良い状況にあると思っていても、実は違う可能性もあるのです。

「隣の芝生は青い」の使い方と例文

  • 「隣の芝生は青い」の例文を参考に、正しく使えるようになりましょう

    「隣の芝生は青い」の例文を参考に、正しく使えるようになりましょう

「隣の芝生は青い」を正しく使えるように、またイメージをとらえるために、例文をいくつか紹介します。

・彼はA部署へ異動願を出しているが、隣の芝生が青く見えているだけではないかと思う

・隣の芝生は青く見えるものだとわかっていても、他人のものは良く見えてしまう

・なんとなく不安で先輩に転職の相談をしたら「隣の芝生は青く見えるものだから、今の会社でしばらく頑張った方がいいのではないか」と言われた

なぜ隣の芝生は青く見えるのか? 心理状態を解説

  • 隣の芝生が青く見えてしまう心理状態について解説します

    隣の芝生が青く見えてしまう心理状態について解説します

自分の持ち味に目が向かず、他人のものばかりうらやんでしまう状態を「隣の芝生は青い症候群」と呼ぶことがあります。

他人の幸せな状況を見聞きした場合、心身ともに安定している人はポジティブに受け止めることができるでしょう。しかし「こんなはずじゃないのに」と現状に不満を抱えていたり、自己肯定感が低かったりする人は、卑屈になりやすいといわれています。

他人をうらやむのではなく、自分がこれまで積み上げてきた経験やスキルに目を向けて、自分に軸を置くために考え方をシフトすることが大切です。

隣の芝生が青く見えるときの対処法

  • 他人軸で生きていると、自分で考えて自分で決意することが難しくなっていきます

    他人軸で生きていると、自分で考えて自分で決意することが難しくなっていきます

隣の芝生が青く見えて、自分を他人とつい比較してしまう場合、どうすればいいのでしょうか。対処法について解説します。

隣の芝生は青く見えるものだと理解する

SNSなどで他人のおしゃれな生活や、ブランドアイテムなどを見ると、自分の生活を惨めなものに感じてしまうことがあります。

しかし表に見えていないだけで、その人たちは大変な努力をしてそれらを手に入れたのかもしれません。物事の一部だけではなく、広い視野を持つことが大切です。

また本当におしゃれな生活をしたいなら、自分もそうなれるように努力できるといいのですが、「どうせ自分なんて」と卑屈になっていると理想に向かって取り組むことも難しいでしょう。

「隣の芝生は青く見えるものだ」と理解しておけば、芝生の青さも気にならなくなってきます。「そうならなくても自分は幸せ」と心のどこかで思うことが、気持ちが楽になる一つの方法です。

気持ちの切り替えが難しい場合は、SNSなどの他人の芝生の青さが気になる情報を断ってみるのもいいでしょう。

自分で自分を認める

隣の芝生が青く見えるのは、特に自己肯定感が低くなっているときです。自分で自分の価値や努力を認めることで、隣の芝生の青さも気にならなくなる可能性があります。

まずは、自分の行動や考え方が他人からどう思われているか、他人からの評価を気にせず、自分の行動や考え方に自信を持つことが大切です。小さな成功体験を積み重ねることにより、自信を取り戻せるでしょう。実行できそうなことから始めてみてください。

一人の時間を自分らしく過ごす

他人と比較してばかりで疲れたときは、自分が心地いいと思える時間を大切に過ごしてみましょう。

また生活の中で思わずSNSにアップしたくなるようなことがあっても、SNSの「いいね」の数に一喜一憂していては「隣の芝生」にとらわれたままです。自分らしく楽しく過ごすことで、隣の芝生の青さも気にならなくなってくるはずです。

「隣の芝生は青い」の語源・由来

「隣の芝生は青い」の語源は英語のことわざです。

The grass is always greener on the other side of the fence.
垣の向こうの芝生はいつ見ても自分の庭の芝生より青い

海外でも有名なことわざで、使い方も日本と変わりません。

「隣の芝生は青い」の類語・言い換え表現

  • 「隣の芝生は青い」の類語を見ていきましょう

    「隣の芝生は青い」の類語を見ていきましょう

「隣の芝生は青い」の類語を紹介します。

隣の花は赤い

「隣の花は赤い」は「他人のものが良く見える」ことを表していることわざです。「人の花は赤い」と表現することもあります。

無いものねだり

「無いものねだり」は漢字で「無物強請」と書きます。「無いものを欲しがる、実現できないことを無理に望む」ことを意味する言葉です。

隣の糂粏味噌(となりのじんだみそ)

「糂粏味噌」とはぬかみそのことです。「隣の糂粏味噌」とは、「隣のぬかみその方が香ばしくおいしいと感じられるように、よそのものは良く見えること」を表しています。

同じぬかみそでも隣家のものの方がおいしいと感じるのは、本当においしい可能性もありますが、自分の家のぬかみその味に慣れてしまっているだけという可能性も考えられますね。

「隣の芝生は青い」の対義語

  • 「隣の芝生は青い」と反対の意味を持つ言葉も見ていきましょう

    「隣の芝生は青い」と反対の意味を持つ言葉も見ていきましょう

「隣の芝生は青い」の対義語をいくつか紹介します。

吾が仏尊し(あがほとけとうとし)

「吾が仏尊し」とは、自分の信じるものだけが尊いとする考えのこと。一般的に、それ以外を認めない狭い心、という悪い意味で使われることが多いです。「我が家の仏尊し」ともいいます。

隣の白飯より内の粟飯(あわめし)

「隣の白飯より内の粟飯」とは隣の家で白飯を食べるより、自分の家で粟飯を食べる方が気を遣うことがないという意味を持つことわざです。そこから、他人の世話を受けるのは気苦労が多いと言う意味を表します。

他人の飯には骨がある

おいしいごはんでも他人の家で過ごすのは気苦労も多く、冷たい仕打ちを受けることもあることを意味することわざです。「他人の飯には刺(とげ)がある」ともいいます。

「隣の芝生は青い」の英語表現

  • 「隣の芝生は青い」の英語表現を覚えておきましょう

    「隣の芝生は青い」の英語表現を覚えておきましょう

前述のように「隣の芝生は青い」は英語のことわざが語源ですが、他の英語表現もご紹介します。

まずは語源となる「The grass is always greener on the other side on the fence.」を省略した以下のフレーズです。

・The grass is always greener on the other side.
・The grass is always greener.

他にも似た意味を持つ下記のことわざがあります。

・The apples on the other side of the wall are the sweetest.
(塀の向こうのリンゴが一番おいしい)

その他、類語の「無いものねだり」を意味する「crying(asking) for the moon」でも同じような表現が可能です。

隣の芝生は青く見えるもの! 気持ちを切り替えてポジティブに

「隣の芝生は青い」とは、「他人が持っているものがやたらと良く見えてしまうこと」を表すことわざ・慣用句の一つです。

「いいなぁ」と他人をうらやんでばかりいると、自分がみじめになってきて卑屈な気持ちから抜け出せなくなります。そんなときは、なぜ隣の芝生が青く見えるのか原因を考えて対策してみましょう。