米Microsoftは5月18日(現地時間)、Windows 10の大型アップデート「Windows 10 May 2021 Update」(21H1)の提供を開始した。全てのユーザーがスムースにアップデートできるように、互換性や優れたアップデート体験が確認されているデバイスから少しずつアップデート提供を拡大していく。同社はまた、2021年中を予定していた「Windows 10X」の製品リリースの中止を発表、その技術をWindowsや他の製品に採用する。

新型コロナ禍の影響でPCの重要性が増していることから、昨年秋のWindows 10 20H2と同様、21H1も新機能や新技術の導入を避け、品質とパフォーマンスの向上に重点を置いたアップデートになっている。

18日時点でWindows Updateの対象になるのは、バージョン2004以降のWindows 10で動作する一部のデバイスに限られる。アップデートを希望する人は、設定の[更新とセキュリティ] - [Windows Update]でアップデートを確認する。その時点でアップデート対象に含まれているPCなら、「ダウンロードとインストール」を選ぶとアップデートが始まる。バージョン2004またはバージョン20H2で動作しているPCは、月例の更新プログラムと同じぐらい簡単に完了するという。アップデート配信、アップデートの保留に関する情報は、Windowsリリースのヘルス・ダッシュボードで確認できる。

Microsoftは2019年10月に、デュアルスクリーンのSurfaceデバイス「Surface Neo」と共にWindows 10Xを発表した。しかし、2020年の新型コロナ禍でPCに対するニーズが変わり、デュアルスクリーンのような新たなデバイスカテゴリの開拓から、在宅勤務や在宅学習で求められる安定性・信頼性を優先した製品開発に体制を変更。その過程でWindows 10Xもシングルスクリーン・デバイス向けを優先した開発に変更され、ファーストラインワーカーや教育向けのニーズを満たすChrome OSに対抗するようなOSとして登場すると見られていた。

  • 2019年10月発表時の「Windows 10X」

    2019年10月発表時の「Windows 10X」

John Cable氏(Windows Servicing&Delivery担当、バイスプレジデント)によると、Windows 10Xの開発における顧客からのフィードバックなどを通じて、その技術が想定したよりも多くのユーザーにとって役立つものであることが分かった。製品提供中止について、Windows 10Xとしてリリースしてその技術へのアクセスを一部の顧客に限るべきではないと判断したと説明している。Microsoft Defender Application Guardなどに採用されたコンテナ技術、Voice Typingの向上、キーサイズの最適化によるタッチキーボードの改善、カラーデザインやアニメーションなど、Windows 10Xの基盤技術のいくつかは、すでにWindows Insiderのプレビュービルドに組み込まれて提供されているとのこと。