「ご返信ありがとうございます」はビジネスメールだけでなく、就活やプライベートなど、あらゆる場面で汎用的(はんようてき)に使う表現です。この表現自体の意味がわからないという人は少ないはずですが、目上の人に使えるのかなど「正しい使い方」を問われると、少々難しく感じるかもしれません。

本稿では、「ご返信ありがとうございます」の正しい使い方について解説し、シチュエーションごとの例文を紹介します。併せて「相手からの返信」に対して謝意のメールを出す場合のマナーと書き出し・締めくくりに使えるフレーズ、「お返事」などの類語、英語表現についてもまとめました。

  • 「ご返信ありがとうございます」の正しい使い方

    「ご返信ありがとうございます」の正しい使い方を再確認

「ご返信ありがとうございます」の意味と正しい使い方とは

相手へメールなどの返信に対するお礼の気持ちを表明する「ご返信ありがとうございます」というフレーズ。正しい使い方について念のためおさらいしましょう。

ビジネスメールでは返信を受け取った場合の謝意(お礼)に使う

「ご返信ありがとうございます」は、メールや手紙などの返信を相手から受け取り、「ありがとう」というお礼の気持ちを示す敬語表現です。

ビジネスメールでも同様で、自分がメールを出す場合も、相手からのメールにもひんぱんに使われています。

ただ、「ご返信ありがとうございます」では少し砕けた印象を与えてしまうかもしれません。その場合はさらに丁寧な表現を検討しましょう。

過去形にするかどうかの判断基準

「ご返信いただきありがとうございます」を過去形の「ご返信いただきありがとうございました」とするかどうか迷ったことはないでしょうか。基本的に、過去の出来事に対しては過去形を、その他の場合は現在形を使えば問題ありません。

ただし相手との関係性が今後も続く場合や、現在も感謝していることを強調したい場合は、過去の出来事に対して現在形を使ってもいいでしょう。

  • 「ご返信ありがとうございます」の正しい使い方

    「ご返信ありがとうございます」のより丁寧な表現はビジネスメールでよく使うため要チェック

相手によってはより丁寧な敬語表現もあり

「ご返信ありがとうございます」は、「ご返信」の部分で敬語となっているため十分に丁寧です。しかし目上の人や取引先などさらに丁寧な表現を求められる場合は、以下の表現を使いましょう。

「ご返信いただきありがとうございます」

「ご返信いただく」とすることで、より丁寧な表現になります。会社の先輩や上司など目上の人にはこの表現を選択する方が無難です。

なおこの場合の「いただき」の部分は補助動詞です。補助動詞の場合は漢字ではなく、ひらがなで記載するのが一般的です。そのため「ご返信頂きありがとうございます」と記載するのははあまり一般的ではありません。

「ご返信を賜り、誠にありがとうございます」

「ご返信ありがとうございます」を最大級に丁寧な表現とする場合は、「賜る」を用いましょう。取引先や会社役員など、より丁寧な対応が求められる場合に適した表現です。

「ご返信ありがとうございます」の例文集【シーン別】

ここからは「ご返信ありがとうございます」を使ったビジネスメールおよび就活のメールに使える例文を、場面別に紹介します。

取引先からの返信に対するお礼のビジネスメール例

取引先の担当者からの返信に対する謝意を示すビジネスメール例です。件名は返信のスタイルで特に修正せず、最後に返信不要の旨を伝えましょう。

件名 : Re: Re: 請求書送付のお願い

◯社
◯部◯課 ◯様

いつもお世話になっております。
◯社◯部◯課の◯です。

確かに請求書を拝受いたしました
早々のご返信を賜り、誠にありがとうございます
頂いた請求書は、すぐ会計処理に回して手続きを進めてまいる所存です。

今後ともお世話になることがあるかと存じますが、その際にはよろしくお願いいたします。 なお、返信不要ですのでお気遣いなきよう、よろしくお願い申し上げます。

上司からの返信に対するお礼と追加質問のビジネスメール例

直属の上司に返信する+追加で質問が発生した場合の例文です。件名には、追加質問がある旨を追記します。本文内では、質問内容をまとめて、期限日時を記載しましょう。なぜその期限設定をしたかの理由も申し添えておくとより設定期限への理解も得られやすくなります。

件名 : 【追加質問3点あり】Re: Re: 会議資料送付のお願い

◯課長

お疲れさまです。
◯グループの◯です。

先日お願いしていました会議資料、確かに拝受いたしました。
早急に返信をいただきありがとうございます。

資料を確認したところ、3点ほど◯課長にお聞きしたいことがありましたのでご教示ください。

1. 質問1
2. 質問2
3. 質問3

お忙しいところ大変恐縮ですが、◯月◯日までに取引先の◯社に連絡しなければならないため、◯月◯日◯時までにご回答いただけますでしょうか

重ね重ねお手数をおかけして申し訳ありませんが、何卒よろしくお願い申し上げます。

社内アンケートの返信に対するお礼のビジネスメール例

社内アンケートの返信に対するお礼のメール例文です。お礼だけなので件名は特に修正せず、手間をかけて返信してもらったお礼を述べ、返信不要の旨を伝えましょう。

件名 : Re: Re: アンケート回答のお願い

◯部 ◯部長

お疲れさまです。
◯部の◯です。

◯部のアンケート回答資料を拝受いたしました。
お忙しい中、ご返信いただき誠にありがとうございます

アンケート結果の集計および分析が済み次第、すぐに結果情報を展開いたします。来月◯日に展開予定ですので、今しばらくお時間をくださいませ。

それでは、引き続きよろしくお願いいたします。(返信不要です)

就活で相手先企業から返信が来た場合のメール例

就活では、相手先企業とメールでのやり取りも増えます。質問をメールで行った場合、回答が来たらお礼のメールを出しましょう。基本的なポイントはビジネスメールと同じです。

件名 : Re:Re:【質問】インターンシップの服装について(◯大学◯学部◯年 (氏名))

(会社名)
◯部◯課 ◯様
お世話になっております。
◯大学◯学部◯年の (氏名)です。

先日は、インターンシップの服装に関する質問にご返信いただき、誠にありがとうございます
ご教示いただいたようにスーツを着用して、インターンシップに臨む所存です。

貴重な時間をいただきありがとうございます。
お忙しいかと存じますので、ご返信には及びません
その節はお世話になりますが、何卒よろしくお願いいたします。

「ご返信ありがとうございます」と一緒に使えるフレーズ

返信に対する謝意のメールを出す際、一緒に使えるフレーズがいくつかあります。書き出しと締めくくりに分類して一緒に使えるフレーズを紹介します。

書き出しのフレーズ

返信に対する謝意を示す返信メールの書き出しは、相手の対応によってバリエーションがあります。期限内に返信があれば、「早速」や「迅速」という表現をつけて謝意を示しましょう。相手に負担をかけてしまった場合は、そのことにも言及してお礼の言葉に盛り込みます。

  • 本件、早速ご返信を賜り誠にありがとうございます。
  • お忙しいにもかかわらず、ご丁寧に回答をいただき大変恐れ入ります。
  • 迅速にご返信いただき誠にありがとうございます。
  • この度は、急な質問にもかかわらず、早急にご返信をいただきありがとうございます。
  • 貴重なお時間を多く割いていただき、誠にありがとうございます。

締めくくりのフレーズ

締めくくりのフレーズは、以降もメールのやり取りがあるかどうかで変わってきます。単なるお礼の気持ちを伝える場合は「返信不要」の旨を結びの文章に盛り込みましょう。追加の確認事項がある場合は、依頼事項を端的にまとめたあと、回答期限を設定します。

  • なお、このメールへの返信は不要です。
  • 返信は不要ですので、お気遣いなきようお願いいたします。
  • 取り急ぎメールにてお礼申し上げます。
  • 今後とも何卒よろしくお願いいたします。
  • 本日は誠にありがとうございます。
  • 追加質問については、(理由)の関係から◯月◯日◯時までにいただけますと幸甚に存じます。
  • 「ご返信ありがとうございます」と一緒に使えるフレーズ

    書き出しや締めくくりにバリエーションを持たせて、より適切な表現を検討しよう

「ご返信ありがとうございます」と返信をするときのマナー・注意点

ここでは「相手からの返信」に対して謝意メールを送る際のビジネスマナーについて解説します。忙しい相手の手間を少しでも軽減するといった配慮を示すことがポイントです。

可能な限り速く返信する

相手からの返信に対する謝意のメールは、可能な限り早く返信しましょう。できれば相手の営業時間内、難しい場合は受信から24時間以内が理想です。休日をまたぐ場合は、翌営業日の午前中には返信したいですね。

お礼のみなら返信不要の旨も伝える

お礼の気持ちを伝えるだけのメールなら、返信は不要とのひと言を結びの文章で付け加えましょう。「ここでこの件については終了」と明示することで、相手に気を遣わせずに済みます。

必要に応じて件名の頭に用件を端的に示す単語を追加

お礼だけのメールなら、件名は特に変更せず「Re : 」という形にしておけば大丈夫です。ただ、追加で確認しなければならない事項があれば、件名の頭に【追加質問】【確認あり】といった文字を付け加えましょう。件名を見ただけで用件を端的に伝えることができます。

「ご返送」は誤用のため注意

「返送」とは、なにか物を持ち主や送り主など、もとのところへ送り返すことです。そのため、メールの返事をもらったことに対して使うのには適していません。

「ご返信ありがとうございます」の類語・言い換え表現

「ご返信ありがとうございます」の言い換え表現を紹介します。

より丁寧な表現である「ご返信いただきありがとうございます」「ご返信を賜りありがとうございます」は既にご紹介したので、ここでは「ご返信」の部分の言い換え表現について見ていきましょう。

ご返事(お返事)

呼びかけや問いかけ、手紙や招待などに対する答えとして、幅広く用いることができる言葉です。なお「ご返事」も「お返事」もどちらも正しい言い方です。

ご返答

特に質問や要求などに対する答えで、やや改まったイメージです。

ご回答

オフィシャルな質問、要求などに対して、正式に答えることというニュアンスがあります。

「ご返信ありがとうございます」の英語表現

最後に、「ご返信ありがとうございます」の英語表現もご紹介します。英文のビジネスメールで「ご返信ありがとうございます」と表現する場合は、「Thanks」よりも「Thank you」を使う方が丁寧な表現になります。以下は「Thank you」を使った英語表現の一例です。

  • Thank you for your reply. (ご返信ありがとうございます)
  • Thank you very much for your quick reply. (迅速な返信ありがとうございます)

感謝の気持ちを文章と返信スピードで伝えるのがポイント

「ご返信ありがとうございます」という表現で相手へ感謝の気持ちを届けるには、敬語表現のレベルを検討して正しい表現を選択しましょう。可能な限り早くメールを返信することで、相手への感謝を伝えることができます。

返信を受け取ったらすぐに返信メールを出せるよう、メールの構成もある程度覚えておきましょう。本稿の例文や参考のフレーズも活用してくださいね。