花粉症、ツライですよね。一度なったら一生付き合うやっかいな存在です。その一方で、患者のQOL(生活の質)を上げるべく、治療方法も進化中。患者も知識を得ることで自分のライフスタイルに合う治療ができますよ!

お話を聞かせてくれたのは、耳鼻咽喉科に勤務する医学博士で女医のキムシノ氏。花粉症治療はお手のものです。「別の記事」に基礎知識をまとめたので、ここでは現在主要な治療法をご紹介。

今や、治療法は医師任せにせず、主体的に選んで組み合わせ、自分のニーズを追求する時代なのです。

  • 最新の花粉症対策方法を知っていますか?

花粉症対策の最新治療法

まず紹介するのは、内服による治療法。キムシノ氏は「抗ヒスタミン剤」と「ロイコトリエン拮抗薬」の2種類を紹介してくれました。

抗ヒスタミン剤

抗アレルギー剤を内服する治療で、現在、主流として用いられています。1日1回の服用で済み、眠くならないものや、口の渇きを感じにくいものもあります。そして健康保険適応による3割負担で、1日20円程度という安価なものもあるのもポイント。しかし、毎日飲む必要があるため、飲み続けると効果が薄くなるのが難点です。

ロイコトリエン拮抗薬

抗アレルギー剤として内服する治療薬で、抗ヒスタミン剤と合わせると効果が高くなります。眠気が出にくい、鼻づまりやくしゃみに効果が高いという長所があるのですが、1日100円前後とやや高価なのが気になるかもしれません

Co2レーザー粘膜焼灼術

次に紹介してくれたのが、Co2レーザーで粘膜を焼く治療法で、高周波ラジオ波を使用する場合もあります。痛みが少なく、一度施術すれば、通常2年以上薬無しで生活できます。

また、健康保険適応で10,000円前後で治療でき、処置も1時間程度で終わるので、日帰り可能なのも良いそうです。ただ、処置後のダウンタイムが2週間あり、ごくまれに、術後に出血がある人もいるみたいです。

舌下免疫療法と特異的減感作療法

微量のアレルギーの原因物質を舌の下に長期処方し、アレルギーを根治させることを目標とする治療法。最近健康保険適応となったものです。スギアレルギーを根治できるのですが、成功率は約2割。また、アナフィラキシーショックのような重篤な副作用が出る可能性もあり、5年続けなければいけないことが弱点だそう。

そしてスギ花粉症が治っても、ハウスダストやダニなどのアレルギーがある場合は別の治療が必要となります。ちなみに、アレルギー原因物質を少量ずつ体内に投与する「特異的減感作療法」もありますが、治療成績は舌下免疫療法より低く、対応してくれる病院は多くはないと言います。

ヒスタグロビン、ノイロトロピン注射

アレルギー原因物質への感受性を低下させる注射で、内服でコントロールしきれないかゆみなどに効果があり。現時点で安全性は高いのですが、効き目が緩やかで、これだけでは効果に対する満足度は低いそうです。内服のサポートとして週1回程度の施術が必要なことも痛いところです。

ステロイド注射

鼻粘膜や静脈にステロイドを注射して、アレルギー反応を抑えます。1回で2~3カ月効果が持続しますが、月経異常、免疫力の低下、肥満などの副作用が大きく、長期に亘るため、現在行っている病院は少ないそう。

漢方

漢方薬を内服する治療で、「小青竜湯(しょうせいりゅうとう)」が主流。眠くならず、体に優しいですが、即効性が低く、強い症状は抑えきれないことが多いのが欠点です。

温熱療法

43度前後の蒸気を鼻から吸い、鼻粘膜の血流を良くし、症状を緩和させます。副作用がなく、妊婦さんにもお勧めできますが、効果は一時的と言います。

花粉症の治療事例

最後に、キムシノ氏に治療事例を紹介してもらいました。

「鼻水がひどいけど、忙しくて病院に行けない」方には抗ヒスタミン剤内服がお勧め。1日1回の長期処方なら30日分もらえるので月1回の受診で済むこともあります。「症状が出る年と出ない年がある」という方にはアレルギー用の処方の点鼻薬を提案。毎日使えば鼻粘膜を保護し、花粉を付きにくくします。症状がひどい日だけ内服してみてはいかがでしょうか。

そして、「花粉症らしいくしゃみや鼻水はないが、タンが切れない」という場合、そのタンは後鼻漏(こうびろう)という蓄膿症のサインかも。日本人の蓄膿症の方の8割がアレルギー性鼻炎を合併しているというデータもあります。その場合は、アレルギー剤と一緒に、蓄膿症治療で使ういらない粘液の排泄剤が有効です。

ちなみに、市販の点鼻薬には注意が必要。血管収縮剤の入っているものもあり、続けて使うと症状が悪化することもあるそうです。ただ効果は早く感じられますので、本当に鼻が詰まって苦しいときのみ使用し、必要最小限の使用に留めるのがお勧めとのこと。

取材協力 :木村至信(きむら・しのぶ)

女医。信州大学医学部卒業後、横浜市大医学部大学院にて医学博士取得。産業医・横浜市の往診耳鼻科医。夏バテの予防策や美肌、美声などについての監修仕事多数。 医師の傍らシンガーとしても活動中。