リコーイメージングが、独ケルンで開催中の写真関連展示会「Photokina 2018」において「GR III」の開発発表を行い、試作機を参考出品として展示しています。高級コンパクトデジタルカメラの先駆けとして人気のGRシリーズ、その久しぶりの新機種とあって大いに注目を集めていました。

  • 歴代GRをずらりと並べたリコーブース

GR IIIは、有効画素数2424万画素のAPS-C型CMOSセンサーを搭載。センサーは従来と同じAPS-Cサイズですが新しい設計となり、新たに像面位相差AFに対応しました。さらに、センサーシフト式のボディ内手ブレ補正機構を搭載した点も大きなトピックといえるでしょう。

  • 試作機がお披露目されたリコーの「GR III」。ひと目見てGRと分かる伝統のデザインは健在です

レンズは、従来と同じく35mm判換算で28mmの単焦点レンズを継承します。開放F値はF2.8ですが、光学設計を一新しており、従来よりも高画質化を目指しているとのこと。画像処理エンジンも一新しており、内部はまったくの別物といってもよさそうです。

  • 外観こそ従来モデルと似ていますが、外面も内面も大きく変わっています

ひと目見てGRだと分かるデザインを継承していますが、実際は「過去のデザインにとらわれず、ゼロからデザインした」(同社)そうです。撮影スタイルや使いやすさを検討した結果として、これまでのモデルと似通ったデザインに落ち着いたようです。

細部はいろいろと変化が加えられており、本体は大幅にコンパクト化しています。特に横幅が小さくなりましたが、これは「1/1.7型センサーを搭載するGR DIGITALのサイズを目指した」(同)からだと言います。現時点で、「ほぼGR DIGITAL IVのサイズ」(同)とのことです。

小型化に加え、背面液晶が大型化・横長化したことで、背面のボタンレイアウトは大幅に変わりました。使用頻度があまり高くないことに加え、手ブレ補正機構の内蔵や高感度耐性が向上したことでフラッシュの必要性が少なくなり、内蔵フラッシュを省いたことも大きな変更点でしょう。

ちなみに、ホットシューは継続して搭載しており、PENTAXの外部ストロボに対応したそうです。本格的なフラッシュ撮影が必要な場合にも対応できるのはうれしいポイントといえます。

  • 特に背面と上面のデザインが大きく変わっています。液晶がタッチパネル化されたこともあり、背面はボタン類を削減しています

  • 上面はフラッシュがなくなったのが大きな変化といえます。モードダイヤルからはオートモードや動画モードがなくなりました。オートはPモードやカスタムモードで代用し、動画ボタンは側面のワイヤレスボタンと共用します

レンズ周りでは、光学設計の変更で接写性能が向上し、GR IIの10cmから6cmに強化したそうです。1/1.7型センサーのGR DIGITAL世代に比べるとまだ寄れませんが、それでも進化しました。GR IIにマクロコンバージョンレンズを利用したときとほぼ同じ距離まで寄れ、撮影倍率はむしろ大きくなっているそうです。

位相差AFに対応したことでピントの迷いが減り、より小気味よくスナップできるようになったそうです。同社でも、AFの速度や精度の改良よりも迷うことが減った点を強調していました。

画像処理エンジンの一新で、基本的な画質の向上も図っています。レンズの強化と合わせて高画質化が期待できそうです。

  • 側面にワイヤレスボタンを配置。単押しと長押しで動画ボタンと併用されるそうです

  • ディスプレイがやや横長になってボタン類が整理されました。背面のADJ.レバーは健在です

細かい点では、今回も無線LANに対応するほか、無線LAN以外のワイヤレス規格もサポートし、スマートフォンなどとの連携を向上したいとのことです。

「史上最高画質のGR」、来年のCP+の目玉となりそう

2013年にAPS-Cセンサー搭載GRが登場し、15年にGR IIが発売されました。それから3年、技術の進歩を踏まえて大幅なバージョンアップを果たしたGR。GR史上最高画質となることは間違いないでしょう。

発売予定は、来春のできるだけ早い段階としています。今回はあくまで開発発表ですが、この段階でこれだけ詳細なスペックを公表するのは珍しい対応といえます。ティザーのように少しずつ情報を公開して消費者をやきもきさせるのは違う、という同社の考えのようです。

おそらく、正式な製品発表はCP+2019までに行うことを狙っていそうです。1000ユーロ(約13万円)以下の価格帯を目指すとのことで、高級コンパクトの雄であるGRの新製品の登場に期待したいと思います。