リコーイメージングは4月21日、高級コンパクトデジタルカメラ「GR」シリーズのユーザーイベント「GR meet」を東京・原宿で開催しました。写真家とともにスナップ撮影や講評を行うワークショップや、GRを愛用する写真家たちのトークショーなどを実施。期待が高まる「次期GR」の発表はなされなかったものの、集まった熱心なGRファンで大いに盛り上がりました。

  • ユーザーイベント「GR meet」が開かれた会場。GRのロゴが見える

  • 会場には、GRにまつわるムック本などが多数用意されていた

写真家と一緒に原宿を歩いてスナップ

今回のイベントは、300人を超える応募の中から抽選で当選した100人を対象に開かれました。そのうちの16人が、原宿界隈を歩いて撮影を行うワークショップを実施。ワークショップは、写真家の安達ロベルト氏が率いるグループとこばやしかをる氏が率いるグループの2つに分かれ、「人物を必ず構図内に入れる」というテーマで撮影をしました。

  • 写真家の安達ロベルト氏(左)とこばやしかをる氏(右)

ワークショップの参加者は、街を歩きつつ被写体を探し、見かけた人に積極的に声をかけるなどして撮影を行っていました。「今まであまり人物を撮影してこなかった」という参加者もいましたが、参加者はみな楽しんで撮影をしていたようでした。

  • ワークショップで「安達ロベルト賞」を受賞した作品

  • こちらは「こばやしかをる賞」を受賞した作品

「こういった人の撮影でGRシリーズの良さが出る」と語るのは、写真家の中藤毅彦氏。自身の撮影スタイルから「スナップショットの用途で見ると、GRはとても優れたカメラ。人に警戒されないし、気付かれずに撮れる」と評価します。中藤氏は、ハイコントラストモノクロームで周辺減光「弱」という設定をすると、好みに合う力強い写真が撮影できると解説しました。

  • 写真家の中藤毅彦氏

  • 中藤氏の作品

写真家の内田ユキオ氏は「レンズは単焦点で機能も少ないのに、撮影できる写真はとてもバリエーション豊か」とGRの特徴を紹介します。1996年発売のフィルムカメラ「GR1」以来、コンパクトながら高画質を追求してきたGRシリーズは、「何かを犠牲にしなくていい気軽さ」や「多彩なエフェクト」「携帯性の高さ」などのメリットがあると語り、画質の高さに加えて気軽に撮れる軽快さを重要なメリットとして評価しました。

  • 写真家の内田ユキオ氏

  • 内田氏の作品

長くGRシリーズを愛好している写真家の田中長徳氏も、GRをストラップを装着せず常にポケットに入れており、行く先々で気軽に取り出して撮影を楽しんでいるそうです。田中氏は、「今までライカ(の文章を書くなど)で食っていたけど、今は完全にGRに置き換わった」と語るほどGRに惚れ込んで使い込んでいるそう。過去には、写真家のロバート・フランク氏にGR1を薦めるほどだったといいます。

  • 写真家の田中長徳氏

静止画と動画を組み合わせた作品を紹介した写真家の金村修氏は、GRは「意外に音がいい」と評価します。「ストーリー性がなくつながりの悪い、コラージュのような作品」(金村氏)を作り上げていました。「今回の作品は、GRの背面液晶やパソコンの画面で見るほうが面白いと思った」そうですが、次回は3,000枚ほど撮影したGRの写真をプリントアウトした作品展を開催したいと意欲を見せました。

  • 写真家の金村修氏

残念ながら次期GRはお披露目されず

イベントの後半では、リコーの担当者に対する参加者からの質問タイムが用意されました。GRシリーズの開発にあたっては、高画質を実現しながらもコンパクトで気軽に撮れる点を何よりも重視したといいます。企画担当者も「いつでも持ち歩いてもらえるようなサイズ感にこだわった」と話します。

多くのユーザーが気になる「次期GRの登場時期」についても質問が寄せられました。次期GRの開発はすでに表明されているものの、今回のイベントでは残念ながら発表や発売の時期は明言されませんでした。

とはいえ、熱心なユーザーのGRに対する熱い思いが感じられましたし、何より歴代モデルを使い込んでいる写真家たちのGRに対する信頼の高さとその実績がよく分かるイベントとなりました。

  • 最後に参加者全員で記念撮影。さまざまなストラップが付けられた歴代のGRがズラリと並ぶ様子は壮観だった