今年のフォトキナのサプライズの1つといえるのが、パナソニック、ライカ、シグマの3社が「Lマウントシステム」での協業を発表したことです。すでに吉村カメラマンのリポートを掲載しましたが、小山安博さんにも多角的な視点からリポートしてもらいます。

ライカ S3の驚きも吹き飛ぶ3社の協業発表

世界最大級の写真関連展示会「Phtokina 2018」が、26日(現地時間)からドイツ・ケルンで開幕しました。

開幕前日にライカが開催したプレスカンファレンスでは、まず中判センサーを搭載したデジタル一眼レフカメラ「ライカ S3」が発表されました。2008年のPhotokinaで発表された初代モデル「ライカ S2」から10年、S3は6400万画素の中判センサーに一新。高速パフォーマンスに加え、4K動画の撮影も可能だとしています。登場は2019年春の予定です。

  • 写真画質も動画画質も向上した「ライカ S3」

  • 中判センサーを搭載するデジタル一眼レフカメラだ

いきなりのS3の登場に興奮冷めやらぬなか、パナソニック、ライカ、シグマの3社が「Lマウントアライアンス」を結成し、協力してLマウントの普及を目指していくというサプライズが発表されました。Lマウント自体はライカが開発した規格で、フルサイズセンサーを搭載でき、マウント径が大きくフランジバックが短いという、昨今の流れを汲んだものです。このLマウントに関して、ライカに加えてパナソニックとシグマが関連製品を開発していくことになります。とにかく、この3社が協業して新システムを開発していくというのが大きなトピックです。

  • 3社が共同して新たなフルサイズミラーレスのシステムを発表

  • ライカが開発したLマウントを推進していく

ライカの社主であるAndreas Kaufmann氏は「パナソニックは長く信頼できるパートナーであり、デジタル関連でも優れた技術を持っている。我々が強く尊敬しているシグマはチャレンジスピリットがあり、光学技術でも卓越したものがある。パナソニックもチャレンジスピリットで革新的な技術を生み出している」と両社を称賛。3社でアライアンスを結成した理由を語ります。

「両社は、異なるベネフィットをこのアライアンスに提供していくことになるだろう」とKaufmann氏。それぞれが競合ではなく補完関係にあることで、ライカのミラーレスビジネスの拡大にもつながると期待を寄せます。

シグマの山木和人社長は「このシステムがフルサイズミラーレスシステムの主流になるという自信を持っている」と強調しました。

  • シグマ、ライカ、パナソニックの3社の代表がLマウントアライアンスの説明を行いました

  • 左からシグマの山木和人社長、ライカの社主であるAndreas Kaufmann氏、パナソニック アプライアンス社副社長で海外マーケティング担当の北川潤一郎氏

こうして結成されたアライアンスにしたがって、各社がカメラやレンズなどの製品を投入していくことになります。今回、ライカはLマウントのカメラを発表しませんでしたが、パナソニックが意欲的な製品の投入を宣言しました。

新たな製品は「LUMIX Sシリーズ」。フルサイズセンサーを搭載したLマウントのミラーレスカメラです。まずは、4,700万画素センサー搭載の「LUMIX S1R」と、2,400万画素センサー搭載の「LUMIX S1」を投入します。型番から察するに、解像度に特化したS1Rと、スピードやバランスを重視するS1という形になりそうです。

  • パナソニックが投入するLUMIX Sシリーズ

  • フルサイズセンサーに加えてさまざまな注目装備を満載

画像処理エンジンのヴィーナスエンジンを一新し、4K/60pの動画撮影に対応。オートフォーカスは、コントラストAFとDFD技術を組み合わせて高速・高精度なAFに仕上げたうえ、ディープラーニングによるAFも可能だとしています。レンズとボディ内手ブレ補正を併用して効果を高めるデュアルI.S.や、人の見た目に近く業界最高水準の見やすさの電子ビューファインダー、XQDとSDのデュアルスロット、3軸可動式の背面液晶などを搭載し、プロの写真家やビデオグラファーをターゲットとしているといいます。

ボディデザインやボタンレイアウトを磨き上げたうえ、防塵防滴性能も備えている点からも、どちらかといえばプロ向けという位置づけだと感じました。

  • 構えやすく撮影しやすいデザインとボタン配置とした

  • プロユースを前提としているだけに、防塵防滴性能も万全

  • 現在公開されているおもなスペック。発売は来年早期。正式発表はCP+ 2019を狙っているとみられる

パナソニック製のLマウントレンズも発表しました。美しいボケや高い描写力、高速AF、デュアルI.S.といった特徴を備えたレンズ群で、高品質の50mm F1.4、標準ズームの24-105mm、高倍率ズームの70-200mmです。これに加え、1年以内にさらに7本、計10本のレンズを投入すると表明しました。

  • パナソニック製のLマウントレンズも投入

これに加えて、ライカ自身も交換レンズの新しいラインアップを発表しました。「APO-Summicron-SL 35 f/2 ASPH.」と「APO-Summicron-SL 50 f/2 ASPH.」が2019年に登場する予定で、2020年にはさらに3本のレンズが追加されるとしています。シグマも、自社のプレスカンファレンスにおいて、既存のフルサイズ用レンズ群14本をLマウントに対応させるほか、それ以外のレンズも投入すると明言しました。

  • ライカもLマウントレンズの投入を表明

  • ライカが2019年に投入する予定の2本のLマウントレンズ

  • ライカは交換レンズのロードマップも公開

  • シグマが発表したレンズラインアップ。既存製品をLマウント化するほか、新レンズも投入するとした

3社が同一の規格に共同して取り組むことで、レンズのラインアップが一気に拡充されることが、アライアンスの大きなメリットだといえます。もちろん、各社のレンズは異なるメーカーのボディに装着できます。

こうしたアライアンスについて、パナソニック アプライアンス社で海外マーケティングを担当する副社長の北川潤一郎氏は「Lマウントシステムは大きなビジネスチャンスがある」と期待を寄せます。シグマの山木和人社長は「Lマウントシステムはユーザーにとってユニークで魅力的なもの。シグマは、このシステムにユニークで革新的で高品質な製品を提供することで、システムの拡大に貢献したいと考えている」と意気込みます。

今回のPhotokinaでは、カメラ業界の雄であるライカが2社を巻き込んでフルサイズミラーレス市場に本腰を入れてきたのが印象的でした。各社が新マウントでミラーレス市場に勝負を挑むなか、迎え撃つソニー、マイクロフォーサーズ路線を崩さないオリンパスなど、各社それぞれの戦略にも注目したいと思います。