12日にスタートするテレビ朝日系ドラマ『遺留捜査』(毎週木曜20:00~)。11年にスタートし、今回で第5シーズンを迎える。

主演を務める俳優の上川隆也は、長く演じるキャラクター・糸村聡に対する思いや、撮影にあたっての"癒やし"の存在を明かした。

  • 上川隆也

    ■上川隆也
    1965年生まれ、東京都出身。中央大学経済学部在学中の1989年に演劇集団キャラメルボックスに入団し、1995年にNHK70周年記念日中共同制作ドラマ『大地の子』で主役の「陸一心」役に抜てき。その後も、NHK大河ドラマ『功名が辻』、『エンジェル・ハート』(日本テレビ) 、土曜ワイド劇場『作家六波羅一輝の推理シリーズ』(テレ朝)の主演などで活躍している。

「毎回新鮮な気持ちで迎える作品」

――7月スタートの『遺留捜査』は第5シーズンを迎えます。『遺留捜査』復活を聞かれたときの率直な感想をお聞かせください。

やっぱりありがたいという言葉に尽きると思います。文字通りの「有難い」。「あることが難しい」ことが、また実現に至ったことに感謝しかありません。今回で5本目のシリーズを重ねることができましたが、僕にとっては毎回新鮮な気持ちで迎える作品です。

――どういった部分が新鮮に感じられるのですか。

『遺留捜査』はメンバーや所轄が、直前のシーズンと見比べて同じだったことが1回もない作品なんです。それは放送時間枠(がよく変わること)も含めてですが(笑)。1stシーズンから変わっていないのは、僕と甲本雅裕演じる「村木さん」だけ。稀有な経緯を持つシリーズだと思います。

――上川さん自身、糸村聡を演じるうえでも毎回新たな気持ちで臨まれるのですか。

なにをするか分からない人なので(笑)。糸村というキャラクターに対して、僕自身が安心して臨んでいないんです。演じていても僕が思いも寄らない行動をとるので、毎回毎話毎シーンが新鮮ですし、驚きや発見が絶えない。これまでにやってきたことで安心することが出来ないですし、マンネリに陥ることなく演じることができる人物です。

糸村聡は「まったく準備がいらない存在」

――そんな糸村を1年ぶりに演じるうえで、どんな準備されますか。

それが、まったく準備がいらない存在なんです。なんの準備もなく「じゃあ明日からお願いします」と言われて、すぐ取り掛かれるのが糸村というキャラクター。だからといって、僕がいつもどこかで糸村を意識しているわけでもない。近しい様で遠い様な、距離感を測りかねる不思議な存在なんです。

――共演する方々とも1年ぶりの再会となりますね。

レギュラーの方々とはお芝居でもそれ以外でも、正直なんの不安もありません。『遺留捜査』はシーズン4から舞台もメンバーも大きく変わりましたが、撮影初日から不思議な馴染み感があったのが印象的です。今回からは新たに梶原善さんが加わりますが、また良い空気感の中でスタートするだろうという期待しかないです。

――シーズン4に引き続き、京都での撮影となります。暑いことが予想されますが、対策はなにかされますか。

セットに冷房が入りました(笑)。キャスト陣の中での大きなトピックです。これで撮影も乗り切れそうです(笑)。

――シーズン4の撮影では、愛犬が時に遊びに来て「癒されます」と話しておられました。今回もその予定はございますか。

それについては、ありがたいことに今年もそうだと思います。僕にとっての生活の1部を変えること無く京都でも過ごせることは、とてつもない“癒やし”になります。“彼女”の存在はとても大きい。皆さんの計らいをありがたく受け止めながら、万全の状態で撮影に臨みたいと思ってます。

――そうなんですね(笑)。ところで、上川さんは11年から7年もの間、糸村を演じています。上川さん自身が変化した点、または変化していない点をお聞かせください。

僕の経験や見識は、役からいただくものが非常に多いと思っています。出逢ってきたキャラクターの数や個性から得たものが、今の僕を作ってるように思える。そうした意味では、7年前から変わっているのは当然です。その間も様々なキャラクターに出逢ってきましたから。自分は生来の飽き性だと思っているのですが、芝居を飽きずに続けて来られたのは、そうした出逢いが大きな理由の1つだと思っています。バラエティに富んだ役に出逢えているおかげで、得られるものも感じることも多い。それが本当にありがたいですし、幸せな境遇にいると思います。

視聴率へのプレッシャーは

――前クール(4月~6月)のテレビ朝日の刑事モノは軒並み好調でした。そういった面でのプレッシャーはありますか。

それを念頭に置いて演じたことは、正直ありません。7年前から『相棒』はありましたし(笑)。もちろん逃れることはできないものですが、後からついてくるものだろうとも思ってます。本当に馬鹿正直に申し上げるなら、良い結果を持って次のシリーズに繋げてやろうということを考えていないんです。だからこそ、今回も新シリーズができるというのは、僕にとってとてもありがたいこと。とにかく目の前にある1話1話を丁寧に、お客様に楽しんでいただける作品になるように演じるのみです。それでどういう結果になるかは二の次、三の次のこと。これまでもそうやってきましたし、これからもきっとそうなんだろうと思います。

――それでは最後に、『遺留捜査』シーズン5の見どころをお聞かせください。

持ち味としての『遺留捜査』は今までと変わらず、"らしい"物語になるのではないでしょうか。この作品ならではのブレがない持ち味はそのままに、更に進化させていきたいと思います。第1話の見どころは「高低差」(笑)。安心と新鮮さを真空パックでお届けする感じでしょうか(笑)。過去に対する謙虚さと、これからに対する果敢さを同量にもって臨みたいと思います。

  • 「遺留捜査」

    『遺留捜査』(テレビ朝日系、7月12日スタート 毎週木曜20:00~)
    上川隆也演じるマイペースで空気を読まない刑事・糸村聡が、遺留品から事件を解決していく姿を描くもの。連ドラ第5シーズンとなる今回は、前シリーズと同様、再び京都を舞台に始動する。上川隆也 =テレビ朝日提供