――先ほど、脚本を小林靖子さんに書いていただこうと口説かれていた、とうかがいましたが、映画では『仮面ライダーエグゼイド』の高橋悠也さんが手がけられていますね。高橋さんに脚本をお願いしたのは、どのような経緯からですか。

靖子にゃんのスケジュールの都合というのもありますが、『エグゼイド』のテレビシリーズを全話1人で書きあげ、さらには映画版やスピンオフまでもこなした悠也さんのガッツ、これが大きいですね。さらには『アマゾンズ』をSeason1、Season2と観ていてくれて、リアクション・感想が実に的確だった。そんなこともあって、靖子にゃんを口説きながら、同時に悠也さんにも声をかけていたんです。二股をかけていたということですね(笑)。

――Season1、Season2を全話書かれた小林さんの世界を受け継ぎつつ、高橋さんならではの新しい『アマゾンズ』の物語を期待されたということでしょうか。

もちろんです。そうでないと、悠也さんにお願いする意味がありませんからね。

――小林さんから、『アマゾンズ』の続きを作るならこんな展開で……みたいな構想があったりしましたか。

それはありませんでしたね。靖子にゃんはもともと"続編"というものにあまり興味がない人ではないかと(笑)。むしろ、悠也さんならではの視点で、『アマゾンズ』の本質をえぐるような物語を求めました。靖子にゃんなら絶対に書かないだろうというシチュエーションを作り上げるというか、靖子にゃんが「ここから先は踏み込めない」と考える領域でも、悠也さんなら遠慮なく踏み込めると。へんな言い方かもしれませんが、自分がゼロから生み出した作品、キャラクターではないからこそ、ここまでぐっと掘り下げることができるだろう、という期待が悠也さんにありました。

――「(自分自身を含む)すべてのアマゾンを狩る」という仁と、「人間もアマゾンも、守りたい者を守る」という悠、対立する両者の思いがクライマックスに激突する展開は、まさに『アマゾンズ』の総決算という趣でしたが、高橋さんと小林さんでは、キャラクターの描き方などに違いがあるとお考えですか。

悠也さんが今回の映画でやりたかったこと、というのもありますからね。それは「悠、仁はここまでやらない」という、靖子にゃんがこれまでブレーキをかけていた一線を踏み越えていくようなシチュエーションを作ることでした。Season1の第8話で「線引き」という言葉が出てきましたが、仁はこういうことをする、こういうことはしないという「線」を守っていますし、悠には仁とは異なる「線」を持っていて、それを守っている。仁は自分の外側に線があるけれど、悠は内面にある、という違いなのですが、映画ではその「線」を否応なしに踏み越えざるを得なくなるんです。

――小林さんの書かれた『アマゾンズ』は、人間のエゴイズムなどマイナス感情をむき出しにした生々しいドラマが持ち味でしたが、高橋さんによる映画の脚本もそうとう生々しいというか、生理的嫌悪感すら抱かせる残酷描写をも盛り込んだドギツイ内容となっていますね。

決定稿になる前のシナリオでは、もっと陰鬱な展開でしたからね。あのキャラクターもこのキャラクターも死んで、もう死屍累々という。しかしこれだとさっぱり話がわからなくなってしまうと判明したので、軌道修正を施して完成しました。