AF(オートフォーカス)のシステムにも違いがあります。EOS Kiss X9は、光学ファインダーでの撮影時は専用AFセンサーによる位相差検出AFが利用できます。測距点は9点、測距輝度範囲はEV-0.5~18に対応。ライブビュー撮影時はデュアルピクセルCMOS AFが作動し、こちらの測距点は49点、測距輝度範囲はEV-2~18に対応します。

いっぽうのEOS Kiss Mは、EOS Kiss X9よりも進化したデュアルピクセルCMOS AFを搭載しています。測距点は143点と非常に多く、センサー面の幅88%×高さ100%という広い範囲をカバーしています。さらに「瞳AF」やAFフレームサイズ「小」が選択できます。測距輝度範囲は同じくEV-2~18に対応。

  • EOS Kiss X9の光学ファインダー撮影時は、測距点9点の位相差検出AFが使用できる

  • EOS Kiss X9のライブビュー撮影時は、測距点49点のデュアルピクセルCMOS AFが使用できる。AFのフレームサイズはやや大きめ。AFスピードは高速で、一眼レフのライブビューとしては優秀なレベルだ

  • EOS Kiss Mは、測距点143点のデュアルピクセルCMOS AFが使用できる。上のEOS Kiss X9と比べると、上下はより広い範囲をカバーしているのが分かる。AFフレームサイズは「標準/小」の2段階から選べる。AFスピードは、EOS Kiss X9のライブビューと同じく非常に高速だ

AFの実際の使用感は、EOS Kiss X9の位相差検出AFが最も快適に感じました。特に、クロス測距に対応した中央の測距点を使った場合、薄暗いシーンや低コントラストな被写体、動きのある被写体に対してもスムーズに合焦します。

ただし、中央以外の測距点では合焦率がやや低下することや、全部でわずか9点しか測距点がない点は不満です。画面の端にピントを合わせる際は、シャッターボタンの半押しによるフォーカスロックが欠かせません。ライブビューに切り替えれば、デュアルピクセルCMOS AFによって49点の測距点が利用可能になります。

いっぽう、EOS Kiss MのデュアルピクセルCMOS AFは、低コントラストな被写体でAFが迷うケースも見られましたが、その点さえ気をつければAFの動作に大きなストレスはありません。顔+追尾優先AFや瞳AFも快適に作動しました。

  • EOS Kiss X9のライブビューで撮影。レンズは、標準ズーム「EF-S18-55mm F4-5.6 IS STM」を使用。顔優先AFによって正確なピントで撮影できた

  • EOS Kiss Mで撮影。レンズは、標準ズーム「EF-M15-45mm F3.5-6.3 IS STM」を使用。こちらも顔優先AFによって正確なピントで撮影できた