子どもが小学生になると、交友関係やひとりで遊びに行く範囲も少しずつ広がっていく。すると、お金が必要になることが増え、お小遣いについて考え始める人もいるのではないだろうか。「いつから」「いくら」「どうやって」と、お金の与え方については意外にわからないことも多い。そこで、家庭教育アドバイザー柳川由紀先生にお小遣いを子ども自身が明確に管理できる方法を聞いてきた。

  • 子どものお小遣いの管理法

「使う用」と「貯金用」の封筒でお金を管理

まず、お小遣いを渡し始める時期については、足し算、引き算がしっかりできるようになった小学校3年生くらいが適当だという。「お金の教育は、自立を支える土台になります」と柳川先生は力を込める。定額制のお小遣いを子ども自身に采配、管理させることで、徐々に正しい金銭感覚が身につくという。逆に、必要な時に必要な金額を親が与え続けていると、お金を管理できない浪費家になってしまう可能性もあるそうだ。

具体的なお小遣いの管理方法として柳川先生のオススメは、お金を「使う用」と「貯金用」で封筒に小分けにするやり方だ。「使う用」は、使用目的ごとにさらに小分けにしても良いという。封筒には①もらった日付と金額、②買ったものの日付と金額、③欲しいものを買うための貯金額、④欲しいものと買う時期、⑤残った金額を記入しておく。

お小遣い帳のようなノートを使うと、ノートとお金それぞれ出して勘定しなければならないが、明細を書いた封筒にお金を入れておけば、ひとつで完結する手軽さがあり、小学生にはわかりやすい。封筒に書く場所がなくなれば、メモ用紙を上に貼っても良いとのこと。

さらに、お小遣い日は、親が会計監査役となってチェックする日と考えるそうだ。その際、不要に思えるものを買っていたり、お金を全部使い切っていたりしても、「なんでこんな無駄遣いするの?」と頭ごなしに叱ることは禁物。お小遣いの範囲内であれば、ある程度使い道は子どもに任せ、「欲しいものを買うためにこれだけ足りないね」と子どもが気付くように具体的なアドバイスをしてあげるのが効果的だという。そうやって定期的に親子で確認する日をもつことで、「中高生になれば、スマホアプリなどで簡単に自己管理できるようになるでしょう」と柳川先生は語った。

小学生のお小遣いの適正額はいくら?

より実践的にお金の価値や使い方を学ぶならば、お小遣い+必要経費を子どもに与えて、管理させる方法があるという。この場合の必要経費とは、学校や習い事先などに支払う費用以外で子どもの生活必需品にかかるお金を指す。まずは、欲しいものや好きなことに使うお小遣いとは別に、各家庭の生活状況に応じて異なる子どもの日々の必要経費を算出することから始めよう。

小学生であれば塾や遊びに行く時の交通費や飲み物代、お友達へのプレゼント代などが必要経費にあたる。中高生であればさらに携帯電話代や遊びに行った際の食費なども合わせたものを必要経費とし、お小遣いと一緒に与える。その合計額で、「欲しいもの」「必要なもの」「貯金」に使い道を分けて、子ども自身で管理をさせるという。

柳川先生が考案した『柳川流1ヵ月のお小遣い金額目安』によると、全国のお小遣い平均額とほぼ同じ「基本額」を欲しいものの購入用に使う。「貯金」は高額なものを購入するためのほか、いざという時に使うお金だ。

例えば、『柳川流1ヵ月のお小遣い金額目安』の3年生は、年齢×100円=900円が基本額となり、必要経費は基本の5割の450円となっている。合計1,300円(100円単位に切り捨て)で、必要経費や貯金も含めて、具体的な使い道を自分で考えることで、お金の価値について身をもって知る機会になるそうだ。

基本額については、居住地や子どもの学校の場所、塾通いの有無などライフスタイルに応じて各家庭で増減して良いそうだ。また、「必要なもの」の中身は、年齢に応じて増やしていき、「中学生後半から高校生頃には、すべて子どもに任せることをオススメします」と柳川先生は教えてくれた。

中高生になって部活動の遠征費が増えたり、高額な参考書類の購入が必要だったりし、予算通りにいかない場合もあるだろう。理由が適正であれば、追加で必要経費を与えても良い。この徹底管理法でお金と付き合っていれば、大学生や社会人になって一人暮らしを始めた際に、仕送りとアルバイトの収入から上手にやりくりできることも期待できるそうだ。

お金の正しい使い方を身に着けるには、家庭での教育が鍵になる。子どもの頃からお金について考えて行動することで、将来しっかりとお金のマネジメントができる人になれるのではないだろうか。

※画像はイメージ

柳川由紀先生

家庭教育アドバイザー(日本家庭教育学会認定)。静岡市学校教育相談員、静岡市食育推進委員などを務め、現在は「親力アップ静岡」を主宰。発行中のメルマガ 「子どもを伸ばす 親力アップの家庭教育」は、一昨年全国メルマガ大賞教育部門第3位を受賞。
〇メルマガ「子どもを伸ばす親力アップの家庭教育」 〇ブログ「子どもを伸ばす親力アップの家庭教育」