子どもスナップに好適な大口径の準広角レンズ

次に使ったのは、準広角の「M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO」です。外形寸法は最大径68.2×全長87mmで、質量は390g。45mmレンズと同じく高級感に満ちた外装であり、フォーカスリングは滑らかなに作動します。リングのスライド操作によってAFからMFへと素早く移行できる「マニュアルフォーカスクラッチ機構」や、ステッピングモーターによる静粛なAF駆動「MSC機構」についても45mmレンズと共通しています。

  • 「M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO」を「OM-D E-M1 Mark II」に装着

    「M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO」を装着。ボディはOM-D E-M1 Mark IIを使用しました

下のカットは左上から順に、F1.2、F2、F4、F8で撮影したもの。焦点距離が短いため、45mmレンズに比べるとボケ量こそ控えめですが、美しくにじむようなボケの傾向は似ています。木漏れ日の部分に生じた玉ボケの表現や、絞り込んだときのシャープネスも良好です。

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    F1.2

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    F2

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    F4

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    F8

  • 絞り優先AE ISO200 WB太陽光 焦点距離17mm

35mm換算の焦点距離は34mm相当。人物を撮る際には、ほどよい距離間を保ちつつ、周辺状況を写し込んだ自然なスナップショットが楽しめます。

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    絞り優先AE F1.8 1/320秒 ISO200 WB太陽光 焦点距離17mm

次のカットは、約1mの距離から絞り開放値で撮影したもの。屋外での子どもスナップではこのくらいの距離で撮ることがよくありますが、一般的な標準ズームでは平坦な写りになりがち。本レンズの場合、F1.2という明るい開放値によって、背景が滑らかにぼけて奥行きのある写りが得られました。

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    絞り優先AE F1.2 1/1600秒 ISO200 WB太陽光 焦点距離17mm

最短の撮影距離は0.2mで、最大撮影倍率は0.15倍 (35mm判換算0.3倍相当)。準広角レンズとしては結構寄れるレンズといえます。次のカットは、右側のカメラまで0.5m程度の距離から撮影していますが、必要であれば、もっと大胆に近寄って背景をさらにぼかすことも可能です。

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    絞り優先AE F1.2 1/8秒 ISO200 WB太陽光 焦点距離17mm

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    絞り優先AE F1.2 1/1000秒 ISO200 WB太陽光 焦点距離17mm

ボケ表現ではなく、画面全域でのシャープな描写を求めるときはF4~5.6まで絞り込むといいでしょう。それ以上絞ると、回折の影響で逆にシャープ感が低下します。次のカットはF4で撮影。細部まできっちり再現でき、気になる歪みや色ズレも見られません。また、その次のカットでは石像の力強い質感をリアルに表現できています。

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    絞り優先AE F4 1/160秒 ISO200 WB太陽光 焦点距離17mm

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    マニュアル F8 1/250秒 ISO200 WB太陽光 焦点距離17mm

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    絞り優先AE F2.8 1/100秒 ISO200 WB太陽光 焦点距離17mm

まとめ : 撮って楽しい絶品のボケ

今回は「M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO」と「M.ZUIKO DIGITAL ED 45mm F1.2 PRO」という2本の大口径単焦点レンズによって、絶品のボケを味わうことができました。気になった点は、2本の外観デザインがそっくりであるため、同時に使うと、どっちのレンズを付けているかを忘れて一瞬迷う場合があること。付属レンズフードは形状が異なるので、識別の意味でもフードの装着は必須かもしれません。

14万円を超える価格については手ごろとはいえません。ただ、F1.2からF16までの絞り値を、シーンや狙いに応じて選択するという行為は、安価なズームレンズでは実現できない面白い撮影体験です。良好な写りに加え、撮る行為自体も楽しめるレンズといっていいでしょう。