銀行にお金を預けても金利はほとんど付かないけれど、だからといってタンス預金では不用心。とりあえず置いてあるようなものだから、銀行なんてどこでもいいと思っていませんか?

確かに、日本の銀行は長い間"どこでも同じ"状況が続いてきましたが、最近は銀行によって金利やサービスに少しずつ違いが出てきています。中でも注目を集めているのが、取引内容に応じて共通ポイントをもらえるサービスです。

銀行の取引で共通ポイントが貯まる

これまでもポイントサービスを行っている銀行はありましたが、多くは振込手数料などに充当するといった自行内で完結するものでした。ところが最近は、Tポイントやnanacoポイントなど日常的に活用しているポイントが、銀行取引で付与されるようになっています。

給与振り込みや公共料金の引き落としでポイントが貯まる場合は、一度手続きをしてしまえば毎月自動的にポイントをゲット。さらに預金残高の増加、定期預金の預け入れ、投資信託や保険の購入、住宅ローンなどの借り入れなど、取引が増えればその分ポイントが貯まる仕組みです。

メインバンク=給与振込先にするとメリットは大きい

ポイントを貯めることを意識するならば、その銀行をメインバンクにする必要があります。メインバンクとは給与の振込口座に指定して、そこから公共料金やクレジットカード代金の引き落としなど、日常生活に欠かせない取引を行うのが銀行のこと。給与振込口座に指定したときにポイントが付与される、主な銀行をまとめたのが下の表です。

給与振込などの取引でポイントが貯まる主な銀行のサービス

貯めている人が多い「Tポイント」が付与されるのが「スルガ銀行」と「新生銀行」。スルガ銀行の場合は口座開設をした時点でTカード機能が付帯しているので、この口座を給与振込口座に指定すれば自動的にTポイントが付与されます。またVisaデビットカード機能も付いているため、カードを利用して買い物をすると支払い200円(税込)につき1Tポイントが貯まります。これに対して新生銀行は「Tポイントプログラム」へのエントリーが必要。新生銀行を給与振込口座にしている人は、すぐに手続きをしましょう。

「nanacoポイント」を貯めている人は、「セブン銀行」を給与振込口座にするとポイントの貯まり方がスピードアップしそう。デビットカード機能付きのキャッシュカードも登場し、銀行取引以外にもJCB加盟店でデビット払いをすると、デビット利用金額の0.5~1.5%のnanacoポイントが付与されます。また、このカードならポイントサービスへの登録も不要です。

楽天市場で買い物をすることが多い人は、やはり「楽天銀行」のポイントシステムを活用すると「楽天スーパーポイント」が有利に貯められそう。ただし楽天銀行のポイントシステムは預かり資産残高によってステージが決まり、これによって優遇も変わってくるので細かい確認が必要です。いずれにしても「ハッピープログラム」へのエントリーが必要です。

「りそな銀行」は、給与振り込みで「りそなポイント」が貯まります。りそなポイント? と思うでしょうか、これはパートナー企業のポイントに交換が可能。Tポイント、nanacoポイント、楽天スーパーポイント、WAONポイントはもちろん、JALやANAのマイルからキャッシュバックまでいろいろありますから、使い道に困ることはなさそう。

「イオン銀行」で給与振り込みによる「WAONポイント」を貯めるには、キャッシュカードにクレジット機能が付いたイオンカードセレクト、またはデビットカード機能が付いたキャッシュ+デビットカードにする必要があります。このカードは普通預金金利が優遇されるなどの特典もあるので、イオンのショッピングセンターやスーパーを利用することが多い人はメリットがありそうです。

給与を分割し複数口座で受け取る手も

メインバンクにすると、多くの取引をその銀行とすることになります。ポイントが貯まるからといって、簡単に決めると逆に面倒なことにもなりかねません。まずは、勤務先に給与振込銀行は自由に選べるかどうかを確認しましょう。企業によっては、銀行を指定している場合もあります。

次に、現在の給与振込口座から自動引き落としにしているものをリストアップします。さらに自分の日常の行動範囲の中で、入出金がしやすいかどうかをチェック。これらがクリアできたら、メインバンクの移動を具体的に検討しましょう。

ポイントが付与される銀行へメインバンクを異動するのが、難しそうと分かったときの裏ワザをご紹介。勤務先に、給与を複数口座に振り込むことはできないか確認してみてください。企業によっては分割して振り込んでくれる場合があります。ポイント付与に必要な最低金額をクリアし、給与として振り込まれればポイントをゲットすることができます。


鈴木弥生
編集プロダクションを経て、フリーランスの編集&ライターとして独立。女性誌の情報ページや百貨店情報誌の企画・構成・取材を中心に活動。マネー誌の編集に関わったことをきっかけに、現在はお金に関する雑誌、書籍、MOOKの編集・ライター業務に携わる。ファイナンシャルプランナー(AFP)。