学童保育の延長、自治体はどう考える?

子どもを育てながら働く親なら、「小1の壁」という言葉を聞いたことがある人は多いのではないだろうか。保育園から小学校に上がる親子の前に現れる高い「壁」。その1つが放課後児童クラブ(学童保育)の運営時間だとされている。というのも、自治体が運営する学童保育は17時~18時閉所の所も多い。子どもは保育園時代より早く帰宅するのに、親は時短勤務が利用できなくなるなど、むしろ帰宅が遅くなるという事態が発生するのだ。

都内の学童保育は延長傾向に

このようなギャップを解消するため、学童保育の運営時間を延長する動きが自治体間で少しずつ広がっている。下の表は厚生労働省が行った「放課後児童健全育成事業実施状況調査」のうち、東京都内の学童保育の件数を終了時間ごとに抽出したもの。これによると、平成25~27年度の間に17時~18時までに閉まる所が減る一方、18時~19時すぎまで開いている所が増える傾向にあるのが分かる。

平日の終了時刻別放課後児童クラブ(各年度5月1日現在。放課後児童健全育成事業実施状況調査に基づく)※東京都提供

東京都内の自治体の例を挙げよう。武蔵野市は2016年4月から、市内にある公営の全学童保育の終了時間を1時間延長して19時にした。延長の理由について市の担当者は「これまでは子どもの生活リズムを整えるため18時までに帰宅して家庭で過ごすのがいいと考えていたが、延長保育の利用希望者が増えているためとり入れた」と説明。平成28年度の登録児童数907人のうち、215人が18時以降の延長保育に登録しており、いまのところ好評だという。

また、文京区でも4月から区内の公営の全学童保育の終了時間を30分延長の18時30分にした。このほかにも、目黒区が平成25年度から15分延長の18時15分まで、中央区が平成24年度から1時間半延長の19時30分までにするなど、認可保育園の終了時刻に合わせて学童保育も一括延長した自治体がここ数年でいくつも出てきている。

長時間化する学童、子どもへの影響は?

これに対し、子どもたちへの影響を心配する見方もある。文京区の担当者は「要望があって延長を決めた」とした上で、「保護者の中には家庭で過ごす時間や睡眠時間が短くなることを懸念する声もある」と言及。「働き方の見直しができる社会を前提として、学齢期の子がいる親が家庭で過ごせるような社会づくりが望ましいのではないでしょうか」。

また、中央区の担当者も「保護者の就労実態に即して学童の時間も延ばしているが、あまり長くすると、子どもの育成にとっていいのか悩みどころだ」と言う。延長を決めた自治体もそうでない自治体も、それらの兼ね合いの中で一時的な決定を下しているというのが現状だ。

親としては、自分が留守の間に小さな子どもが自宅で1人きりになることへの不安は大きく、延長を求める声があがるのも当然の流れと言えよう。だが、それは30分で済むのか、それとも2時間でも足りないのか。選択肢が増えつつあるいま、親子にとっての”ベスト”を見つめ直すことも求められている。