店名の通り海を連想させる青色の看板が、温かみ溢れる商店街に絶妙にマッチするのがこの「航海屋」

JR阿佐ケ谷駅から徒歩5分。都内に計5店舗を展開するラーメン店「航海屋」だが、阿佐ヶ谷店にだけテレビ等のメディアで幾多も取材される大盛りメニューがあるとか。そんなビッグウェーブ、ぜひ乗りこなしたい! ってことで、ヨーソローッ!!

テレビの取材用に開発した"はみ出しメシ"

「はい、いらっしゃ~い」。

お店に入ると、年中無休、朝から深夜まで営業する「航海屋」を20年以上も支え続ける肝っ玉母ちゃん感がにじむ店長・滝口いさこさんが出迎えてくれる。早速、噂に聞く裏メニュー「メガ盛りダブルチャーシュー麺」(1,100円)を注文!

ところで、どうしてこの阿佐ヶ谷店だけ裏的大盛りメニューがあるのだろう。そんな疑問を滝口さんに投げかけてみた。「一昨年、テレビ局の人から電話がかかってきて、『はみ出すような大盛りメニューはないですか? 』って聞かれたから、急遽考えたのよ(笑)。それでとりあえず器からハミ出すようなものを、と思ってこうなったわ」。

「メガ盛りダブルチャーシュー麺」(1,100円)

ズララっと丼の縁に並べられたチャーシューはここでしか見られない! なんでもチャーシュー丸ごと1本以上使ってるとか。麺も2玉と大ボリュームだ

独自製法の絶品チャーシュー。取材中もご近所さんがテイクアウトで2本ほど買っていった。チャーシュー用の秘伝のタレも1本100円で売っているぞ

出てきた「メガ盛りダブルチャーシュー麺」を見ると、確かにハミ出してる! 取材用に開発したというメニューだが、見た目のインパクトがスゴすぎる!! チャーシューが肉の花びらと化した盛り付けだ……。キレイに咲いた花形を崩すのはもったいないが、脂身輝くチャーシューを前にハシを止めることなどできない! いただきます!!

……溶けるような柔らかさ、そして口に広がるジューシーさ! これは美味! なんか特殊な製法がありそうですね!?

「それは企業秘密(笑)。手作りチャーシューはうちのウリの一つで、チャーシューだけお持ち帰りするお客さんも結構いるわね。お店でビールを飲むお客さんなんかにも好評なのよ」。

チャーシューもいいが、肝心の麺とスープも特筆すべきだ。鶏がらと魚貝のミックススープがあっさりと玉子麺に絡み、盛りに盛られた野菜のシャキシャキ感とも合う。食べても全然減らないけど!

パッカ丼は後から来る辛さ!

さらにどの種類のラーメンにも+100円で、「チャーシューおこわ」「ピリ辛赤まる丼」「ヤキメシ」「カレーライス」「激辛パッカ丼」のいずれかをセットにできるという良心っぷり。記者は大盛り党と同時に辛党でもあるので、「激辛パッカ丼」に挑戦!

タイ料理のパッカ・パオという料理をもとにアレンジした「パッカ丼」。甘辛な味付けでスプーンが止まらない

もち米を使用していない「チャーシューおこわ」。このメニューのみおかわり3杯までOK

あれ? 意外と甘ダレ系でそんなに辛くな……う、嘘でした! 後から来るタイプだ、キタコレ!! 辛ぇ~!! でもこのエスニック的スパイシーさはクセになる!!

そう言えば、究極にボリューミーなチャーシュー麺と口内が火事になるほどのパッカ丼と格闘している間ずっと、お客さんが途切れないのも印象的だ。普通ならアイドルタイムの時間帯なのだが……。

「お店を開けとけばお客さんは来てくれるから、休憩なんてもったいないからしないよ。それでも昔に比べたら、若い子は新宿とかに行っちゃうからお客さんは減ったよね。でも阿佐ヶ谷の商店街ってつながりが強くて、今じゃ地元の若い子たちが盛り上げようと朝市を開いて一生懸命やってる。私もこの街のために、働けなくなるまでここで働くよ。それでみんなと一緒に、昔みたいな阿佐ヶ谷の活気を取り戻せたらいいね」。

ええ話やなぁ。そう言えば確かにさっきからお客さんと店長さん、よく会話してるし店内は人情味があふれてる。すげぇ中央線っぽいな~、としみじみしているうちになんとか完食。ウップ……ごちそうさんです!

ラーメン&パッカ丼の味と量の満足度はもちろん、昔ながらの商店街の温かさも教えてくれる「航海屋」。おなかも胸もいっぱいにしたければぜひ訪れてみるとよいだろう。