勤務中のオアシス、それがお昼休憩。
そのあとの勤務はすべて消化試合といっても過言ではありません。

……嘘です。僕も会社員ですから怒られるようなことはわざわざ書きません。

ランチ休憩とは

ランチ休憩は「仕事とプライベートの中間」に位置する独特の状況です。
飲み会のように無礼講が許されるわけでもありませんし、仕事中というほどにパキパキと自己を律さなければいけないわけでもありません。しかし、食事を共にするのは上司や先輩が多いはず。中途半端な気持ちで臨んでいると足元をすくわれてしまいます。

今回はそんなランチ休憩を快適に乗り切り、同時にその後の会社生活の質を向上させるお約束事を5つ残します。 後輩たちに届け! 僕の思い!

お約束(1) 『テンション急上昇もほどほどに』

お昼休みは勤務時間中に設けられた休憩であり、決して自由時間ではありません(議論がありますがここでは触れません)。その証拠にアルコールを飲む人はほぼいません。つまり確実にランチタイムは「無礼講状態」にはならないのです。
よって「緊張状態ではない場を積極的に楽しむ」という姿勢は持ちつつも、油断はしないくらいが望ましいでしょう。例えば、冗談を言ってもいいですが、受け取りようによっては悪口になること、控えるがよろし。

お約束(2) 『目の前にいる人を大切に』

ランチ休憩に限らず、仕事の現場を離れると素の人柄が露呈します。
いくら現場では取り繕っても、隠し切れません。アナタがガッカリさせられることもあるでしょうし、自分もそうしているかもしれません。注意しましょう。

例えば

・店員にめっちゃ偉そう
個人的に最も嫌いな人種です。格安なお店であればあるほど、かわいそうな人に見えます。

・やたらスマホを見る
「目の前にいる俺を見てよ! ルックアットミー!」という気分になります。じっくり見たいのであれば、女子は「ちょっとお花摘みに」、男子は「ちょっとキジ撃ちに」と言ってからにしましょう(「トイレに行きます」の隠語。語源は登山用語だとか)。

お約束(3) 『会計は「え? 払います!」からの「ざす!」』

上司や先輩と食事に行くとき、初めての人や頻繁に食事を共にしない人が相手だと、高確率でごちそうしてくれます。
その際の最も美しいおごられ方の一つが以下です。

(会計時)
「○○さん、ここはいいから」
「えっ」(財布を取り出す動作、もしくは既に取り出している)
「いいよ」
「いやいや! 払います!」
「いいって」
「わかりました」
そそくさとお店を出て、入り口付近で直立(いかにも待っています、といった感じで)
上司か先輩が出てくる。
「ざす! ごちそうさまです!」
「うぃ~」

ポイントは
・え、自分は払うつもりでしたよ? 感の演出
・ちょっとねばりましたよ? 感の演出
・会計時は見ないようにする(外に出る)
・軽快なお礼

これらを抑えておけば、おごられ方ビギナーとしては及第点です。

お約束(4) 『オムライスは明日食べよ』

親密な上司や先輩であれば、メニューに気を遣わなくても構いません。そんなしょうもないことをいつまでも気にする上司や先輩がいたら異常者です。しかし、お互いの距離感を図っている段階なら、メニューの選び方こそ、自分の人柄を見定められやすい事柄です。

例えば複数人で初めてランチに行って皆がしょうが焼きを注文したのに、何の躊躇もなく「あ、私はオムライスで」と言ったら、やはり違和感を覚える人がいます。しかもしょうが焼きは780円、オムライスが820円だったときは最悪です。

決してオムライスを食べてはいけないわけではありません。

ただ、おごられる可能性がある、もしくは人柄を図られる可能性があるのに、純粋に自分が食べたいものを注文するのは、果たして賢者の選択であるのか、という問題提起です。

僕だってオムライス食べたいですよ!

しかし、できれば同じもの、目上の人たちより低価格のもの、最低でも同系統のものを食べるべきなんです。

社内なら許されると思いますが、例えば取引先の人とカフェで打ち合わせをし、皆がアイスコーヒーやアイスティーを頼んだのに「私、野菜ジュースで」とか、何なら「パフェ」とか言ってしまったら社会人性を疑われるのです。上司や先輩は赤っ恥をかいてしまうのです。

お約束(5) 『仕事の話はほどほどに』

ここまでは「一応勤務時間だし、仕事の勝手がわからない段階の後輩や部下なら、あらぬ批判を受けないように注意したほうが得だよ」ということでした。

しかしながら、休憩時間までガッチガチの若手社員を相手にすると上司や先輩も心が安らぎません。ですから様子をみて積極的に「プライベート時間感」を演出していきましょう。「近所のおいしいお店を教えてください!」などと話題提供すれば、飲み会のお誘いなどにつながり、ぐっと距離を詰められるかもしれません(アナタは行きたくないかもしれないですけど)。

以上です。

最後に「いい年してクチャクチャ言わせながらごはんを食べるサラリーマン」の人へメッセージを書いたのですが、編集さんに「私物化するな」と怒られたので削除しました。
『クチャラー』を受け入れる寛大な心も、若手会社員には必要かもしれません。

※画像は本文とは関係ありません


武野光
平成2年生まれ。「TOEIC未受験」「サークル未所属」「友達の数が片手未満」といった状況から就職活動に挑み、その体験から得た教訓をつづったブログ『無能の就活。』が大きな反響に。現在はサラリーマンと兼業で作家活動を行う。著書に『凡人内定戦略』『凡人面接戦略』(中経出版)、『就活あるある ~内定する人しない人~』(主婦と生活社)など。マイナビ2016でも、マンガ『キミ! さいよー』(石原まこちん/小学館)内で、一言コラム平成ベビーの就活用語辞典掲載