スマートフォンは、携帯電話とコンピュータ両方の顔を持ち、様々な部品や技術が搭載されています。そんなスマートフォンのカタログを見たときに、専門用語 のオンパレード……と思ったことはないでしょうか。このコーナーでは、そんなスマートフォン関連の用語をやさしく解説します。今回は「リアルタイムHDR」についてです。

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HDRとはハイダイナミックレンジ合成(High Dynamic Range imaging)のことで、一種の画像合成技術です。カメラの画質におけるダイナミックレンジとは、撮像素子(イメージセンサー)に入る光のうちもっとも明るい部分と暗い部分の差のことで、HDRはその差を広く取るよう写真を合成します。

ダイナミックレンジの狭い写真は、明るすぎる部分は光があふれて真っ白になり(色トビ)、暗すぎる部分は光が足りず真っ黒(色つぶれ)になりますが、露出が異なる同じ写真を用意して合成すれば、逆光のような明暗差の大きい写真や夜景のような階調差がわかりにくい写真も、色トビ/色つぶれの少ない写真を撮影できます。

スマートフォンでHDR写真を作成する場合、露出が異なる複数枚の写真を撮影しそれを合成する方法が用いられます。ソフトウェア(アプリ)でも写真の合成処理は可能であり、HDR機能搭載をうたうサードパーティー製アプリも存在しますが、ほぼ同じタイミングで撮影された写真でなければ合成したときにブレが生じるため、ハードウェア的に連写することで複数枚の写真を用意することが一般的です。

AQUOS SERIE/ZETAやGalaxy S5に搭載されている「リアルタイムHDR」は、イメージセンサの情報を調整して複数の画像をつくり出し、瞬時に合成処理を行います。一般的なHDRは、写真の撮影後でなければ効果を確認できませんが、リアルタイムHDRは液晶画面で仕上がりを確認しながら撮影することが可能です。HDRの効果そのものに変わりはないものの、HDRをより気軽に利用できるようになります。

リアルタイムHDR対応端末は、実際に写真を撮る前にHDR写真のイメージを確認できます(写真は「AQUOS SERIE」)