カシオ独自のハイスピード・テクノロジーがもたらす快適な操作性と高画質、そして動き回る子どもなどの決定的な瞬間を逃がさない高速連写が好評のコンパクトデジタルカメラ「ZR300」。マイナビニュースのレビューをはじめ、テレビ番組「シルシルミシルさんデー」などの紹介を見て、購入を検討している方も多いようだ。その一方、従来モデル「ZR200」を受け継ぐシルエットから「どこが、どう新しくなったの ?」と戸惑う声も聞かれるようだ。そこで今回も、カシオ計算機の羽村技術センターへ突撃取材 ! 開発スタッフに直接、ZR300の新たな魅力(と、例によって裏話)を伺ってきたぞ !!

ハイスピードエクシリム ZRシリーズのフラッグシップモデル「ZR300」

電池寿命が約25%もアップする「エコモード」の秘密

―― いきなりストレートにお尋ねしますが、ZR200からZR300になって、どんなところが変わったのでしょうか。

(西坂氏)「変わったというより、ZRシリーズの良さを継承しつつ進化している、と理解していただいた方が分かりやすいと思います。例えば、快速シャッターや機敏な動作に代表される"速さ"はZRシリーズの最大の特徴なので、外せない要素。ZR300の起動時間はZR200より0.03秒速く、AFも0.01秒速くなりました。地道ではありますが、確実にブラッシュアップしています」

カシオ計算機 QV事業部 商品企画部 第二企画室 西坂信儀氏

―― この数値だけ見ると伝わりにくいかもしれませんが、実際に使うと「あっ、速くなった !」と感じますね。

(西坂氏)「ええ、このサクサク感はぜひ店頭で実際に触ってみていだだきたいです。あと、ZR200にはなかった新機能として、撮影可能枚数が約25%増える"エコモード"、ISO感度の上昇をコントロールする"ISO上限設定"、ほぼ真っ暗な状態でも手持ちで撮影できる"HSナイトショット"、ミニチュアやセピアなどのフィルタ撮影が楽しめる"アートショット"が搭載されています。また、"プレミアムオート PRO"モードでは、ホワイトバランスとシーン判定アルゴリズムを大幅に強化しました。詳しくは順次お話ししますが」

―― では、まずエコモードからお話をお聞かせください。

(西坂氏)「エコモードは、いわゆる省電力モードです。工場出荷時にはオフになっていますが、これをオンにしていただくと、バッテリが満充電状態での撮影可能枚数が500枚から630枚に増えます(編注:カタログ値)。もちろん、使っている途中からオンにすることもできるので、旅先でバッテリー残量が不安になったときなど、頼りになると思います」

―― バッテリ満充電で130枚増えるというのは、相当な節電効果ですよね。具体的にはどのように節電しているのですか ? 背面液晶モニタの輝度を落とすとか ?

カシオ計算機 QV事業部 開発部 第一開発室 松永剛氏

(松永氏)「カシオのカメラは、もともと省電力にこだわって設計されています。ですから、さらに電池寿命を延ばすのは大変でした。液晶モニタの輝度ひとつとっても、ただ単に暗くするだけではなく、明るい場所と暗い場所での見え方に応じた輝度調整は当然として、被写体に黒っぽい色が多いか、白っぽい色が多いかなどを判定して、ムダのない最適な輝度にしています。

また、ZR300ではソフトウェア部分のプログラムソースを細かく見直しました。効果のない処理や回りくどい処理を徹底的に効率化して、できるだけソースを短くしたんです。こういった細かな積み重ねが、省電力化の秘密ですね。実際、ZR200と共通のハードウェアを使用している部分でも、消費電力をかなり抑えています。プログラムを書かれる方にはお分かりいただけると思いますが、ソースのブラッシュアップは処理速度の向上だけでなく、省電力化にも大きく影響するんですよ」

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