米AMDが、「Trinity」の開発コードネームで知られる新世代APUの、デスクトップ向け製品のラインナップならびにスペック概要を公開した。Llano世代の後継となる第二世代のAPU製品で、ノートPC向けは先月発表済み。台湾・台北市で開催中のCOMPUTEXでは、これに対応したSocket FM2のマザーボードが数多く登場しており、Trinityの実働デモンストレーションなども公開されている。

Trinityのダイ写真

COMPUTEX TAIPEI 2012で公開されている「A10-5800K」を使った実働デモンストレーション。グラフィックスはRadeon HD 6670カードとA10-5800K内蔵のRadeon HD 7660DでCrossFire動作させている

TrinityアーキテクチャのAPUでは、製造プロセスはLlanoと同様のGLOBALFOUNDRIESの32nm SOI。ダイサイズはLlanoの228平方mmからTrinityでは246平方mmへ大型化したぶん、トランジスタ数もLlanoの11.78億個から13.03億個へと増加している。

内部構造は従来のLlanoと似ており、CPUコアとGPUコア、Memory InterfaceとMedia Accelerator、Platform Interfaceが統合され、これがAシリーズチップセットに接続される。CPUコアはLlanoがK10由来のStarsコアだったところ、TrinityではBulldozerベースのPiledriverに入れ替わった。GPUコアも一世代新しくなり、DirectX 11に対応するVILW4世代のNorthern Islandsコアとなった。

また、Turbo Coreが「Turbo Core 3.0」へと拡張され、Llanoの世代ではCPUのみがTurbo Coreの対象であったが、TrinityのではCPUとGPUの両方がTurbo Coreによる動的オーバークロックの対象となる。ほかUVDも世代が上がり、サポートするフォーマットの種類が増え、出力ストリームの強化(HD+HDのデュアルストリームが可能)なども施されている。

ソケットはSocket FM2。見た目はSocket FM1と区別がつかないが、内部の信号線が異なるため、互換性は無いという

公開されたラインナップは、定格クロック3.8GHz/TDP100Wの「A10-5800K」、同3.4GHz/65Wの「A10-5700」、同3.6GHz/100Wの「A8-5600K」、同3.2GHz/65Wの「A8-5500」で、すべてクアッドコア。対応ソケットは新規のSocket FM2で、チップセット自体の互換性はあるが、FM1とのソケット互換性は無い。型番末尾に"K"がつくモデルは、従来同様に倍率ロックフリーのオーバークロック向けモデルとなる。ほか主な仕様を以下の表にまとめる。

モデル A10-5800K A10-5700 A8-5600K A8-5500
コア数 4 4 4 4
定格クロック 3.8GHz 3.4GHz 3.6GHz 3.2GHz
Turbo Core 4.2GHz 4.0GHz 3.9GHz 3.7GHz
共有L2 4MB 4MB 4MB 4MB
最大対応メモリ DDR3-1866 DDR3-1866 DDR3-1866 DDR3-1866
GPU Radeon HD 7660D Radeon HD 7560D
GPU SP数 384基 256基
GPUクロック 800MHz 760MHz 760MHz 760MHz
TDP 100W 65W 100W 65W

COMPUTEX TAIPEI 2012の会場では、数多くのSocket FM2対応マザーボードが出展中

Aシリーズと相性のいい、小型でそこそこオールマイティなPCを自作するのには便利な、Mini-ITXのマザーボードもいくつかの製品かさっそく登場していた。写真はその中の1枚で、MSIの「A85IA-E53」。ちなみに製品名はA85なのだが、なぜか、チップセットはAMD A75だとされていた