多言語化についてはAppleも重視
ゲームとならんで新しいiPadのRetina Displayの恩恵を受けているのが、インタラクティブブックアプリだ。たんに書籍を電子化したというだけではなく、ユーザーの操作に反応するような仕掛けを用意したり、動画や音声、画像といったメディアデータを組み込んだコンテンツは、iPadの得意分野のひとつといってよい。今回のブリーフィングにおいても、このジャンルのコンテンツが3つ紹介された。
ひとつめはストーリーブックにインタラクティブ性を組み込んだという印象の「Star Academy」。映画「アバター」「トロン:レガシー」「ロード・オブ・ザ・リング」などにも参加したアニメーターのDylan Coleがデザインしたというこのアプリは、物語の中で主人公の少年が体験するさまざまなできごとを、テキストだけでなくアニメーションやサウンドと合わせて再現してくれる。このアプリは7月配信予定で、その時点で日本語にも対応するという。
続いて紹介されたのは「Barefoot World Atlas」。画面上に表示されている地球上のさまざまなオブジェクトをタップすることでその説明やマルチメディアデータが表示される、インタラクティブな事典アプリだ。この3月に英語のみ対応のiPad専用アプリとしてリリースされてすでに人気を集めているものだが、間もなくiPhone/iPod touchにも対応したユニバーサルアプリ化され、日本語にも対応する予定。なお、この日本語対応は英語以外の言語としては初対応とのこと。リリース予定は6月下旬から7月上旬。
そして3番目に紹介されたのが、Newsstandからの配信が間もなく開始される科学専門誌「Newton」の電子版。たんに「Newton」の誌面を電子化したというだけでなく、本文で解説されている内容をさらに深く理解できるインタラクティブなコンテンツとなっているのが特徴だ。創刊号と6月号を1~2週間後に同時配信開始の予定となっており、創刊号は無償、6月号は500円。年間購読は3,000円のところ、6月15日までは創刊記念として2,500円で提供される。
なおインタラクティブブックなどのコンテンツについては、どうしてもローカライズの問題がつきまとう。今回紹介された「Star Academy」「Barefoot World Atlas」などは状況に恵まれているほうで、英語版が人気になっていても日本語化の話はとんと聞かないというのは珍しくない。
その点をどう考えるかを聞いてみたところ、開発者向けWebサイトでローカライズについて情報を提供しているほか、WWDCでもローカライズの重要性を解説するセッションを用意する予定だという。当然のことながらAppleとしてもローンチ時に多くの言語をサポートすることを望んでおり、アプリ開発の際にも複数の言語に対応できるような形での開発を推奨しているとのことだった。