米国ウォール街株価指数

FXオンラインジャパン アナリストチームが最新のデイリーレポートをお届けする。米景気の回復基調が力強さを増している。

先週末発表された3月の米耐久財受注は、全体では減少したが、注目された輸送機器を除くコア指数は2.8%増と、2007年12月以来最大の伸びを記録。内訳を見ると、コンピューターや電子機器といった分野での伸びが堅調に見られることから、今後ハイテクセクターへの期待感へも波及することも考えられる。

また、FRBが雇用情勢と共に懸案事項として指摘している住宅市場でも改善の兆しが鮮明になりつつある。先週発表された3月の中古住宅販売件数は市場予想を上回る535万件、一方、新築住宅販売件数は41.1万件と約50年ぶりの増加となった。

このような米国のファンダメンタルズを受け、ソブリン・リスクに苦しむ欧州市場を横目にウォール街株価指数は底堅い展開を維持しており、リーマン・ショック前の水準11500ドルが視野に入っている。

本日は、米での主要な経済指標は予定されていないことから、米企業、例えばキャタピラー(CAT.N)といった決算内容如何で、リスクトレンドがある程度方向づけられる可能性がある。仮に市場予想を上回るようなら、米製造業での好調さがあらためて認識される可能性が強まり、投資家のリスク許容度が拡大する可能性もある。

テクニカルで見ると、2月上旬より10000ポイントの心理的ラインブレイクを試す展開が強まり、サポートラインの傾きが急になっていることがわかる。このラインに11000ポイントの心理的ライン突破後は、この水準がサポートラインとして意識されていることから、今後も底堅い展開が継続し、上記の11500ポイントをトライする可能性が出てきている。

逆に利益確定売りが強まった場合、11000ドルのライン付近に位置する短期サポートラインと25日MAで下支えされるかが焦点として浮上しそうだ。

仮に下抜けるようだと、ボリンジャー・バンドの下限が意識される可能性が出てくるか注目したい。

米国ウォール街株価指数 日足

NY原油先物(6月限)

3月米新築住宅販売件数は、前月の30万8000件から41万1000件まで26.9%もの急増となり、8ヶ月ぶりの高水準となった他、伸び率も46年11ヶ月ぶりの大幅増となった。税優遇措置の期限切れを前にした駆け込み需要の影響が大きいと思われるが、雇用に続いて住宅市場にも改善傾向がみられたことは、市場でも高く評価されている。

良好な大手優良企業の決算に加え、各経済指標でも景気の底が確認され、ウォール街株価指数も続伸を維持している。

もちろん石油需要に関しては、景気動向だけで大幅に拡大するような状況ではないと見られていることも事実だろう。例えば、国際エネルギー機関(IEA)でも、北米地区は前年比で日量10万バレル程度の増加しか予測していない状況だ。

しかし、短期的スパンで見るならば、市場では石油需要の指標として米株式市場の動きに注目が集まっており、現状は株高連動で上値を切り上げやすくなっている。

既に80ドルは売り方・買い方ともコンセンサスと言える適正水準に達しているため、85ドル超の価格水準に対する割高感も薄れ始めている。株価との比較で、原油高は緩やかなペースで進むとみており、取引の中心帯を従来の80ドルから85ドル水準まで切り上げた上で、90ドル台乗せにトライする可能性が出ている。

テクニカルでは、安値は一目均衡表の基準線でピタリと支えられ、そこから2.20ドル切り返した後、転換線も超えてきつつある。ただ、アップトレンドには、頭だけ出ている状態なので、まだ返り咲いたとは言えない状況だ。

また、ボリンジャー・バンドの中心ラインも越えてきており、ここからさらに続伸するようなら、上昇バンドウォークとなりそうだ。ただし、逆に下落してくるようだとミニダウントレンドが生きてくることになるので、明日以降の動きに注目したい。

NY原油先物(6月限)