WANの選択肢としてはWiMAXのみで、HSDPAが選択できない

本製品は基本的にX200のリファインであるとは冒頭でも述べたとおりだが、一部X200シリーズに比べて後退している部分もある。

具体的には無線機能だ。X200シリーズでは3つのPCI Express Mini Cardスロットが用意されていた。具体的にはフルサイズ(FMC)が1つ、ハーフサイズ(HMC)とFMCの共通スロットが1つ、HMCが1つという構成になっていた。それぞれにワイヤレスWANカード、無線LAN/WiMAX、Wireless USBないしはIntel Turbo Memoryが挿入されるという仕組みになっていた(ただし、日本向けの製品にすべての選択肢が用意されていた訳ではない)。

これに対して本製品では内部に用意されているPCI Express Mini Cardスロットは、FMCとFMC/HMC共通という2つに変更されており、HMC専用スロットは場所は用意されているもののシステムボード側にコネクタが用意されておらず、利用できないようになっている。これにあわせて、Wireless USBの選択肢は本製品には日本以外の市場でも用意されておらず、廃止されている。現実問題としてWireless USBは対応している機器がほとんどない現状であり、そうしたことから選択肢として外されてしまったのだろう。かつインテルはCalpella世代ではIntel Turbo Memoryの後継製品の計画(開発コードネームBraidwood)をキャンセルしており、こちらも必要性がなくなったため、廃止されたと考えることができるだろう。

このため、本製品ではFMCにHSDPAないしはEVDOで通信可能なGobi 2000が搭載された無線WANカードを、FMC/HMCスロットに無線LANないしは無線LAN/WiMAXのコンボモジュールを搭載することができるようになっている。ただし、本原稿執筆時点(3月下旬)では、レノボ・ジャパンの販売サイトでは、無線WANの選択肢は用意されておらず日本からは注文することができないようだ。海外のモデルでは選択できるし、かつ後から購入できるオプションとしても用意されているだけにこれは非常に残念だ(実際CTOモデルにはアンテナのケーブルがすでに引かれており、あとはモジュールを挿すだけで利用できる状態になっている)。ぜひとも日本向けの製品でもこれが選択できるようにして欲しいものだ。

なお、今回のサンプルにはIntel Centrino Advanced-N+WiMAX 6250がHMCにささっていた。このため、WiMAXと無線LANを切り替えて利用することが可能で、付属ソフトのネットワーク切り替えツールAccess Connectionsを利用してWiMAXと無線LANを自動で切り替えて利用可能だ。WiMAXはサービス開始当初はエリアも限定されていたが、ここ最近は都心部ではエリアが広がってきており、都心部であれば建物の奥や地下ではない限りは接続できるようになってきている。かつWiMAXの場合は、無線WANのようにユーザーが自分で接続ツールなどを利用して接続作業をする必要がなく、PCをオンにして電波を拾いさえすれば自動でインターネットにつながるという点が大きなメリットだ。ユーザーが意識せずともインターネットにつながるという利便性を重視するのであれば、WiMAXを選択しておくのがいいだろう。

バッテリを外したところにはSIMカードスロットが用意されている。試しにAT&TのSIMカードを入れてみたところ。もちろんHSDPAの通信モジュールがインストールされていなければ利用できない

中央に見えるインテルのHFM(ハーフミニカード)がWiMAXのIntel Centrino Advanced-N+WiMAX 6250。WiMAXと無線LANを切り替えて利用できる。その上にアンテナが2本テープで留められているエリアがHSDPAの通信カードをインストールするためのFMC(フルミニカード)スロット。米国ではここで利用できるオプションの通信モジュールが販売されている

以前はHFM用のPCI Express Mini Card用コネクタが用意されていた場所。ねじ穴は用意されているが、カードを電気的に接続するためのコネクタがなくなっている