梅雨が明ければやってくる本格的な暑さ。"ビールをグビッ! "もいいけれど、キリッと冷えた白ワインも夏ならではのおいしさがある。皆さんは、そんな白ワインといえばどんな銘柄を思い浮かべるだろうか。モンラッシェ、ミュスカ、そしてシャブリ! フランス・シャブリ地区で造られた白ワイン・シャブリは意外や意外、日本の酒の肴とも好相性なワインなのである。ここでは、シャブリの基本的な紹介をしつつ、料理との相性も考えていく。

シャブリのブドウ畑

ワイン造りの歴史は1世紀頃にまで遡る

前述の通り、「シャブリ」とは、フランス・シャブリの村を中心としたシャブリ地区で造られている白ワインのことである。「牡蠣に合うワイン」として有名なこの白ワインは、キンメリジャンという小さなカキの殻がふんだんに混じったこの地特有の土壌によって造られる。

石の中でキラキラと光っている小さなものがキンメリジャン。シャブリのワイン畑に行けば、このような石がゴロゴロと転がっている

キンメリジャンはジュラ紀の地層で、紀元1世紀頃にはすでにこの地域にブドウ畑があったとされている。中世になるとベネディクト派やシトー派の修道士らにより、ワイン造りは急速に広まった。近世では川を伝ってワインをパリまで運べる利点、つまり首都パリに近く、しかも振動激しい陸路を選ばずにすみ、すなわちワインを劣化させずに品質を保ったまま運搬できたことで、シャブリの繁栄を極める。しかし19世紀末に発生したブドウの病・フィロキセラにより、多くのブドウの樹が抜かれてしまったのだ。そのタイミングで小麦へと転作した農家も多く、現在もブドウ畑と小麦畑が入り混じった複雑な地形になっている。

以前、フランスの代表的なワイン産地としてブルゴーニュを紹介をした。このシャブリ地区もブルゴーニュに属しているが、南北にのびるブルゴーニュからは少し離れていて、その北端から約80km北西に位置する(パリからは約180kmの場所に位置)。そのため、シャブリの人々は、陸続きではあるが独立感があるという。造るワインが白ワインのみ(ただし、一部ではイランシーという赤ワインも産出している)というのもよりいっそう独立感を強めるのであろう。

シャブリはパリから約180km離れている

そんなシャブリ村に訪れる機会があった。朝は鳥のさえずりと木々のざわめきで目が覚める。ブドウ畑を見なければ、人口2,600人ほどのこの小さな村から、あの世界に名だたる白ワインが産出されていると想像するのは難しいのでは……? と感じるくらい、のどかな町である。しかし、そう思ったのは朝のうちだけ。昼になると狭い道を通って観光バスが乗り入れ、どのビストロを見ても満員御礼。この町がワイン産業に支えられていることを認識した。

シャブリ村の中心部

大通りから少し外れた場所にある「ラロッシュ・ワインバー」。店内はかなりモダンなデザイン。シャブリ中心部にはラロッシュのワインショップも

シャブリ中心部にあるビストロ「ラ・フェイエット132」