タブレットというデバイスの位置づけ

アップルが需給問題を解決しても、タブレット市場を取り巻く大きな流れや、他のスタイルのデバイスとの関係性に変化が生じるわけではない。スマートフォンにより依存しながら、デタッチャブル、ラップトップといったスタイルのデバイスが重要度を増していくだろう。

アップルが需給問題の次に取り組まなければならないのは、タブレットを使う理由だ。

iPadは登場以来、メール、SNS、写真やビデオの視聴と編集、簡単な文書作成、といった一般的な用途を大きく変えるようなキラーアプリに巡り会っていない。そのため、日本で早くからiPad miniを導入した小学校では、2012年発売のデバイスが5年たっても、ビデオ編集を含め、まだまだ快適に利用できているという。

ある意味で、iPadは、非常に長寿命でパフォーマンスが落ちない、良くできすぎたデバイスなのだ。これは消費者にとっても、アップルが近年主張する環境・資源問題にとっても、非常に良いことだ。しかし決算書類の上では、買替え需要を喚起できずデバイス販売の低迷を招いている。

最新のタブレットを使う理由を作り出せなければ、今後も、良すぎるデバイスであるiPadの販売低迷は続いていくことになり、タブレット市場全体の縮小やメーカーの離脱が続いていくことになる。